【転職支援】教養書「転職の思考法」北野唯我 評価:2点【ビジネス書】

転職の思考法

博報堂やボストンコンサルティンググループで働き、いまは就職支援サービス会社ワンキャリアの取締役を勤める北野唯我さんの著書。

「転職の思考法」というタイトルの通り、転職するにあたって考えるべきことや、業界・会社選びのコツが述べられているほか、そもそもどのような環境で働くべきなのかという普遍的な「仕事論」にまで言及されている著作です。

一人のサラリーマンが転職について考え始めてから実際に転職するまでの物語に沿って著者の主張が述べられていくという形式を取っており、物語自体もそれなりに面白いので、読み易さという点では万民向けになっております。

ただ、全体としては凡庸なビジネス書であったというのが本ブログにおける評価。

良いことを言っっておりますし、間違ったことを言っているわけではないのですが、巷に溢れる転職論や仕事論からさらにもう一歩踏み込んだ言説に乏しく、やや内容的に薄い本だったと感じました。

スポンサーリンク

目次

プロローグ このままでいいわけがない。だけど......

第1章 仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ

第2章 「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない

第3章 あなたがいなくなっても、確実に会社は回る

第4章 仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか

第1章
仕事の「寿命」が切れる前に、伸びる市場に身を晒せ

全4章から構成される本書ですが、ページ数としてはこの第1章が全体の半分以上を占めております。

第1章はさらにSTEP1〜4に分割され、4段階の解説を通じて「一生食える」人材になるための考え方が示されていきます。

STEP1は「自分の『マーケットバリュー』を測る」。

マーケットバリュー、つまり自分自身の(転職)市場における「市場価値」を分析する枠組みとして、①技術資産、②人的資産、③業界の生産性、の3点を挙げ、転職を検討する際にはまず自分のマーケットバリューを測定するべきだと本書は説きます。

①技術資産は専門性と経験から成り、本書内では法人営業技術という専門性やチームマネージャーといった経験が挙げられています。

②人的資産は人脈のことで、とりわけ自分に対して仕事をくれる人間のことを示します。

③業界の生産性はその名の通り、自分が所属している業界がどの程度の生産性を持っているかを示しています。

同じような仕事をしていても、成長産業と衰退産業では賃金が全く違いますし、資本集約的な産業構造なのか労働集約的な産業構造なのかでも違ってきます。

これらの3要素を掛け合わせた体積こそが自分の「マーケットバリュー」であり、転職を検討する際には、これらの要素が上昇するような業界やポジションに応募するべきであるとのことです。

STEP2は「いまの仕事の『寿命』を知る」。

あらゆる仕事には誕生から消滅までのライフサイクルが存在し、そのサイクルとは、①ニッチ→②スター→③ルーティンワーク→④消滅というサイクルである。

すでに「③ルーティンワーク」となっている仕事をし続けても、あるいはそのような仕事に転職しても、自分のマーケットバリューは下がっていくだけだという主張がSTEP2の肝になっております。

生まれたばかりの仕事(産業)においては、そもそも雇用の数が少ない(「①ニッチ」の状態。その産業を「創った」人間しか働いていない)。

そして、需要が多くなるにつれ必要とされる雇用数が増えて新規参入者が多くなるものの、まだ「製品サービス需要>労働者供給」の状態のために儲かり続ける(「②スター」の状態。業界経験者も少ないため、労働者の代替が効きづらく高給化しやすい)。

しかし、労働者供給の不足に気づいた経営者は業務の汎用化を推し進め、業務全体が誰にでもできるような仕事になっていく(「③ルーティンワーク」の状態。労働者の流入が促進され、労働者の受給が次第に一致していく)。

最後に、労働者増加による人件費増大に気づいた経営者が、人件費削減のため機械による代替を進めることで人減らしが起こり、その産業における雇用が消滅していく(「④消滅」の状態)。

業界全体が伸びているときには仕事が②の状態に留まり続けるのに対し、需要の停滞や縮小下ではコストカットが優先されて③や④に向かうことが本書では強調されます。

つまり、伸びている産業で働く経験を積み「②スター」のポジションを取り続けられるようにすることこそ、人材としての寿命を伸ばす良い手段だというわけです。

STEP3は「強みが死ぬ前に、伸びる市場にピボットする」。

コメント