3. 多数派形成の問題
ここまでは当落に関する不公正や、選挙過程における競争の歪みについて議論してきたが、ここからは選挙後の過程、特に多数派形成における問題点を指摘していく。
まずは、東京都議会議員選挙における練馬選挙区の結果を当選者のみ掲載する。
定数7の練馬選挙区からは、自民党2人、都民ファーストの会2人、公明党1人、共産党1人、立憲民主党1人と、多種多様な党派から当選者が出た。
この7名は、現実には東京都議会における各会派の一員に過ぎないのであるが、ここは思考実験として、議会にはこの7人しかいないと仮定して話を進める。
ある法案に対して、尾島氏、村松氏、柴咲氏、山加氏が賛成し、小林氏、藤井氏、戸谷氏が反対したとしよう。
賛成4に対して反対3であれば、当然に法案は可決される。
しかし、選挙時に獲得した得票数は賛成派が72,363、反対派が105,458と、反対派の方が多い。
つまり、上位当選候補と下位当選候補の得票数乖離があまりに大きいため、選挙時にあまり票を獲得できなかった候補同士が議会で連合することにより、選挙時に多数の票を獲得した議員たちの意見を押しのけて法案を成立させたり、廃案にしたりできてしまう。
同一選挙区内で37,000票を獲得した議員も、20,000票を獲得した議員も議会内で同じ権力しか持てない。
これでは正しく民意が反映されているとはいえないだろう。
そして、この問題は定数が多くなればなるほど悲惨になる。
あらためて直近(平成31年)の東京都北区議会選挙結果を振り返ろう。
党派別の得票率及び獲得議席数、そして自民党公認候補が当選ラインのギリギリ手前で共倒れしていることは以前に確認したとおりである。
本項ではさらに、上位当選者と下位当選者の得票数差を確認する。
定数が40ともなると、最上位当選者は最下位当選者の3.6倍もの票を獲得している。
しかし、3.6倍もの支持を得ているにも関わらず、議会では最下位当選者と同じく一票しか賛成/反対票を投じることができない。
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