小説

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武田綾乃

小説 「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部ヒミツの話」 武田綾乃  星1つ

1. 響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部ヒミツの話吹奏楽部に所属する高校生を描いた人気シリーズの番外編短編集。元は宝島社のウェブサイトに掲載されていたもので、それを纏めて出版という運びだそうです。前巻のレビューはこちら。無料で公開されていた作品とはいえ、これはちょっと、と思うようなクオリティでした。【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話 (宝島社文庫)posted with ヨメレバ武田 綾乃 宝島社 2015-05-25AmazonKindle
サン・テグジュペリ

小説 「夜間飛行」 サン・テグジュペリ 星3つ

1. 夜間飛行「星の王子さま」で有名なサン・テグジュペリの作品。飛行機乗りだった当人にとっては、こちらこそまさに本職の小説でしょう。過酷な任務に挑戦する男たちが時代の新境地を拓いていく様子。それが淡々とした筆致で、しかし、情熱的に叙述されるのは見事でした。夜間飛行 (新潮文庫)posted with ヨメレバサン=テグジュペリ 新潮社 1956-02-22AmazonKindle楽天ブックス
☆(小説)

小説 「海がきこえる」 氷室冴子 星1つ

1. 海がきこえる少女小説で有名な氷室冴子さんの作品。ジブリの原作にもなった人気作です。それこそ映画脚本におけるト書きのようだ、と言えばよいのでしょうか。あまりにも淡々としているうえ、内容は何のひねりもない恋愛ものでした。海がきこえる (徳間文庫)posted with ヨメレバ氷室 冴子 徳間書店 1999-06-01AmazonKindle楽天ブックス
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武田綾乃

【吹奏楽スポ根】小説 「響け! ユーフォニアム」 武田綾乃 星1つ

第1巻の感想1. 響け! ユーフォニアム京都アニメーション制作のアニメ「響け! ユーフォニアム」の原作小説です。著者は刊行当時現役大学生だった武田綾乃さん。吹奏楽経験者だからこそという表現や瑞々しい感性という点では良い面も見られたのですが、ストーリーや文章力といった作品の幹となる部分がイマイチという印象でした。アニメ版は非常に良かったために意外な残念さを感じてしまいます。2. あらすじ主人公は高校一年生の黄前久美子(おうまえ くみこ)。京都府立北宇治高校に進学した久美子は中学校に引き続き吹奏楽部に入部するか迷っていたが、同じクラスになった友人たちの勧めもあり、流されるままに入部する。そんな久美子を待っていたのは、新しく顧問になった滝昇(たき のぼる)による厳しい練習。元々はぬるま湯だった北宇治高校吹奏楽部。当初は部員たちも彼に反発するが、上手くなっていく楽しさに気づき、吹奏楽部はコンクールに向け奮い立っていく。そんな中、花形であるトランペットのソロパート決めで波乱が起こる。部内オーディションの結果、三年生の中世古香織(なかせこ かおり)ではなく、一年生の高坂麗奈(こうさか れいな)がソ...
綿矢りさ

「蹴りたい背中」綿矢りさ 評価:4点|スクールカーストを題材に青春の焦燥を描いた現代学園小説の古典【青春純文学】

高校在学中にデビューし、史上最年少で芥川賞を獲った超有名女性作家、綿矢りささん。その芥川賞の受賞作が、印象深いタイトルの本作品です。感想を一言で表しますと、「常にクライマックス」。名作を読み終えるときの、あのふわふわした興奮。最後まで読みたい、でも終わらないでという気持ちが常に胸の内から湧きおこってきます。青春時代に、少しでも疎外感や孤独を感じた、あるいは、そのようなことについて思考を巡らせたことのある人にはぜひ手に取ってもらいたい作品です。あらすじ「今日は実験だから、適当に座って五人で一班つくれ」そんな号令が飛ぶと、「余り物」になってしまう高校一年生。名前は長谷川初実、通称ハツ。そしてハツのクラスにはもう一人「余り物」がいる。オリチャンというアイドルのファンである「にな川」だ。いや、にな川のオリチャンに対する執着は「ファン」を超えている。ハツがそう評するくらい、にな川は熱狂的だ。「オリちゃんと喋ったことがある」ハツがそう言ったことをきっかけに、ハツはにな川の家に誘われるのだが......。他人と交わって「薄まる」ことを拒絶するハツと、交わらないことにさえなにも感じていないにな川。孤独...
トルストイ

