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【政治雑記】日本は残存する大選挙区制(中選挙区制)を全て廃止するべきである

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1. 候補者調整の問題

2021年7月5日に行われた東京都議会議員選挙は、定数127議席のうち、自民党33議席、都民ファーストの会31議席、公明党23議席、共産党19議席、立憲民主党15議席、その他6議席という結果に終わった。

自民党と公明党の議席を合わせた56議席では過半数に届かず、議席の大幅減が予測されていた都民ファーストの会が45議席から14議席減の31議席と踏みとどまって第2党を確保し、立憲民主党が8議席から15議席、共産党が18議席から19議席と議席を増やしたため、自公連立政権の敗北、都民ファーストの健闘、国政野党連合の躍進だというのがマスメディアにおける報道の主たる論調のようである。

(自民党は議席増、公明党は議席維持だったため、それほど手痛く敗北した印象は受けないが、本稿の主題ではないのでここでは議論しない)

東京都議会議員選挙をはじめ、特に日本の地方議会選挙においてアカデミアの政治学(政治過程論)的に注目が大きいのは、タイトルにも挙げた通りその選挙制度であろう。

殆どの選挙区が当選人数二人以上の大選挙区制(※)となっており、しかも、投票者は自分がもつ1票を一人の候補者に対してしか投じることができず、そして、その1票が条件を何らかの条件を満たせば他の候補者へとスライドすることもない。

いわゆる、大選挙区単記非移譲式(multi-member district/single non-transferable vote)が採られているのである。

※かつての衆議院選挙に代表されるような、一つの選挙区から2~5名程度が選出される仕組みを「中選挙区制」と呼ぶ習わしが日本にはあるものの、学術的には一般的でない。政治学の世界においては、1名のみが選出される仕組みを「小選挙区制」と呼び、2名以上の場合は全て「大選挙区制」と呼ぶことが多く、それは当選者が1名なのか2名以上なのかで選挙制度としての特性が大きく変わるからである。これに倣い、本稿でも「中選挙区制」という名称は使用しない。

https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/togisen/2021/

具体的には、42ある選挙区のうち、中央、千代田、武蔵野、小金井、青梅、昭島、島部の7選挙区のみが小選挙区制であり、そのほかの35選挙区は全て大選挙区制となっている。

定数127議席のうち、実に120議席は大選挙区での選挙結果によって議席配分が決定されるのだ。

今回の東京都議会議員選挙でも、そんな大選挙区制が持つ欠点が露骨に現れた選挙区があった。

それは目黒選挙区である。

https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/togisen/2021/49592/

注目するべきは、落選した二人の自民党公認候補者の得票数である。

二人の得票数合計は23,851票であり、これはトップ当選した伊藤氏を上回っている。

この結果は合理的だといえるだろうか。

自民党の支持者の中でも、鈴木氏を支持する人々と栗山氏を支持する人々が分かれているのは得票数が示す通りなのであろう。

しかし、だからといって、鈴木氏を支持する人も立憲民主党の西崎氏が当選するくらいなら栗山氏が当選して欲しかっただろうし、栗山氏を支持する人も西崎氏が当選するくらいならば鈴木氏が当選して欲しかったはずである。

結局のところ、得票率では「自民党」が最も高かったにも関わらず、自民党は目黒選挙区で1議席も獲得することができなかった。

それでは、仮に自民党が統一候補を立てていたならば、選挙結果はどうなっただろか。

鈴木氏と栗山氏の得票が単純に合計されるとすれば以下のとおりである。

当選 自民党 統一候補 23,851票
当選 都民フ 伊藤悠 23,117票
当選 公明党 斉藤泰宏 16,515票
落選 立民党 西崎翔 16,044票
落選 共産党 星見定子 16,038票
落選 無所属 平松健詩 2,662票

従来の結果と比べ、自民党の当選者が1人増え、立憲民主党の当選者が一人減る結果となる。

しかし、このシミュレーション結果も、選挙を通じて党派や政治思想別の民意を議会構成に反映するべきであるという点からすればなお不自然な結果だと思われる。

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