☆(小説)

梨木香歩

小説 「西の魔女が死んだ」 梨木香歩 星1つ

1.西の魔女が死んだ 児童文学作家である梨木香歩さんの作品。1994年に単行本、2001年に文庫化された小説で、特に文庫化の頃に爆発的に流行った記憶があります。当時のベストセラーで100万部以上売れていたうえ、いまでも「新潮文庫の100冊」でレギュラー的な扱いなので部数を伸ばしていることでしょう。 ざっくり言うと「学校に行きづらくなった少女まいがお祖母ちゃんと共に田舎の家で過ごすことでその心が再生していく過程を温かく描く」という小説なのでなかなか批難しづらい小説(少しでもケチをつけると心無い人だと思われそう)ですが、そんな心理的抵抗を乗り越えつつ星1つを本ブログではつけます。中身のない小説です。 2.あらすじ 学校にうまく馴染めず、不登校になったしまった中学一年生のまい。母親の勧めにより、まいは田舎のおばあちゃんと一緒に過ごすことになる。 そんなまいを温かく迎え入れたおばあちゃん。ジャムをつくったり鶏の世話をしたりして過ごす生活のことをおばあちゃんは「魔女修行」と呼んだ。それは 「早寝早起き。食事をしっかりとり、よく運動し、規則正しい生活をする」...
青木祐子

小説 「これは経費で落ちません ~経理部の森若さん~」 青木祐子 星1つ

1. これは経費で落ちません いわゆる「ライト文芸」や「キャラ文芸」と呼ばれるジャンルの作品で、「働く女性(都市部の事務員)」が主人公と、流行りの要素を詰め込んだ作品。シリーズは現在(2019年9月)時点で6巻まで刊行されており、累計70万部突破と出版不況の中で気を吐く人気作品です。NHKでドラマ化もされており、2019年7月から放送されています。 しかしながら、私個人としてはあまり楽しめませんでした。いかにもフィクションな「キャラクター」で埋め尽くされる現実感のない職場が舞台で、「経理部」や「経費」という表題の要素もおまけ程度で掘り下げられることもなく、いわゆる「日常の謎」をさらに薄めたような、起伏も何もあったもんじゃない程度の出来事ばかりで物語は進行します。リアリティがないのに日常ものという長所が見出しづらい作品で、なぜヒットしているのか理解しがたいというのが正直な感想です。 2. あらすじ 主人公、 森若沙名子(もりわか さなこ)は 20代後半 。「天天コーポレーション」の経理部に勤めている。部長を含め4人の経理部の中では3番目の年次だが、その的...
武田綾乃

小説 「その日、朱音は空を飛んだ」 武田綾乃 星1つ

1. その日、朱音は空を飛んだ 大学在学中に「今日、きみと息をする」で日本ラブストーリー大賞の「隠し玉」を射止め、大学生で小説家デビューを果たした武田綾乃さんの作品。本作で吉川英治文学新人賞の候補になるなど、新進気鋭の若手作家として注目を集めております。 代表作はなんといっても「響け!ユーフォニアム」シリーズでありまして、本ブログでも何度か取り上げてきました。 そんな「響け!ユーフォニアム」シリーズの合間に出版された本作ですが、全体としては非現実感やあまりの極端さが強く前面に出てしまっていてイマイチだったという感想。確かに、極端に個性的なキャラクターを出せば突飛な行動を起こしてくれるの物語に起伏はつきますが、そこに読者として感情移入しスリルを感じられるかといえば難しいところ。変わった性格のいかにもフィクション的登場人物が変わったことをするだけの話であり、小説としての技巧や物語から受ける驚きは薄いものでした。 2. あらすじ 舞台はとある進学校、ある日、 2年生の川崎朱音(かわさき あかね)が屋上から飛び降りて自殺してしまう。 何...
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加納朋子

