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「ポケットモンスター ヴァイオレット」評価:2点|オープンワールドを採用した世界的大人気シリーズの最新作【テレビゲーム】

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ポケットモンスター バイオレット
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まずはオープンワールドとの関連で、もっとアクションの必要性を強調するようなイベントがあった方がよいと思いました。

かなりベタな例ですが、崖下(崖の途中?)に生えている貴重な花を摘みに行くとか、満月の夜の山頂でポケモンバトルをすると何かが起こるとか、僻地にしかいないポケモンを捕まえに行くとか、そんな具合です。

本作ではジムリーダーに挑む前にジムテストというものをクリアしなくてはならないのですが、いずれも街中で完結するテストばかりだったので、せっかくオープンワールドゲームなのですし、広大な世界の中で上手くフラグ管理がされるようなジムテストでも良かったのではないかと思います。

あるいは、悪の組織が自然の地形を活かしたようなアジトを保有していて、そこに乗り込む、なんて展開でも面白かったでしょう。

本作でも従来同様に「スター団」という悪役組織(ただし、本作での悪役ぶりは相当マイルドですが)が活動しており、主人公は彼らの基地に乗り込んでポケモンバトルにより彼らを一掃します。

ところが、複数個あるスター団の基地はどれも金太郎飴のように同じ形をしており、その内部でもオープンワールド的なアクションや探索を求められることがありません。

せっかく自由に駆け回ったり飛び回ったりできる世界に悪の組織があるですから、もっと駆け回ったり飛び回ったりして悪をやっつけたかったですね。

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戦闘面での評価

ポケットモンスターといえば「収集」「交換」「戦闘」を軸としたゲームですが、その中でも多くのプレイヤーが楽しみにしているのはやはり「戦闘」ではないでしょうか。

ゲームのストーリーも基本的には戦闘をこなすことで進んでいきますし、四天王+チャンピオンを倒すとエンディングが流れるというシリーズを通じた型を勘案してもやはり「戦闘」に焦点を当てたゲームであることは間違いないでしょう。

さて、そんな「戦闘」の楽しみですが、本作においてはやや微妙だったというのが正直なところです。

道中やダンジョンでの戦闘における緊張感が薄いのは上述した通りですが、トレーナーとの戦闘が任意にも関わらず、各トレーナーが持っているポケモンの数やレベルが低すぎると感じました。

特に、周囲の野生ポケモンよりもレベルの低いポケモンを一匹だけ保有、というトレーナーも多く、これではポケモンを「トレーニング」させているという世界観に適合しませんし、小学生のプレイヤーにとってもさすがに難易度が低すぎると感じられたのではないでしょうか。

また、やや地味な論点ですが、トレーナーの種類が少なすぎるという点も戦闘の楽しみを削いでいたと感じました。

ポケットモンスターシリーズでの戦闘における面白さといえば、単なる技や交代の駆け引きだけでなく、特にエンディングまでのストーリーにおいては、様々な個性を持ったポケモントレーナーの襲来とその個性に沿ったポケモンたちとの闘いであったはずです。

しかし、本作においてはトレーナーの種類がたいへん少なく、しかも、出現するトレーナーの種類は、代表的なものを挙げると以下の通りです。

学生、配達員、芸術家、タクシードライバー、バックパッカー、やまガール、モデル、ミュージシャン、ビジネスマン、たんぱんこぞう、ドラゴンつかい、研究員。

この中でも学生が体感上最多で出現するのですが、「学生」なんて何の個性でもないわけで、実際、(生涯学習的な風潮を反映してか)様々な年齢や性別の「学生」が登場しますし、それぞれが年齢や性別とは無関係なポケモンを使用してきます。

付言すれば、べつにやまガールが「山」をイメージしたポケモンを使ってくるわけでもなければ、芸術家が芸術的なポケモンを使ってくるわけでもなく、配達員やタクシードライバーの手持ちが「運搬」をテーマにしていることもありません。

この中で、強いてそういった個性をポケモンの手持ちに反映させているのはドラゴンつかいくらいのものでしょう。

ポケモントレーナーの種類が少なく、その手持ちにもそれぞれの個性が反映されていない。

これでは、狭い世界を飛び出して冒険の旅に出て、その先々で様々な生き方の人々とその生きざまが反映されたようなポケモンバトルを繰り広げていくという感覚や想像力が働きずらく、もっぱら、無機質な「NPC」との戦闘が続くなという印象ばかりでした。

加えて、そういった無個性ぶりはトレーナーの配置にも現れています。

さすがにやまガールは山にしか出現しませんが、それ以外のトレーナーについては地形や街の個性を全く反映しない配置となっており、なぜか雪山に研究員がいたり、野原の真ん中にビジネスマンが立っていたりします。

従来作においては、海辺には「かいぱんやろう」や「ビキニのお姉さん」、「つりびと」がいて水タイプのポケモンを使ってきたりだとか、サイクリングロードには「ぼうそうぞく」や「スキンヘッズ」がいて速そう・怖そうポケモンを使ってきたり、研究所的な場所に「りかけいのおとこ」や「はぐれけんきゅういん」がいて人工物をイメージするポケモンを使ってきたり、豪華客船には「ジェントルマン」が乗船していたりと、場所柄とトレーナーの個性、使用ポケモンの関連性が強く、たとえ物語中で袖を触れ合う程度の交流しか行わないトレーナーにも人間味を感じられたものです。

また、そういった、場所と人間との関連があったおかげで、新しい場所に行けば新しい人間に出会うというサイクルが確立されており、オープンワールドでなくても「世界が広がっていく」感覚を持つことができました。

そしてもちろん、悪の組織の構成員はやはり悪そうなポケモンを使っていたわけで、そこにも「悪」を倒しに行くドキドキ感があったのです。

こういった、世界観を反映した一般トレーナーとポケモンたちの出現は、子供が生まれ故郷を飛び出して世界を放浪し、そこで「大人の世界」も知っていく、というポケモンの原初的な設定ともよくマッチしており、「おとなのおねいさん」や「かじばどろぼう」、「でんきやのオヤジ」がいてこそ世界として「完成」されていると思うのです。

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