「響け!ユーフォニアム ~北宇治高校吹奏楽部へようこそ~」石原立也 評価:4点|一筋縄ではいかない人間関係が交錯する波乱万丈の吹奏楽スポ根【青春アニメ】

響け!ユーフォニアム

高校の吹奏楽部を舞台にしたアニメーション作品です。

先日、第二期の第一話が放送されました。

第一期がなかなか見応えあるものだっただけに第二期にも大きな期待を寄せているのですが、ここではその期待の理由となっている第一期を総評したいと思います。

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あらすじ

小学四年生以来ユーフォニアムを演奏し続けている黄前久美子(おうまえ くみこ)だったが、高校では吹奏楽部に入るつもりはなく、入学したのも吹奏楽では落日の古豪、京都府立北宇治高等学校であった。

しかし、級友たちの誘いを断れず、久美子は吹奏楽部に入部することになる。

全体として士気が低く、練習への熱意にも温度差がある吹奏楽部ではあったが、辣腕の音楽教師、滝昇(たき のぼる)が顧問に就任したことで、部の雰囲気は少しずつ変わっていく。

ところが、コンクールに向けてレギュラーの演奏メンバーが選ばれる段になり、吹奏楽部に緊張が走るようになる。

実力主義を前面に押し出す滝は、ユーフォニアムのメンバー選考で2年生の中川夏紀(なかがわ なつき)を落として久美子を選ぶなど、上級生に対する温情を一切見せることはない。

そういった選考の中でも吹奏楽部を動揺させたのは、トランペットのソロ演奏者に、3年生であり精神的にも部の中核である中世古香織(なかせこ かおり)ではなく、一年生の高坂麗奈(こうさか れいな)が選ばれたことだった。

久美子と同じ中学校出身の麗奈は、その父親と滝の父親とが親交深く、北宇治高校にも滝が赴任するという事前情報を得て入学したという異色の存在であった。

そんな麗奈を滝が選んだことに、部員の間ではえこひいきがあったのではないかという疑惑が生まれる。そんな中、個人的にもソロ演奏者を諦められない香織は、滝に再度のオーディションを願い出るのだが......。

感想

弱小高校が偶然に良い指導者と2、3人の才覚ある選手を得て、そこに努力を加えて全国への道を駆け上がる、という王道ストーリーではありますが、単なる王道に留まらない構成の力と、ありそうでなかった「弱さの理由」が面白いと思わせる作品です。

構成において、この作品は起承転結が非常に明快でスムーズに流れていくという面において非常に高く評価できると考えます。

「起」は久美子と麗奈が入学することであり、「承」は吹奏楽の雰囲気が変化していく場面、そして「転」が選考・オーディション、「結」はコンクールでの演奏にあたるのですが、無駄がかなり少なく、常にテンポ良く、それでいてそれぞれの場面に面白い要素が詰め込まれ、視聴者を楽しませてくれます。

まず「起」ですが、このようなタイプの物語においては、弱小高校に実力者が入学する理由の合理性が問われます。

傑出した実力を持った生徒は中学時代から注目を集め、潤沢な資金と設備がある強豪私立高校が攫っていってしまうのが現実であり、また、それほどではなくとも、ある程度の能力がある生徒は公立の中でも比較的芽がありそうな高校に入ろうとするものです。

そこで、この作品はある「事件」を用意します。

それは、久美子と麗奈の所属する中学校の吹奏楽部が、府大会で惜しくも関西大会進出を逃すという事件です。

その事件は久美子の心情に大きな影響を与えます。

「全国大会出場」という部の目標がかけ声だけだったことを改めて思い知り、上級生との軋轢の記憶も深く、実力よりも「思い出」を重視する温情的な差配にも嫌気がさしていた。

すっかり熱意を失ってしまっている久美子が吹奏楽部を度外視して高校選びをする条件を整えることで、ユーフォニアム歴7年という熟練者が北宇治高校に入学します。

一方で、本気で全国を狙う実力と熱意の持ち主である麗奈を、滝昇の赴任という前情報があるという装置で北宇治高校に惹きつけます。

しかし、それだけで弱小部は急に脱皮しません。

ここで、一風変わった「弱さの理由」が登場します。

北宇治高校吹奏楽部は曲がりなりにも古豪であり、何十人の部員を抱えています(そのような意味では実際のところ中堅くらいなのかもしれません)。

しかし、人間関係や路線対立により漂う諦観が部活をダメにしている、という設定です。

これにより、実力、潜在能力ともに持っていながら発揮しきれていないというアリバイを作りつつ、「熱血部活モノ」でありながら(なんと主人公の所属する側に)「人間関係がアキレス腱」というありそうでなかった独特の構図を作り上げています。

ここまで用意が揃えば「承」までの流れは視聴者の心にストンと入ってきます。

滝がその手腕で部員を惹きつけて熱意を注入し、そして新加入の一年生により実力の底上げもなされた吹奏楽部はある程度の盛り上がりを見せます。

チームが(特に合理的な理由で)強くなっていく様子というのは万民の心へ訴えかける感動がありますし、視聴者の昂奮も高まります。

しかし、いみじくも作者はここで「転」を挿入します。

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