【純文学】おすすめ純文学小説ランキングベスト3【オールタイムベスト】

純文学

・短評

穴底の民家には砂が流れ込んでおり、この砂を毎日掻き出さなければ、民家が潰れてしまうという過酷な条件で始まる同居生活。

ただ生き残るためだけに行われる無為な労苦と、外界から断絶された「繋がり」のない暮らし。

とても単調でつまらない生活に思われるこの穴底での暮らしこそ、現代における大都市生活の比喩になっているという点が本作の面白いところ。

砂丘の集落や穴底での生活をどこまでもじっとりした描写で書き出しつつ、「あなたの毎日もこんな感じでしょう?」と問いかけてくるという非常に辛辣な作品です。

都会の生活に戻りたいと願いながらも、都会での暮らしと穴底での暮らしの何が違うんだと葛藤する仁木の心理描写も非常に息苦しいもので真に迫ります。

さらに、ラストシーン付近では「承認欲求」の問題を浮上させ、もし「承認欲求」が満たされるのであれば、都会に帰れるとしても穴底の生活を続けたいんじゃないか、と問いかけてくるのです。

1960年代に書かれたとは思えないくらい、まさに令和の社会を見通しているかのような作品で、安部公房の冷徹な観察眼に畏怖の感情を抱いてしてしまうくらいの圧倒的名作となっております。

翻訳版が1967年度のフランス最優秀外国文学賞を獲得しており、日本の小説で受賞したのは後にも先にもこの「砂の女」だけ。

難解な作品ではありますが、その内容は日本文学史上の最高傑作と呼んで過言ではなく、小説愛好者であれば人生で一度は挑戦して欲しい作品です。

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