アニメ映画 「千年女優」 監督:今敏 星2つ

千年女優
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1. 千年女優

「パプリカ」等を手掛け、アニメーション映画界では著名な今敏監督の作品。

込み入った手法は面白く、オタク受けする作品であることは間違いないのですが、逆に、「解釈」や「理論の理解」なしでは楽しめない作品になってしまっている印象でした。

2. あらすじ

映画制作会社社長の立花源也と、カメラマンの井田恭二は、インタビューのため山奥にある藤原千代子の家を訪れる。藤原千代子、既に引退してから長く経っているものの、日本映画界を長年支えてきた名女優としてれている。

インタビューの冒頭、立花は千代子に「鍵」を手渡す。それは千代子が長年大事にしてきた「鍵」であり、千代子の人生に大きな影響をもたらしてきたものだった。

「鍵」をきっかけに自分の人生を語りだす千代子。数奇な運命を辿った大女優の人生とは.......。

3. 感想

ストーリーの入れ子構造や、小物、色彩の表現など、作品を「解釈」することを楽しめる人には面白い作品になっており、現にネット上でも映画ファンと見られる人の解釈が多く語られています。

確かに、「鍵」を落とした素敵な男性をひたすらに追い求める人生が暗喩しているものや、赤を強調する色彩表現、「あの人を追いかけてる私が好きなんだもの」という最後の台詞の皮肉など、私のような解釈好きの食指を動かす要素が各所に散りばめられています。

しかし、この映画の特徴はただそれだけなのです。ストーリーの繋がりや、どんでん返し、感情の揺さぶりといった、一般的に魅力的な「物語」に必要なものがすべて放擲されてしまっています。この決定的な欠点に言及せずに、この映画を手放しに褒めることほど愚かなことはないでしょう。

たとえ深い解釈をすることができなくても、表面をなぞって面白い作品でなければ、視聴し続けることは困難です。街中からランダムにピックアップした人々にこの映画を見せれば、半数以上は途中で寝てしまうのではないでしょうか。

ただ「深そうな」作品をつくることは非常に簡単です。破綻しないことや感情移入をしやすいことといった、乗り越えるべき困難を全て回避できてしまうからです。

表面をなぞっても面白く、なおかつ、より深い解釈とそれにまつわる新たな感動がある作品。そういった、理想的作品からはあまりにもほど遠い映画だと言えるでしょう。

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