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【空き家問題を考える】教養書「老いた家、衰えぬ街」野澤千絵 評価:2点【住宅政策】

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老いた家、衰えぬ街
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住宅を不動産仲介業者から購入する場合、日本の法律では買い手への保護が非常に手厚くなっているため、売り手は様々な書類を準備したり、審査に合格しなければなりません。

だからといって、自身が保有する「空き家」の売却を不動産仲介業者に委託してしまうと、仲介業者はとにかく高く売って仲介料を稼ごうとするために、売り手が望まないような人が愛着ある住宅の引継ぎ者になってしまったり、逆に、新築重視の不動産取引市場の中で、不動産仲介業者から預かることを断られてしまう可能性があります。

だからこそ、売り手が買い手と直接会い、住宅を案内し、最高落札額に依らず買い手を選べるシステムに需要が生まれているとのことです。

そして、売買の合意がなされた後に「家いちば」の運営会社が必要書類の取得などの煩雑な事務を行うという、効率的な仕組みになっています。

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第5章 さあ「住まいの終活」を始めよう

第5章は、各個人が保有する住宅の「終活」をしよう、つまり、「空き家」にならないようしっかり準備しましょうという自助努力を促す章で、どのような情報を収集し、どのような事項を確認し、どのように処分(売却・賃貸・解体)していけば保有する住宅が「空き家」にならないかということが記載されております。

政策的な調査や提言ではなく、あくまで各個人がどうするべきかという話なので本記事では大部分の紹介を割愛いたしますが、個人レベルでの「住まいの終活」活動をどう支援していくべきかという話の流れの中で、解体費の税控除といった解体促進策や、低額物件の取引仲介を行う担い手づくりに言及されていたのは興味深く、良い内容だと感じました。

結論

個人個人が行うべき住まいの「終活」についての話が多く、相続の話なども個人に対して危機感を煽るような筆致であり、政策についての調査・研究に特化した本という訳ではありません。

ただ、上述の通り、海外や国内における行政やNPOの取り組みが紹介されている箇所も存在し、日本ではマイナーな「住宅政策」という分野において、そういった公的な取り組みを知ることができる貴重な文献でもあります。

自分や身内が「空き家」もしくは「空き家予備軍」を保有している場合、もしくは、「住宅政策」の分野に尋常ではない興味がある場合、そんな場合には読んでみてもよいのではないでしょうか。

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