小説 「少年少女飛行倶楽部」 加納朋子 星1つ

1. 少年少女飛行倶楽部 「日常の謎」を描いたミステリーで定評のある加納さんですが、本作は珍しくミステリー要素なし。あとがきでも「底抜けに明るい、青春物語が書きたくなりました」とあるように、中学生の爽やかな青春譚という雰囲気です。 感想としては、全体的に軽すぎるかなという印象。変わり者の集まった部活である「飛行クラブ」の活動を描いた物語なのですが、登場人物が意味もなく非現実的でいかにも「作り物」感があります。問題の解決方法も軽々しく、どこで心を動かされればよいのだろうかと思ってしまいました。 2. あらすじ 中学一年生になった海月(みづき)、幼馴染の樹絵里(じゅえり)に誘われるがまま入部することになったのは「飛行クラブ」という奇妙な部活。二人以外の部員は部長の斎藤神(さいとう じん)先輩と野球部と兼部の中村海星(なかむら かいせい)先輩だけ。「(飛行機やヘリコプターを使わず、パラシュートなどの「落下」を除いた手段で)飛行すること」を活動内容として掲げているが、実際には何もしていない。部活強制の学校で孤高を貫く神先輩が他の部活に入らないために立ち上げただ...
谷村志穂

小説 「海猫」 谷村志穂 星1つ

1. 海猫 エッセイを含め女性の生き方にまつわる著作が多い谷村志穂さんの作品。上下巻合わせて600ページ超の本作で島清恋愛文学賞を受賞しており、映画化までされていることから代表作といっても良いでしょう。親子三代に渡る母娘の恋愛物語という昨今の文芸界ではあまり見られなくなった系統の作風です。 個人的評価としては唾棄すべき作品で、ほとんど良い点が見当たりません。谷村さんがデビューした1991年といえばちょうど出版業界の最盛期にあたります。出せば当たる時代の産物なのかと想像してしまいます。 2. あらすじ 野田薫は故郷の函館から漁村である南茅部の赤木家へ嫁いできた。ロシア人と日本人のハーフである薫は青い目と白い肌を持っており、それが原因で疎まれることも多かったのだが、偶然出会った 赤木邦一からアプローチを受けついに女の幸せを掴んだのだった。 長女の美輝も生まれ、夫婦生活は順調に思われた。しかし、邦一が入院先の看護婦である啓子との不倫に走ったことから夫婦のあいだには亀裂が入る。人形のような薫よりも啓子の母性に惹かれる邦一。そんな中、邦一の弟である広次の...
志賀直哉

小説 「暗夜行路」 志賀直哉 星1つ

1. 暗夜行路 「小説の神様」とまで称され、近代日本文学を代表する作家とされている志賀直哉。「城の崎にて」などの中短編で有名ですが、たった一つ長編も書いていて、それが本作「暗夜行路」。 日本文学を語るうえで避けては通れない作品ということで期待していたのですが、その期待は見事に裏切られました。典型的な拙い私小説という印象で、近代小説「黎明期」に、比較対象が少なかったから評価された作品なのだと思います。現代にも通じる普遍性はなく、現代の小説技術と比べて明らかに劣後しているため、物好き以外は読まなくてもよい作品でしょう。 2. あらすじ 主人公、時任健作は東京に住む小説家。といっても執筆にはなかなか気乗りせず、芸者遊びに興じるなど放蕩生活を送っている。 そんな暮らしから脱しようと、尾道への転居を決意した謙作。尾道での生活の中で、謙作は自分の気持ちを整理し、これまでずっと東京で身の回りの世話をしてくれていたお栄という女性に結婚を申し込むことを決意する。 しかし、その依頼を兄である信行にしたところ、信行から衝撃的な事実が告げられる。謙作は謙作の祖父と...
☆(小説)

小説 「砂の城」 遠藤周作 星1つ

1. 砂の城 「海と毒薬」や「沈黙」で有名な、戦後日本文学を代表する作家の一人、遠藤周作の作品。解説でも「軽小説である」と言及されている通り、遠藤周作の名声を押し上げた文学作品たちとは一線を画す、すらすらと呼んでいける青春小説です。 このように紹介するのも、多分に時代性のある大衆文学過ぎまして現代の小説として通用するとは言い難く、小説の構成上も難ありと思った次第。やはり遠藤周作は重厚な文学作品でこそ本領を発揮するのでしょう。 砂の城 (新潮文庫 (え-1-12)) posted with ヨメレバ 遠藤 周作 新潮社 1979-12-27 Amazon Kindle 楽天ブックス
☆(小説)