「イワンのばか」トルストイ 評価:1点|ロシアの文豪が著したシンプルな勧善懲悪寓話【海外文学】

「戦争と平和」「アンナ・カレーリナ」等の作品で有名なロシアの文豪トルストイが著した寓話。富を求めることや暴力による解決に疑義を呈し、素朴な信仰に基づく生活がよいという直截なメッセージが印象的な作品です。しかし、物語の内容があまりにも単純な勧善懲悪に過ぎ、もうすこし工夫がないと楽しみようがないと思ってしまう作品でした。あらすじとある国のとある場所には、軍人の長男セミョーン、商人の次男タラース、ばかの三男イワン、啞の妹マルタがいた。ある日、悪魔が遣わした二匹の小悪魔のために、セミョーンとタラースは軍隊と財産を失い、イワンのもとへ身を寄せることになった。一方、イワンに遣わされた小悪魔は、腹痛中でも農作業を続けるイワンの真面目さに太刀打ちできずたイワンを不幸にしてしまう目論見が破綻。それどころか、三匹の悪魔はイワンの純真さのために捕らえられ、イワンに贈り物をして消えていく。兄たちはイワンにその贈り物を使って軍隊や財産をつくるように要求し、そのおかげで王様となる。しかし、イワンだけは農民として朴訥とした生活を送るのだった。やがて、イワンたちが住む国の王女が病気だという噂が立ち......。感想純...
川端康成

小説 「雪国」 川端康成 星2つ

1. 雪国「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった」非常に有名な一文から始まる、川端康成の長編代表作です。繊細で心震える省略美、たおやかな視点と形容。それらの評価が高いのは分かりますが、ストーリーが微妙ということもあり読後の感動はそこまで強くありませんでした。雪国 (新潮文庫 (か-1-1))posted with ヨメレバ川端 康成 新潮社 2006-05AmazonKindle楽天ブックス
桜庭一樹

小説 「少女には向かない職業」 桜庭一樹 星2つ

1. 少女には向かない職業直木賞作家、桜庭一樹さんの作品です。彼女の作品の中ではややマイナーでしょうか。東京創元社の本というのも珍しい気がします。内容としては初期の桜庭さんが得意な少女モノですが、ポップな文体と切なく陰惨な心情・情景描写が読ませます。ただ、ストーリーにはかなり疑問が残り、すっきりとした読後感とはいきませんでした。少女には向かない職業 (創元推理文庫)posted with ヨメレバ桜庭 一樹 東京創元社 2007-12-23AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
カフカ

【変身】ある朝、目覚めると、自分の身体が巨大な虫に「変身」していた 評価:2点【フランツ・カフカ】

「審判」「城」などでも有名なフランツ・カフカの作品です。降りかかる不条理に対して主人公が何を思い、どう行動するか。そして、それを取り巻く家族の反応とその悲しい結末。そのような描写は鋭くかつユーモアに富んでおり、文学界に新風をもたらしたのは理解できるのですが、物語の展開が「当然の結末」だらけで意外性がなく、その点の面白さが欠ける小説でした。あらすじある朝目覚めると、グレゴール・ザムザは一匹の巨大な虫に変身していた。真面目な勤め人だったグレゴール。失業中の父の代わりに一家を支え、妹を音楽学校へと進学させるべく辛い仕事に耐えていた。しかし、変身してしまった彼を家族は恐れるようになる。妹のグレーテだけがかろうじて世話をしてくれるものの、虫になってしまったグレゴールの人間性は次第に失われていく。一家の生活も困窮していき、金策として、家の一部を客人へと間借りさせることにしたザムザ一家。ある日、間借り人をグレーテがバイオリンでもてなしていると、そこにグレーゴルが降りてきて.......。感想読む人によって様々な比喩を想起させる作品です。突然、大病を患って要介護になってしまった人や、働き過ぎて精神病に...
川上弘美

