【経済ビジネス】おすすめ経済ビジネス雑記5選【雑記まとめ】
小説
小説 「1984年」 ジョージ・オーウェル 星3つ
1. 1984年全体主義への警鐘を鳴らす、言わずと知れた有名小説です。不安定な政治状況から近年でもアメリカなどを中心に売り上げを再び伸ばしています。テレスクリーンによる監視や、思考の「幅」を狭める新言語ニュースピーク、「憎悪時間」など、全体主義体制が到る悲惨な政治的状況をこれでもかと描く力の鋭さ・強さにおいては文句のつけようがありませんが、小説としてのストーリーにはやや凡庸な面もあり、評価に迷う作品です。一九八四年 (ハヤカワepi文庫)posted with ヨメレバジョージ・オーウェル 早川書房 2009-07-18AmazonKindle楽天ブックス
小説 「荒野」 桜庭一樹 星1つ
1. 荒野もとはファミ通文庫から3冊分冊で出版されていた作品ですが、後に文藝春秋/文春文庫が出版。さらに表紙をリニューアルして再刊行もされています。桜庭一樹さんが一段階有名になるたびに出版されていると言っていいでしょう。ライトノベルというより少女小説と呼んだ方が相応しい読みやすい文体で、星1つをつけるほどの致命的な落ち度はありません。しかし、「少女の繊細な成長」を描くことに終始しすぎたせいでドラマがなく、また、その「少女の繊細な成長」という側面でも、主人公の家庭環境があまりに特殊なことからリアリティを感じられませんでした。荒野 (文春文庫)posted with ヨメレバ桜庭 一樹 文藝春秋 2017-05-10AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「親友」 川端康成 星1つ
1. 親友 言わずと知れたノーベル賞作家、川端康成の少女小説です。「女学生の友」に載せられていただけあり、児童小説の趣が濃くなっております。 本当に良い児童小説は大人にも深い感銘を与えるものですが、残念ながら、本書からそのような薫風を感じることはできませんでした。 親友 (小学館文庫) posted with ヨメレバ 川端 康成 小学館 2017-08-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
小説 「煌夜祭」 多崎礼 星2つ
1. 煌夜祭中央公論新社主催のライトノベル新人賞、C★NOVELS大賞の第2回受賞作です。当時は異色のライトノベルとしてその界隈を中心に話題となりました。全体的に「惜しい」という印象で、構築したい世界観や伝えたい「切なさ」は分かるのですが、散見される陳腐な表現や展開がそれを妨げてしまっています。煌夜祭 (中公文庫)posted with ヨメレバ多崎 礼 中央公論新社 2013-05-23AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「破戒」 島崎藤村 星2つ
1. 破戒明治時代の作家、島崎藤村の小説です。部落差別問題をテーマとした、その時代にあっては斬新な作品でした。しかし、いま読み返すと、物語そのものはそれほど面白いわけではないと思ってしまいます。歴史的記念碑であることは間違いないのでしょうが、傑作とは言い難いでしょう。破戒 (新潮文庫)posted with ヨメレバ島崎 藤村 新潮社 2005-07AmazonKindle楽天ブックス
「オーダーメイド殺人クラブ」辻村深月 評価:2点|女子中学生が抱く思春期ならではの葛藤と奇妙な「殺人」依頼【青春小説】
メフィスト賞からデビューし、吉川英治文学新人賞、直木賞と、エンタメ作家成功の王道を驀進する辻村深月さんの作品。集英社のナツイチ(夏の百冊)にも選ばれている、定評のある小説です。ただ、タイトルのインパクトから想像していたよりも地味な話でありまして、中学生のありがちな葛藤や悩みの話に過ぎなかったのではないか、というのが正直な感想です。あらすじ主人公、小林アンは中学二年生。母親譲りの恵まれた容貌の助けもありクラスの中心的グループに所属しているが、実は猟奇的な事柄に興味があり、町の本屋にある怪我をした人形の写真集「臨床少女」が彼女の愛読書。恋愛がらみの人間関係で急に態度が変わる友人たちや、甘ったるくて何も考えていない母親との生活にうんざりしていたアン。ある日、河原で地味なクラスメイトの徳川勝利がビニール袋を蹴っている姿を目撃する。彼が去ったことを見届けた後、ビニール袋を掴むアン。その中身は「肉」のようなものだった。自分と同じ嗜好を持つ徳川に惹かれ、アンは彼に接近する。そして、アンは徳川にアン自身の殺害を依頼するのだった......。 感想物語の筋は大きく二つあり、アンが友人である芹香や倖との関...
