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【古典純文学】おすすめ古典純文学小説ランキングベスト9【オールタイムベスト】

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純文学
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本ブログで紹介した純文学小説のうち、1980年以前に出版された「古典」からベスト9を選んで掲載しています。

「純文学」の定義は百家争鳴でありますが、本記事では、社会や人間について深く考えさせられる作品や、人間関係の機微を描いた作品、という緩い定義のもとでランキングを作成いたしました。

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第9位 「恩讐の彼方に」菊池寛

【罪人の贖罪と被害者の復讐心が交錯するそのとき】

・あらすじ

主人である三郎兵衛の妾、お弓との不義の恋が露見してしまった市九郎は、主人を殺してお弓とともに江戸を脱出する。

路銭が尽きた二人は美人局から強請り、果ては強盗殺人まで犯すようになるが、市九郎は罪悪感に堪えかね、お弓との生活から抜け出し、寺へすがって出家する。

修行の末、一人前の僧になった市九郎は諸人救済のため諸国を旅してまわり、やがて一年に何人もが滑落する鎖渡しに出会う。

人々がそこを通らなくて済むよう、市九郎は一生かけてでも岩山を掘り、別路を切り拓くことを決意する。

当初は懐疑的だった村の人々も、十数年も掘り進める市九郎を次第に助けるようになっていく。

一方そのころ、三郎兵衛の息子、実之助は剣の修行を終え、父親の仇討ちを果たすべく旅を始めた。

そして、ひょんなことから仇である市九郎の居所を突き止めた実之助であったが......。

・短評

復讐心に駆られている実之助が、贖罪のためボロボロになりながらも一心不乱に穴を掘っている市九郎に対していかに仇討ちを果たすのか(果たせるのか)という物語になっております。

着目するべき点は、登場人物の心情変化が巧みに描かれている点でしょう。

犯罪を重ねるうちに深まっていく市九郎の苦悩。

無為なことと当初は笑いながらも、次第に市九郎の執念に心惹かれていく村人たち。

そして、復讐心の揺らぎに惑う実之助。

人の心の強さと弱さが絶妙な塩梅で描写されていて、短い話ながらもラストシーンの輝きは筆舌に尽くしがたいものがあります。

近年はアニメーションやCGを中心に鮮やかな光の表現が技法として注目されることもありますが、あのような見せられる(そして魅せられる)光ではなく、読者の心の内から発せられるような、目を閉じているからこそ眼前の暗闇を照らす光の具合がわかるような、そのようなきらめきを持った作品です。

・感想記事はこちら

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明日も物語に魅せられて

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