それは大阪府議会である。
2019年の選挙において、大阪維新の会は定数88の議会で過半数を大きく超過する51議席を得ている。
大阪府議会は88の定数に対して選挙区の数が53であり、実に30選挙区が小選挙区(当選者1名)、残りの23選挙区もそのうち15選挙区の定数が2であるため(大阪維新の会が1議席は獲得できる)、全体としてかなり小選挙区制寄りの選挙制度となっている。
なお、大阪府議会は2011年の選挙までは定数が111であり、大阪維新の会が大阪府議会選挙に初めて登場したのもこの選挙である。
2011年の選挙においても、62選挙区のうち33選挙区が小選挙区制、残りの29選挙区もそのうち20選挙区の定数が2であるという状況で、多くの選挙区で自民党や民主党の候補が落選する結果となった。
大胆な政策を掲げる政党が出現し、一気呵成に多数派を握って改革を進めていく。
このような動きを期待するならば、小選挙区制がうってつけであろう。
新興政党が地方で足掛かりを築き、衆議院選挙や参議院選挙でも勝利を重ねることで国政にも影響力を与えていくような経路が築かれれば、結果的に国政レベルでも政党間競争が激しくなって政治の質が高まるかもしれない。
5. 改革案② 比例代表制
次に検討するのは比例代表制である。
比例代表制の導入は、現行制度(大選挙区単記非移譲式)の理不尽な側面をなくしつつも、現行制度の議席配分方法、つまり、勝者総取りではなく、得票数に合わせて(比例して!)なだらかに各党へと議席を配分するという方法を尊重するという意味で、現実問題として小選挙区制よりは導入が円滑に進むだろう。
まずは、あらためて東京都議会議員選挙や東京都北区議会選挙、大阪府守口市議会選挙の党派別得票率と議席率を確認していく。
大選挙区単記非移譲式は極めて少数の得票でも当選できるため、結果的には小選挙区制というよりは比例代表制に近い結果が現在でも出力されるようになっている。
以下、少数得票当選例についての説明を再掲する。
例えば、上述した東京都北区議会の場合、最下位当選者である野口氏の得票数は20,036票で、これは投票全体(140,704票)の僅か1.4%に過ぎない。
なお、「選挙の記録(抜粋版)」によれば、選挙人名簿登録者数は281,619で、投票率は51.74%。
つまり、野口氏が獲得した票数というのは、全有権者の0.7%の票数に過ぎないのである。
しかしながら、各党派の獲得議席率は獲得得票数に完全に比例するわけではない。
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