STEP1と2を通じて述べられた方針「伸び(てい)る産業で働くべき」。
これを具体的に実践する方法がSTEP3では述べられます。
伸びるマーケットを見つける方法は2つあり、
①複数のベンチャーが参入し、各社が伸びているサービスに注目する。
②既存業界の非効率を突くロジックに着目する。
成熟産業に所属する会社からこのようなビジネスモデルを備えた会社にピボットしていくことで、自分のマーケットバリューを高め続けることが重要であると本書は主張します。
STEP4は「伸びる市場の中から、ベストな会社を見極める」。
STEP3までの主張は「伸びる市場に行け」であり、その方法を紹介する内容が主でしたが、STEP4 では「伸びる市場の中でもどの会社に行けば良いのか」が語られます。
本書が主張する「いい会社選び」の基準は以下の3点。
①マーケットバリュー
②働きやすさ
③活躍の可能性
特に、マーケットバリューが高く伸びている会社は雰囲気も良く働きやすいため、①と②の基準は矛盾しない、という主張は本書独特かもしれません。
STEP4では他にも、「③活躍の可能性」を確かめるための質問例や、良いベンチャーを見極めるポイント、良いエージェントの五箇条、中途入社するべき企業の特徴など、転職時の会社選びで意識するべき事柄が次々と紹介されていきます。
第2章
「転職は悪」は、努力を放棄した者の言い訳にすぎない
第2章は転職のコツというよりも、転職をどうしても躊躇ってしまう人の背中を押してくれるような内容になっております。
「転職は悪」だという思い込みにより「転職」という選択肢を持たないことが、人生に様々な弊害を生むのだと本書は指摘します。
やりがいのない仕事に「No」と言うことができなかったり、会社内で自分のポジションを守ることに固執し、自分が所属する会社の大胆な変革を妨げてしまったり。
その会社に留まり続けなければならないという強迫観念こそが人間を狂わせ、その人にとっても会社にとっても良くない行動をさせ続けるのだという点が物語の中で表現されていく章になっております。
第3章
あなたがいなくなっても、確実に会社は回る
第3章も心理的な後押しという側面が強い章です。
第2章が「そもそも転職を選択肢に入れるべきか否か」で迷っている人に対する後押しであったのに対し、第3章は「転職後期で悩みが出てきた人」に対する後押しになっております。
いまの会社に残ったほうが良いかもしれない、会社に残る仲間に迷惑をかけるかもしれない、パートナーの理解を得られないかもしれない。
そんな迷いの一つ一つに対し、本書はこの第3章で答えを出していきます。
たとえ給料が少し下がる場合でさえ、マーケットバリューが上がるならば転職すべきだということ(40代後半で肩叩きをするまで会社は自分にマーケットバリューがないことを教えてくれない)。
会社は自分いなくたって十分に回るか、自分のキャリアを優先するべきであること。
パートナーの説得には「ロジック」「共感」「信頼」が大切であること。
転職の渦中にある人々に対して心理的に寄り添う内容となっております。
第4章
仕事はいつから「楽しくないもの」になったのだろうか
第4章は「転職の思考法」というよりも、「仕事」あるいは「職業」というものについて著者の考え方が示される章になっております。
ここでの大きな問いは「やりたいこと」「楽しいこと」は何かという点です。
思考実験として、本書は「働かなくてもいいとしたらどのような生活をするか」という質問を投げかけます。
この質問に対して、本書が用意した回答は3つ。
①仕事として好きなことを続ける
②仕事は最小限にして、趣味に打ち込む
③嫌々ながら今の仕事を続ける
「仕事が趣味」という人は①を選び、そうではない人は②を選ぶ(働かなくてよいならば最小限どころか1秒たりとも働かないだろう思ってしまいましたが)、③を選ぶ人は恐らくいないだろう。
しかしながら、現実には③を行っている人々が大多数である。
そうなると、突然に「働かなくてよい」世界が訪れたとき、多くの人々が③から①か②に移動することになる。
ところが、ここで冷静に考えてみると、多くの人々はある気づきを得るはずである。
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