☆(小説)

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☆(小説)

小説 「海猫」 谷村志穂 星1つ

1. 海猫エッセイを含め女性の生き方にまつわる著作が多い谷村志穂さんの作品。上下巻合わせて600ページ超の本作で島清恋愛文学賞を受賞しており、映画化までされていることから代表作といっても良いでしょう。親子三代に渡る母娘の恋愛物語という昨今の文芸界ではあまり見られなくなった系統の作風です。個人的評価としては唾棄すべき作品で、ほとんど良い点が見当たりません。谷村さんがデビューした1991年といえばちょうど出版業界の最盛期にあたります。出せば当たる時代の産物なのかと想像してしまいます。 2. あらすじ野田薫は故郷の函館から漁村である南茅部の赤木家へ嫁いできた。ロシア人と日本人のハーフである薫は青い目と白い肌を持っており、それが原因で疎まれることも多かったのだが、偶然出会った 赤木邦一からアプローチを受けついに女の幸せを掴んだのだった。長女の美輝も生まれ、夫婦生活は順調に思われた。しかし、邦一が入院先の看護婦である啓子との不倫に走ったことから夫婦のあいだには亀裂が入る。人形のような薫よりも啓子の母性に惹かれる邦一。そんな中、邦一の弟である広次の想いに薫は応えてしまう。広次との子である美哉を出産...
志賀直哉

小説 「暗夜行路」 志賀直哉 星1つ

1. 暗夜行路「小説の神様」とまで称され、近代日本文学を代表する作家とされている志賀直哉。「城の崎にて」などの中短編で有名ですが、長編も一作だけ書いていて、それが本作「暗夜行路」。日本文学を語るうえで避けては通れない作品ということで期待していたのですが、その期待は見事に裏切られました。典型的な拙い私小説という印象で、近代小説「黎明期」に、比較対象が少なかったから評価された作品なのだと思います。現代にも通じる普遍性はなく、現代の小説技術と比べて明らかに劣後しているため、物好き以外は読まなくてもよい作品でしょう。2. あらすじ主人公、時任健作は東京に住む小説家。といっても執筆にはなかなか気乗りせず、芸者遊びに興じるなど放蕩生活を送っている。そんな暮らしから脱しようと、尾道への転居を決意した謙作。尾道での生活の中で、謙作は自分の気持ちを整理し、これまでずっと東京で身の回りの世話をしてくれていたお栄という女性に結婚を申し込むことを決意する。しかし、兄である信行に結婚申込み依頼を頼んだところ、信行から衝撃的な事実が告げられる。謙作は謙作の祖父と謙作の母のあいだに出来た不義の子であり、お栄はそんな...
☆(小説)

小説 「砂の城」 遠藤周作 星1つ

1. 砂の城「海と毒薬」や「沈黙」で有名な、戦後日本文学を代表する作家の一人、遠藤周作の作品。解説でも「軽小説である」と言及されている通り、遠藤周作の名声を押し上げた文学作品たちとは一線を画す、すらすらと呼んでいける青春小説です。このように紹介するのも、多分に時代性のある大衆文学過ぎまして現代の小説として通用するとは言い難く、小説の構成上も難ありと思った次第。やはり遠藤周作は重厚な文学作品でこそ本領を発揮するのでしょう。砂の城 (新潮文庫 (え-1-12))posted with ヨメレバ遠藤 周作 新潮社 1979-12-27AmazonKindle楽天ブックス
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太宰治

小説 「女生徒」 太宰治 星1つ

1. 女生徒言わずと知れた文豪、太宰治の短編集。彼が記した小説の中でも、女性を主人公にした告白体小説ばかりを集めたのがこの作品です。女性の気持ちをよく汲みとっていて、女性ファンも多かったとされる太宰。とはいえ、あまりにも古めかしい女性ばかりが描かれていて、当時の女性(それも熱心な文学ファンの偏執狂でしょう)の心は捉えらえたのかもしれませんが、現代まで通じる古典になってはいない作品でした。女生徒 (角川文庫)posted with ヨメレバ太宰 治 角川グループパブリッシング 2009-05-23AmazonKindle楽天ブックス
日日日

小説 「ゆめにっき」 日日日 星1つ

1. ゆめにっき2004年に公開された知る人ぞ知るフリーゲーム、「ゆめにっき」のノベライズ版です。原作はネット上で無料公開されており、いまでも遊ぶことができます。また、小説版である本作をはじめメディアミックスも盛んであり、漫画版やイメージ音楽、各種グッズも販売されているほか、最近では原作リメイクのゲームも発売されたようです。私も原作ファンであり、個人開発のフリーゲームながら根強い人気があるのは嬉しいのですが、この小説版に限っては残念だというのが正直な感想です。あの「ゆめにっき」が誇る、他の娯楽作品にない特徴をあまりにも簡単に捨て去ってしまっています。ゆめにっき (VG文庫)posted with ヨメレバ日日日 PHP研究所 2015-11-05AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
☆(小説)

