【古典純文学】おすすめ古典純文学小説ランキングベスト5【オールタイムベスト】

純文学

本ブログで紹介した純文学小説のうち、1980年以前に出版された「古典」からベスト5を選んで掲載しています。

「純文学」の定義は百家争鳴でありますが、本記事では、社会や人間について深く考えさせられる作品や、人間関係の機微を描いた作品、という緩い定義のもとでランキングを作成いたしました。

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第5位 「あすなろ物語」井上靖

【激動の戦前を駆け抜けた青年の成長物語】

・あらすじ

梶鮎太が13歳になった春。

土蔵での祖母との二人暮らしに、一人の闖入者が現れる。

突然現れた十九歳の少女、冴子。

彼女は女学校を停学になり、梶家へ一時的に身を寄せることになったのだった。

都会的な雰囲気を纏い、はっきりとした物言いの冴子に鮎太は困惑する。

そんな冴子が好意を抱いているのが、近くに住む大学生の加島。

冴子の手紙を加島に届けに行く任を負った鮎太は、そこで聞いた冴子や加島の言葉に影響を受け、少しずつ変わり始める。

そんなある日、ひょんなことから手紙が加島の母に渡ってしまい、二人の仲に危機が訪れる。

果たして、二人の運命やいかに。

そして、結末を見た鮎太が感じたことは......。

激動する時代の中、少年鮎太が青年になるまでの過程を描いた連作中編集。

・短評

13歳から始まり、中学校、高校、大学、そして社会人になっていく鮎太の成長が、それぞれの時代を切り取った六編の中編で描かれています。

何といっても印象的なのが、タイトルにある「あすなろ(=翌檜)」の意味です。

「あすは檜になろう、あすは檜になろうと一生懸命考えている木よ。でも、永久に檜にはなれないんだって! それであすなろうと言うのよ」

第一編で冴子が鮎太に残したこの台詞。

明日は大人物になってやろうと、もがき、背伸びする。

どの物語も、そんな人物たちの熱情と悲哀にスポットが当たっています。

彼/彼女らとの出会いと別れが鮎太に様々な影響をもたらし、青春の抑えきれない衝動と陰鬱、恋と喧嘩が物語を彩ります。

そんな登場人物たちが、弱い部分を抱えながらも一生懸命に人生を生きていく姿。

それこそが、時代を超えて読者の共感を誘う要素になっているのです。

ゆえに、思わずぐっと引き込まれる場面も多く、非常に面白い作品だといえるでしょう。

抒情の薫りも高く、戦前の雰囲気を纏った古風なノスタルジーに触れたい方におすすめの小説です。

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