第4位 「ブルシット・ジョブ」デヴィッド・グレーバー
無意味な書類仕事や会議、イントラシステムの欠陥に付随する謎の手作業、はたまた、そういった類の業務を監視する役割を追った管理職。
そんな業務が世の中には大量に存在している、ということは現代を生きる事務職員のコンセンサスなのではないでしょうか。
そんなブルシット・ジョブ(=クソどうでもいい仕事)がなぜ生まれるのかというのが本作のテーマです。
インタビューに基づいた世界各国におけるブルシット・ジョブが紹介されたのち、サービス業の中でも「情報労働」が増加しているという現代経済の傾向と、ブルシット・ジョブ・ワーカーが高給であり、エッセンシャル・ワーカーが低給である理由の分析、そして、ブルシット・ジョブ撲滅のための解決策が示されます。
私自身も事務職員ですので、インタビュー部分は深い共感をもって読めましたし、ブルシット・ジョブが持つ虚無感と欺瞞性がもたらす精神的苦痛を著者が強調していることにも納得感がありました。
また、著者のグレーバー教授が社会人類学者ということもあり、「雇用」についての著作でありながら、政治学や経済学的な枠組みとは少し違った観点で分析がされている点も面白かったです。
日々「ブルシット・ジョブ」に悩まされながらも、なぜ「ブルシット・ジョブ」が発生してしまうのだろうという客観的な疑問も持ち合わせている方々にはお薦めの書籍です。
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