小説 「ぼくらの七日間戦争」 宗田理 星1つ

1. ぼくらの七日間戦争有名なジュブナイル小説シリーズの第一作です。1988年には宮沢りえさんの女優デビュー作ともなった映画が公開されています。近年でも児童向けのレーベルである角川つばさ文庫でシリーズ最新作が続々と刊行されているようです。そんな往年の人気作ですが、個人的な感想としては古いし拙いという印象。シリーズ各巻のタイトルを見ても、その時その時の流行を安易に取り入れ、廃れることを厭わない、古典であることや普遍的であることを目指さないような著作スタイルを持つ作家さんであるようで、私の好みには合いませんでした。ぼくらの七日間戦争 (角川文庫)posted with ヨメレバ宗田 理 角川書店 1985-04AmazonKindle
☆(小説)

小説 「今夜、きみは火星にもどる」 小嶋陽太郎 星1つ

1. 今夜、きみは火星にもどる万城目学さんなどを輩出したボイルドエッグズ新人賞を受賞してデビューした小嶋陽太郎さんの作品。デビュー当時は大学生だったそうで、文体もまだまだ若いです。しかし、作品の内容は若いというより未熟。不思議な世界観で巻き起こるちょっと文学的な何かを目指したのかもしれませんが、全体として拙い印象を受けました。今夜、きみは火星にもどる (角川文庫)posted with ヨメレバ小嶋 陽太郎 KADOKAWA 2017-10-25AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
桜庭一樹

小説 「荒野」 桜庭一樹 星1つ

1. 荒野もとはファミ通文庫から3冊分冊で出版されていた作品ですが、後に文藝春秋/文春文庫が出版。さらに表紙をリニューアルして再刊行もされています。桜庭一樹さんが一段階有名になるたびに出版されていると言っていいでしょう。ライトノベルというより少女小説と呼んだ方が相応しい読みやすい文体で、星1つをつけるほどの致命的な落ち度はありません。しかし、「少女の繊細な成長」を描くことに終始しすぎたせいでドラマがなく、また、その「少女の繊細な成長」という側面でも、主人公の家庭環境があまりに特殊なことからリアリティを感じられませんでした。荒野 (文春文庫)posted with ヨメレバ桜庭 一樹 文藝春秋 2017-05-10AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
☆(小説)

小説 「親友」 川端康成 星1つ

1. 親友 言わずと知れたノーベル賞作家、川端康成の少女小説です。「女学生の友」に載せられていただけあり、児童小説の趣が濃くなっております。 本当に良い児童小説は大人にも深い感銘を与えるものですが、残念ながら、本書からそのような薫風を感じることはできませんでした。 親友 (小学館文庫) posted with ヨメレバ 川端 康成 小学館 2017-08-08 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
☆(小説)

小説 「隣の家の少女」 ジャック・ケッチャム 星1つ

1. 隣の家の少女隣の家に引っ越してきた少女が受ける悲惨な虐待を描いたホラーものです。そこそこ有名な作品のようなので、単なるホラー以上の何かがあるのかと思い手に取りましたが、わたしの好みには全く合わない作品でした。隣の家の少女 (扶桑社ミステリー)posted with ヨメレバジャック ケッチャム 扶桑社 1998-07-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
時雨沢恵一

【リリアとトレイズ】期待はずれだった「銃と戦闘機の冒険活劇」の続編 評価:1点【時雨沢恵一】

・リリアとトレイズⅠ&Ⅱ1. そして二人は旅行に行った「一つの大陸の物語」シリーズの第2幕にあたり、第1幕である「アリソン」の続編になります。「アリソン」のレビューはこちら活躍するのは「アリソン」で主人公だったアリソンとウィルの子供世代。「アリソン」が「世界を救うアドベンチャー」だったのに対して、「リリアとトレイズ」は突発的に起こるテロと対決する内容がメインのため、物語全体がスケールダウンしてしまった印象です。加えて、「アリソン」では主人公の二人が共に孤児院育ちの幼馴染であり、「孤児院出身の二人が知恵と勇気と自ら身につけた能力で困難を突破する」という部分が魅力だったところ、「リリアとトレイズ」では「豊かな階層出身の二人が両親から授けられた特殊技能を振るって問題を解決する」になってしまったのが痛いところ。ワクワクドキドキを呼ぶような作品にはなっていませんでした。2. あらすじ大きな海に一つの大陸が浮かぶ世界。その大陸では、山脈と大河を挟んで二つの国が対峙していた。東側がロクシアーヌク連邦。通称ロクシェ。西側がベゼル・イルトア王国連合。通称スー・ベー・イル。長年の対立状態にあった両国だが、...
☆(小説)

小説 「木を植えた男」ジャン・ジオノ 星1つ

1. 木を植えた男本作を原作としたアニメーション作品に影響を受けて読んでみました。あの素晴らしいアニメーションを見た後だったからか、字面を追うだけではいまいち感動できませんでした。普通の「いい話」だったなぁという印象です。あすなろセレクション 木を植えた男posted with ヨメレバジャン ジオノ あすなろ書房 2015-10-31AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
武田綾乃

小説 「響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部ヒミツの話」 武田綾乃  星1つ

1. 響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部ヒミツの話吹奏楽部に所属する高校生を描いた人気シリーズの番外編短編集。元は宝島社のウェブサイトに掲載されていたもので、それを纏めて出版という運びだそうです。前巻のレビューはこちら。無料で公開されていた作品とはいえ、これはちょっと、と思うようなクオリティでした。【TVアニメ化】響け! ユーフォニアム 北宇治高校吹奏楽部のヒミツの話 (宝島社文庫)posted with ヨメレバ武田 綾乃 宝島社 2015-05-25AmazonKindle
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