「センセイの鞄」川上弘美 評価:2点|穏やかな大人の恋愛小説【純文学】

芥川賞作家、川上弘美さんのベストセラー小説です。谷崎潤一郎賞を受賞した「純文学」なのですが、異例なほど売れた作品。小泉今日子さん主演で映画化もされています。大人の恋のなかにある淡くて切ない心境に感動できる一方、登場人物の現実感や物語の起伏という点ではイマイチな作品でした。あらすじ37歳独身のOL、大町月子は居酒屋で高校の恩師と再会する。「センセイ」こと松本春綱は月子の30歳年上。奥さんを亡くしているセンセイと、彼氏のいない月子。二人は居酒屋で、あるいはキノコ狩りで、徐々に打ち解けあってゆく。そんな中、高校の同級生である小島孝が月子にアプローチする。月子はその誘いを断り、自分の中での先生への想いを明確にしていく。それでも、なかなか決定的なところまで踏み出せない。しかし、小島孝に旅行に誘われたことをセンセイに打ち明けると、意外にもセンセイが「島に行きませんか」と誘ってきて......。感想紳士的で穏やかなセンセイとの、大人の恋愛。センセイに惹かれていく月子の内面が抒情的に描かれ、こちらにまで切ない気持ちが伝わってきます。ただ、この小説の良いところはその一点のみ。センセイにも月子にも、まるで...
カミュ

【共感は欺瞞】小説「異邦人」カミュ 評価:3点【海外文学】

ノーベル賞作家、アルベール・カミュの代表作です。面白いと思う人とつまらないと思う人が分かれる作品ですが、私は好みです。「共感」ばかりが重要視され、真実を客観的に見る視点を失った現代社会。「誰もがそう思っている」に過ぎない「常識」が、まるで「道徳・正義」のように扱われる今日。そのような風潮に疑問を投げかけ続ける古典の佳作です。あらすじ主人公、ムルソーの母が養老院で亡くなるところから物語は始まる。葬儀に参加するために養老院へ向かうも、涙一つ見せず、母の死体も見ず、ミルクコーヒーを楽しむムルソー。その翌日には恋人のマリィと海水浴に行き、映画を見て笑う。何事にも動じず、淡々と過ごす彼だが、頼まれれば友人を助け、話を聞き、遊びに誘われればついてゆく。その理由は「それをしない理由がないから」だとムルソーは言う。理性・感情を持ちながら、一切の「人間らしさ」がないように見えるムルソー。ある日、彼はビーチでアラビア人を殺し、裁判にかけられることになったのだが......。感想味のある良い作品だと思います。母の死に涙を流し、我を忘れるほど思いつめること、その後しばらくは立ち直れないこと。そんな人物を、我々...
☆☆(小説)

小説 「伊豆の踊子」 川端康成 星2つ

1. 伊豆の踊子前置きはいらないほどの有名作品。吉永小百合さんや山口百恵さんが主演した同名映画の原作としても知られています。描写の美しさは折り紙付きで、特に踊子のいきいきとした描き方には感動がありますが、物語としての含蓄や面白さがあると言われると微妙なように感じられました。伊豆の踊子 (新潮文庫)posted with ヨメレバ川端 康成 新潮社 2003-05-05AmazonKindle楽天ブックス
山田詠美

小説 「ぼくは勉強ができない」 山田詠美 星2つ 

1. ぼくは勉強ができない「新潮文庫の100冊」の常連であることからも知っている人が多いのではないでしょうか。文藝賞でのデビュー以来、直木賞、谷崎潤一郎賞、川端康成賞などを受賞し、純文学とエンターテイメントの両方で活躍する作家、 山田詠美さんの作品です。コミカルな語り口と勉強一辺倒に対する爽やかな反論が面白い一方で、勉強のやり過ぎは悪、恋することこそ善といった二項対立で物事を語ることができた時代に取り残されてしまった作品でもあるように思いました。ぼくは勉強ができない (新潮文庫)posted with ヨメレバ山田 詠美 新潮社 1996-03-01AmazonKindle楽天ブックス
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