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漫画 「聲の形」 大今良時 星3つ

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聲の形
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将也が高校に入ってから出会う人物たちも、容姿が悪く空気が読めないくらい真っすぐな性格だからこそ友達ができずらい永束友宏(ながつか ともひろ)や、自身のいじめられた経験から捻くれた性格になっている真柴智(ましば さとし)など、やや問題を抱えた人物ばかり。類は友を呼ぶといってもよいのかもしれませんが、そんな彼らも将也と硝子の関係性に巻き込まれながら自分自身を少しずつ変えていくのが見どころです。

全七巻とコンパクトに纏まっているため、物語展開もめまぐるしく中だるみなく進行していきます。

小学生時代の鮮烈ないじめ描写が特徴の第1巻、高校生になった将也と硝子が「あの頃」を引きずりながらも親交を深めていく第2巻、硝子の将也への告白未遂が見られる第3巻、聴覚障がい者の娘を抱える西宮家の葛藤が描かれ硝子の祖母の死で幕を閉じる第4巻、硝子の自殺未遂とそれを救うため重体となる将也という劇的な展開の第5巻、将也が入院中のエピソードとして、初めて将也以外の登場人物の主観視点から物語が進むことでこれまで間接的にしか描かれて来なかった将也以外の人物たちの葛藤が描かれる第6巻、高校卒業を控えそれぞれが将来に向けて歩みだす第7巻。

全巻に見どころがあるのポイントで、きっと一瞬で読み終わってしまったような感覚に陥ること請け合いの漫画になっています。平成後期における社会派ヒューマンドラマを代表する作品といえるでしょう。そういったジャンルが好きな方にはお薦めできる作品です。

4. 終わりに

既読者向けの感想となりますが、個人的に一番将来が気になるのは佐原みよこですね。彼女以外の登場人物たちは高校生活を通じて自分自身に対する「気づき」を得て自分自身を見つめ直しているのに対し、彼女は「自分を高めなきゃ」教に入信したままです。

努力をする自分という自分にしかアイデンティティを見いだせていない彼女がどこかでぽっきりと折れてしまう。もし、本作に続編があるとすればそんなところから始まるのかなと思ってしまいます。

☆☆☆(漫画)聲の形
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明日も物語に魅せられて

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