小説 「女生徒」 太宰治 星1つ

1. 女生徒 言わずと知れた文豪、太宰治の短編集。彼が記した小説の中でも、女性を主人公にした告白体小説ばかりを集めたのがこの作品です。 女性の気持ちをよく汲みとっていて、女性ファンも多かったとされる太宰。とはいえ、あまりにも古めかしい女性ばかりが描かれていて、当時の女性(それも熱心な文学ファンの偏執狂でしょう)の心は捉えらえたのかもしれませんが、現代まで通じる古典になってはいない作品でした。 女生徒 (角川文庫) posted with ヨメレバ 太宰 治 角川グループパブリッシング 2009-05-23 Amazon Kindle 楽天ブックス
日日日

小説 「ゆめにっき」 日日日 星1つ

1. ゆめにっき 2004年に公開された知る人ぞ知るフリーゲーム、「ゆめにっき」のノベライズ版です。原作はRPGツクールで作成されたうえでネット上で無料公開されており、いまでも遊ぶことができます。また、小説版である本作をはじめメディアミックスも盛んであり、漫画版やイメージ音楽、各種グッズも販売されているほか、最近では原作リメイクのゲームも発売されたようです。 私も原作ファンであり、個人開発のフリーゲームながら根強い人気があるのは嬉しいのですが、この小説版に限っては残念だというのが正直な感想です。あの「ゆめにっき」が誇る、他の娯楽作品にない特徴をあまりにも簡単に捨て去ってしまっています。 ゆめにっき (VG文庫) posted with ヨメレバ 日日日 PHP研究所 2015-11-05 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
☆(小説)

小説 「ぼくらの七日間戦争」 宗田理 星1つ

1. ぼくらの七日間戦争 有名なジュブナイル小説シリーズの第一作です。1988年には宮沢りえさんの女優デビュー作ともなった映画が公開されています。近年でも児童向けのレーベルである角川つばさ文庫でシリーズ最新作が続々と刊行されているようです。 そんな往年の人気作ですが、個人的な感想としては古いし拙いという印象。シリーズ各巻のタイトルを見ても、その時その時の流行を安易に取り入れ、廃れることを厭わない、古典であることや普遍的であることを目指さないような著作スタイルを持つ作家さんであるようで、私の好みには合いませんでした。 ぼくらの七日間戦争 (角川文庫) posted with ヨメレバ 宗田 理 角川書店 1985-04 Amazon Kindle
☆(小説)

小説 「今夜、きみは火星にもどる」 小嶋陽太郎 星1つ

1. 今夜、きみは火星にもどる 万城目学さんなどを輩出したボイルドエッグズ新人賞を受賞してデビューした小嶋陽太郎さんの作品。デビュー当時は大学生だったそうで、文体もまだまだ若いです。 しかし、作品の内容は若いというより未熟。不思議な世界観で巻き起こるちょっと文学的な何かを目指したのかもしれませんが、全体として拙い印象を受けました。 今夜、きみは火星にもどる (角川文庫) posted with ヨメレバ 小嶋 陽太郎 KADOKAWA 2017-10-25 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
桜庭一樹

小説 「荒野」 桜庭一樹 星1つ

1. 荒野 もとはファミ通文庫から3冊分冊で出版されていた作品ですが、後に文藝春秋/文春文庫が出版。さらに表紙をリニューアルして再刊行もされています。桜庭一樹さんが一段階有名になるたびに出版されていると言っていいでしょう。 ライトノベルというより少女小説と呼んだ方が相応しい読みやすい文体で、星1つをつけるほどの致命的な落ち度はありません。しかし、「少女の繊細な成長」を描くことに終始しすぎたせいでドラマがなく、また、その「少女の繊細な成長」という側面でも、主人公の家庭環境があまりに特殊なことからリアリティを感じられませんでした。 荒野 (文春文庫) posted with ヨメレバ 桜庭 一樹 文藝春秋 2017-05-10 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
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