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【政治雑記】日本は残存する大選挙区制(中選挙区制)を全て廃止するべきである

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鈴木氏や栗山氏の政治思想や経歴について筆者は全く関知していないが、自民党から立候補するということは、いわゆる保守的な思想を持ってる可能性が高いだろうから、本稿では二人を保守的な思想を持つ候補者として仮定する。

一方、立憲民主党公認の西崎氏や、共産党公認の星見氏は、いわゆるリベラルな思想を持っている可能性が高いだろう(あるいは共産主義思想?)。

異細はあるかもしれないが、思考実験のため、本稿ではこの二人を纏めてリベラルな思想を持つ候補者として仮定する。

そして、保守的な思想とリベラルな思想は基本的に相容れることのない対立的な思想であると仮定する。

(わかりやすさのために保守/リベラルというレッテルを使用しているが、政治志向Aと政治志向Bと置き換えて頂いた方が思考実験としては客観的であろう)

保守的な思想を持つ鈴木氏や栗山氏にとって、西崎氏や星見氏が掲げるリベラルな政策を批判することは容易いに違いない。

鈴木氏や栗山氏の立場からすれば、間違っているものを間違っているというだけのこと、という認識だろう。

しかしながら、リベラルな思想を叩くことで得られる得票が如何ほどのものかは疑問がある。

最初から西崎氏や星見氏を支持している人々は、それぞれの人生経験からリベラルな思想を支持しているのであって、その政治志向を転換させることは容易ではない。

保守的な思想とリベラルな思想の間で迷っている人や、投票に行くかどうかすら迷っている人に対して訴えかけるのは、リベラル派の思考を180度変えるよりはまだ簡単かもしれないが、難易度が低いわけではない。

ここまで言ってしまえば結論を先取りして把握された読者も多いとは思うが、想定されうる選択肢の中で最も簡単な得票方法は、鈴木氏ならば栗山氏の、栗山氏ならば鈴木氏の支持者を篭絡することである。

そもそも自民党を支持していて(そもそも保守的な思想を持っていて)、あとは鈴木氏に入れるか栗山氏に入れるか迷っている人々、これが最も振り向かせやすい対象であり、投票先候補者を自分へと乗り換えてくれる可能性が最も高い有権者になる。

こういった現象、同一政党公認候補者同士の熾烈な共食いが現実に頻発するということは、衆院選の大選挙区時代を知っている人々にとっては当たり前だろう。

社会党や共産党候補との争いよりも、自民党候補者同士の争いの方が遥かに熾烈であり、金品が飛び交う泥沼の選挙戦が行われていたことはあまりにも有名である。

そういった、大選挙区制がもたらす泥沼汚職選挙の傾向は近年でも衰えることはない。

直近で最も有名なのは、河合案里氏による公職選挙法違反であろう。

定数2の参議院広島選挙区には溝手顕正氏と河合案里氏が自民党公認候補として立候補しており、当選5回のベテランである溝手氏と立憲民主党の森本真治氏という二人の現職のどちらかに勝たなければ新人の河合氏は当選できないという状況。

無論、森本氏や立憲民主党の政策を批判することが河合氏にとって王道の選挙活動ではあるものの、前述のとおり、立憲民主党側を支持する人々の心を振り向かせることは容易ではない。

そうなると、溝手氏に対する優位性を自民党支持者たちに見せつけて、自民党公認候補の一位になることで当選圏を確保するという戦略の方が当選確率を上げるという意味では理に適っているということになる。

しかし、同じ党の公認候補なのだから、溝手氏と異なった政策を主張して優位性を見せつけることは難しい。

そうなると、金品の物量にものを言わせて支持者を剥ぎ取っていくのが(逮捕を恐れなければ)現実的に最も合理的な手段になるのである。

同一政党公認候補同士の争いを制するには賄賂しかない。

大選挙区制がもたらすそのインセンティブこそが、広島県内の地方議員や首長に金品を渡すという結果を招いたのである。

(なお、そういった同士討ち的な争いをなるべく避けるために生み出された知恵が、衆院選大選挙区制時代における自民党議員の族議員化である。建設・農林・郵政・文教・厚労・商工というように、同一選挙区内でも業界ごとに縄張りを分けることで対立を抑え、それぞれが担当する分野の支持者を抑えればそれぞれが当選できるようになっていた。とはいえ、それでも自民党候補者同士の支持者横取り合戦を完全には抑えきれないために、結局は泥沼汚職選挙になってしまうのである)

さすがに犯罪を実行してしまうのは珍しいとはいえ、思想信条の近い候補から票を奪うことが当選の近道になるというインセンティブを各候補者に与えるような選挙制度は容認しがたいだろう(例えば、思想信条の近い候補にスキャンダルがあれば票が自分に流れてくる可能性が高いため、各候補者にとって議会では仲間になるはずの議員が不祥事を起こすと選挙で有利になってしまう仕組みになっている)。

目黒選挙区に話を戻せば、自民党公認候補同士はもとより、恐らく、共産党公認候補の星見定子氏は立憲民主党公認候補の西崎氏の支持基盤をもっと本気で崩しに行けば当選できていたはずである(6票差!)。

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https://www.nhk.or.jp/senkyo/database/togisen/2021/49592/

味方を裏切った人間が一番得をする制度は正統性に欠けるし、なにより正常な政党間競争を生みださない。

目指すべき選挙制度は、同一政党公認候補であったり、そうでなくとも思想信条の近い候補同士が表では握手をしながら裏では泥沼の謀略戦を行うことを促す選挙制度ではなく、思想信条の近い議員同士が協力関係を築き、思想信条の異なった候補に対して政治思想や政策志向をぶつけることを促す選挙制度である。

そういった政治思想や政策志向の対立と討論を観察することで有権者が政治に対する理解を深め、より納得のいく投票を行えるような選挙制度こそ理想であろう。

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