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【政治雑記】日本は残存する大選挙区制(中選挙区制)を全て廃止するべきである

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最上位当選者である、こまざき氏の支持者たちの民意は制度的に薄められていると形容して過言ではないだろう。

(こまざき氏はあたらしい党唯一の公認候補。結果論からすれば、あたらしい党は二人の公認候補を立てて上手に票を2分割すれば2議席を獲得できたはずだが、そんな計略や調整の巧拙が選挙結果に多大な影響を与える制度は悪い制度だろう。

ちなみに、当選者全体の得票数合計は128,093票であり、その過半数は64,047票。定数40のうち、上位15位までの当選者の得票数合計が66,282なので、得票数だけで言えば、この上位15名が賛成した法案は可決されるべきはずなのではあるが、議会での多数決は議員一人につき一票なのでそれは実現しない。

このように、少数得票者連合による多数派形成が為される可能性があり、とても民意が汲み取れているとは言えないような選挙制度になっている。

さらには、この大選挙区単記非移譲式には、そもそも多数派形成を行って法案を成立させるという、議会として期待されている機能を果たさせないようなインセンティブを各議員に与えるような側面もある。

上述した通り、大選挙区単記非移譲式は族議員(建設・農林・郵政・文教・厚労・商工)を生み出しやすい選挙制度である。

そのため、同一政党の公認候補であってもそれぞれが異なった支持基盤を持っており、自らを支持してくれる人々の利益を守るためには同一政党に所属する議員との対立も辞さないという姿勢を生みやすい。

しかも、定数が多ければ多いほど、極めて低い得票率で当選できるため、偏りのある集団だけの票を固めてしまえば当選し続けられるという特性を持っている。

例えば、上述した東京都北区議会の場合、最下位当選者である野口氏の得票数は20,036票で、これは投票全体(140,704票)の僅か1.4%に過ぎない。

なお、「選挙の記録(抜粋版)」によれば、選挙人名簿登録者数は281,619で、投票率は51.74%。

つまり、野口氏が獲得した票数というのは、全有権者の0.7%の票数に過ぎないのである。

たった0.7%の有権者を投票所に連れてくることができれば当選できるのであれば、医療関係者のみ、農家のみ、公務員のみ、建設関係者のみの票を固めさえすれば当選は容易であり、あまつさえ、特定のマンション群や商店街の票だけでも当選できてしまう。

逆に言えば、広範な支持を得ようと大衆に訴えかける戦術は極めて不利である。

なぜなら、広範な支持を得ようとする候補の主張は漠然としたものになり、有権者一人当たりとの接触も減る一方、極めて狭い特定集団だけから支持されようとする候補者はその集団を利するためだけの非常に具体的な政策を主張することことができ、有権者一人あたりとの接触も濃密になるからである。

その結果、有権者たちは自分の属性をより積極的かつ具体的に代表しようとする候補に投票し、結局、広範な支持を得ようとした候補は殆ど票を集められないだろう。

また、仮に広範な支持を得た候補が当選したとしても、議会内では極めて狭い特定集団を代表しようとする議員が圧倒的多数のため、広範な支持を得た候補者の主張が通ることはなく、予算や法案は常に総花的でどの利益集団も傷つけない代わりに何一つ進歩のない内容になる。

地方議会が大胆な政策を採ることができず、無暗に停滞しているのは選挙制度によるところが大きいだろう。

付言すれば、どう考えても眉を顰めざるを得ないような集団の支持を受けた議員が当選して、荒唐無稽かつ極端な主張を議会で行い続けたとしても、真っ当な有権者集団がその議員を落選させることができず、全有権者に対して、例えば0.7%の支持だけで当選し続けたりすることも問題であろう。

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4. 改革案① 小選挙区制

さて、以上のように大選挙区単記非移譲式の問題点を見てきたわけだが、対案なき批判は無用の長物というわけで、本項からは改善案につき検討していきたい。

まず検討するのは、小選挙区制である。

各選挙区からの当選者が一人のため、選挙区ごとの候補者数は概ね2人に収斂されるだろう。

3人以上が立候補した場合はトップ当選者の得票数が5割を切る(つまり下位当選者の得票数を束ねれば逆転できる状態)こともあるだろうが、大選挙区制ほど頻繁には起こらないと思われる。

また、公認候補は当然に各政党あるいは政党連合から1名となるため、得票数を読みながら候補者数を調整する必要はなく、同一政党/政党連合から出馬した3人、4人が共倒れになるということはない。

同一政党/政党連合からは一人の公認候補しか出馬しないのだから、同一政党公認候補同士で有権者の票を奪い合うこともなくなる。

さらに、勝者総取り方式のため、単一政党または選挙前に予め設定された政党連合が議会で多数を握る結果となりやすく、大胆な改革が進むことも期待できる。

既に国政では小選挙区比例代表並立制が導入されており、2009年には政権交代も為しえたことから、このような流れになるという主張は実証的な説得力を持っているだろう。

加えて、地方議会でも偶然に小選挙区が多いため、劇的な政権交代が為された例がある。

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