シリーズ累計発行部数2000万部超を誇る、ライトノベル界の金字塔的シリーズ第2巻です。
第1巻についてはその面白さを絶賛したのですが、続巻である本作は一転して低評価としております。
第1巻の感想はこちらからどうぞ。
本作を低評価とした理由は、第1巻を高評価とした理由と同根となっております。
つまり、エンタメに次ぐエンタメという怒涛の展開もなければ、文学的な深みもなく、ただひたすらに、つまらなく、くだらない、物語とさえ呼ぶことが躊躇われる駄文を垂れ流しているからです。
あの「涼宮ハルヒの憂鬱」の続巻が出るということで喜び勇んで本作を購入した当時もかなり失望したものですが、あらためて読み返してみても酷いとしか言いようがない作品です。
第1巻で完結のつもりだった作品を無理やり引き延ばそうとしたからなのではないか、という噂もありましたが、そんな匂いが如実に感じられる作品であり、「涼宮ハルヒ」シリーズを全巻読破してやろうという気合の入った人以外は本巻を飛ばして第3巻である「涼宮ハルヒの退屈」に進むべきだと助言したくなるほどの駄作となっております。
あらすじ
涼宮ハルヒとの衝撃的な出会いから半年が経過し、北高にも文化祭の季節が訪れようとしていた。
非日常的な不思議の探求に余念がないハルヒは当然、文化祭というイベントに対して行動を起こす。
「あたしたちSOS団で映画を撮るのよ!」
団長から映画監督へと華麗な転身を果たした我らが涼宮ハルヒではあったが、キャストは素人だらけで、シナリオも完成しないままに撮影を始めたため、撮影現場は混乱続きでまともな映画など撮れそうもない。
そんな状況に不満を溜めていくハルヒと、彼女の中に蓄積していく負の感情に対して警戒感を強めていくSOS団の団員たち。
涼宮ハルヒがこの世界に対して不満を溜める、それはつまり、世界そのものが根底から改変されてしまう兆候となっているわけで......。
果たして、映画の完成と世界の救済をキョンたちは成し遂げられるのだろうか。
感想
どの部分に対して「感想」を抱くべきかどうかすら迷ってしまう作品です。
高校生が主人公の作品で、文化祭に向けた映画撮影がテーマになるところまでは、まぁ、いいでしょう。
第1巻ほどの勢いはありませんが、あの傑作と比較してはどんな作品でも分が悪いというもの。
文化祭が近くなり、イベントごとに対して積極的な登場人物が映画撮影を発案し、周囲が巻き込まれていく。
ここまでならば、面白くはないものの、つまらなくもないくらいの評価です。
しかし、問題はこの後の展開。
本作は紙面の8割以上を映画撮影の光景描写に費やしているのですが、これがひたすらに退屈なのです。
なにせ、演技に関してずぶの素人な高校生たちがずぶの素人丸出しで退屈な映画を行き当たりばったりに撮影しているだけなのですから。
ようやく物語が動き出すのはページを全体の半分近く捲ってからで、それも、サブヒロインである朝比奈みくるの目から突然ビーム(実弾)が射出されてしまうというもの。
確かに物語は動き出すのですが、特段、面白くはないのです。
そこから終盤にかけて涼宮ハルヒが起こす超常現象がエスカレートしていき、何とか映画撮影は終わったものの、超常現象まみれになってしまった世界をなんとか元に戻さなくてはならなくなります。
そこでキョンが一計案じるのですが、その一計も非常にくだらないもので、これがオチでよく出版しようと思ったなと感じるほど。
最初から最後まで、物語として面白い側面がまるでありません。
さらに、本作の評価を地に落としているのは、「ストーリーもの」としてつまらないだけでなく、「キャラもの」としても面白くないところです。
本ブログは(ブログタイトルの通り)様々な作品の「物語」的な側面を重視してレビュー記事を描いておりますが、特にアニメやライトノベルの界隈においては、ストーリーの面白さとは別に、キャラクターの魅力(含む、キャラクター同士の関係性の魅力)を評価して作品を愛好する人々も多くおります。
しかし、本作はそういった人々からも評判が悪いようです。
というのも、本作においてはヒロインである涼宮ハルヒの傍若無人ぶりが際立っており、特に朝比奈みくるへのあまりに反道徳的行為が評判を落とす原因となっているようです。
確かに、本作における涼宮ハルヒの朝比奈みくるに対する行動は常軌を逸しており、しかもそれが物語を面白くしているわけではないので、単に胸糞悪いだけなんですよね。
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