小説 「万延元年のフットボール」 大江健三郎 星2つ
1. 万延元年のフットボール ノーベル文学賞作家、大江健三郎の代表作として挙げられることが多い作品。同賞を受賞したきっかけになった作品とも言われています。 文体や比喩表現、人物造形は独特で、確かに意味深長な文学作品ではあるのでしょう。しかし、表面上の物語、目に見える物語があまりにも面白くなさすぎます。 万延元年のフットボール (講談社文芸文庫) posted with ヨメレバ 大江 健三郎 講談社 1988-04-04 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
小説 「隣の家の少女」 ジャック・ケッチャム 星1つ
1. 隣の家の少女隣の家に引っ越してきた少女が受ける悲惨な虐待を描いたホラーものです。そこそこ有名な作品のようなので、単なるホラー以上の何かがあるのかと思い手に取りましたが、わたしの好みには全く合わない作品でした。隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)posted with ヨメレバジャック ケッチャム 扶桑社 1998-07-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
【リリアとトレイズ】期待はずれだった「銃と戦闘機の冒険活劇」の続編 評価:1点【時雨沢恵一】
・リリアとトレイズⅠ&Ⅱ1. そして二人は旅行に行った「一つの大陸の物語」シリーズの第2幕にあたり、第1幕である「アリソン」の続編になります。「アリソン」のレビューはこちら活躍するのは「アリソン」で主人公だったアリソンとウィルの子供世代。「アリソン」が「世界を救うアドベンチャー」だったのに対して、「リリアとトレイズ」は突発的に起こるテロと対決する内容がメインのため、物語全体がスケールダウンしてしまった印象です。加えて、「アリソン」では主人公の二人が共に孤児院育ちの幼馴染であり、「孤児院出身の二人が知恵と勇気と自ら身につけた能力で困難を突破する」という部分が魅力だったところ、「リリアとトレイズ」では「豊かな階層出身の二人が両親から授けられた特殊技能を振るって問題を解決する」になってしまったのが痛いところ。ワクワクドキドキを呼ぶような作品にはなっていませんでした。2. あらすじ大きな海に一つの大陸が浮かぶ世界。その大陸では、山脈と大河を挟んで二つの国が対峙していた。東側がロクシアーヌク連邦。通称ロクシェ。西側がベゼル・イルトア王国連合。通称スー・ベー・イル。長年の対立状態にあった両国だが、...
小説 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック 星2つ
1. アンドロイドは電気羊の夢を見るか?映画「ブレードランナー」の原作であり、SFの古典名作といえる作品。特徴的な日本語訳タイトルの語感も有名で、多くのパロディ元になっています。そんな本作、設定そのものは面白いのですが、特にどんでん返しや繊細な感情描写があるわけではなく、「まぁ、こうなるだろうな」という展開が続く印象。あまりにもベタだと感じてしまうのは、本当に面白くないからか、古典の中の古典だからか迷ってしまいます。アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))posted with ヨメレバフィリップ・K・ディック 早川書房 1977-03-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
「嵐が丘」エミリー・ブロンテ 評価:2点|世界の十大小説にも選ばれている英国ロマン主義文学の愛憎劇【海外純文学】
英国の著名な作家、ブロンテ三姉妹の二番目、エミリー・ブロンテの小説です。サマセット・モームの「世界の十大小説」にも選ばれる歴史的名作だそうです。とはいえ、大いに楽しめたかと言われればそうではありません。二つの家系の愛憎劇は序盤こそスリリングに思えるものの、ただ愛憎劇が繰り返されるだけの単調さは飽きが来るのも早いです。あらすじ都会から旅に出た青年ロックウッドは、「スラッシュクロス」という田舎の屋敷に泊まることにする。近隣にもう一つある屋敷、「嵐が丘」を訪れたロックウッドだったが、そこでの歓迎は非常に手荒いものであり、ロックウッドは困惑する。「スラッシュクロス」に帰ったロックウッドは「嵐が丘」の住人がそうなってしまった理由を屋敷の女中であるエレンから聞かされる。「嵐が丘」に拾われた子供であるヒースクリフと、「スラッシュクロス」のお嬢様であるキャサリンとの歪んだ恋。それは愛し合い、そして憎しみ合った二つの家の、長きにわたる陰惨な物語......。感想非常に高尚で格式高く書かれた昼メロです。富豪の家に拾われたヒースクリフが家庭をズタズタに引き裂き、そして自身をも破滅に導いていくという筋書きは確...
小説 「木を植えた男」ジャン・ジオノ 星1つ
1. 木を植えた男本作を原作としたアニメーション作品に影響を受けて読んでみました。あの素晴らしいアニメーションを見た後だったからか、字面を追うだけではいまいち感動できませんでした。普通の「いい話」だったなぁという印象です。あすなろセレクション 木を植えた男posted with ヨメレバジャン ジオノ あすなろ書房 2015-10-31AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
小説 「アリソン」 時雨沢恵一 星3つ
第1巻1-1.アリソン「キノの旅」シリーズで有名な時雨沢恵一さんの作品で、後続のシリーズ作品群と合わせて「一つの大陸の物語シリーズ」と呼ばれています。戦闘機が出始めごろの時代における架空の大陸を舞台に、孤児院育ちの青年男女が国を跨いで活躍する冒険活劇、というなかなか珍しいジャンル。「剣と魔法」ならぬ「銃と戦闘機のファンタジー」という形容が相応しいかもしれません。深い感動、というわけにはいきませんでしたが、ライトノベルというよりは往年の児童向けファンタジーを思い起こさせるポップな文体でスラスラ読むことができました。