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「ポケットモンスター ヴァイオレット」評価:2点|オープンワールドを採用した世界的大人気シリーズの最新作【テレビゲーム】

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ポケットモンスター バイオレット
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スター団の面々の振る舞いも非常にポップであり、愉快な話にしたいのか、それとも深刻な話にしたいのか、最後までどっちつかずだった気がします。

全体的に、キャラクターがベラベラと喋るイベントシーンが多い割には情報量が少なく、衝撃の展開、胸をうつ事実、といった要素も少ないため、キャラクターが喋れば喋るほど「どうでもいいや」と思うようになってしまいました。

なんというか、情報はあればあるほど良いというものでもないんですよね。

上述したロケット団に纏わる設定でも述べましたが、例えば、スロット場に隠し扉があって、悪の組織のアジトに繋がっているとか、そういった表現や演出があれば、誰も何も言わなくたって、派手なイベントムービーがなくたって、やるせないほどに気持ち悪い「悪」の姿が如実に伝わってくるわけで、オープンワールドになって様々なことができるようになったわけですから、もっと、そういった工夫が欲しいところです。

(どうしようもない懐古厨の思い出に基づいた意見ですが、ロケット団によって殺害されたポケモンの幽霊に立ち向かうイベントや、「はぐれけんきゅういん」と「かじばどろぼう」に占拠されているポケモン屋敷など、余計な情報がないからこそ「情緒」がありますよね。そういった場所を冒険して、少年が酸いも甘いも知った大人になっていく、そんな物語を容易に「想像」できる奥深さがありました)

全体として、子供向けという側面が色濃いゲームとはいえ、単にポップでカジュアルにする以上の、何か深いものがあったからこそポケモンが大人気ゲームになれたのではないか、そんな想いを抱く者にとって、あまり好ましいと思える物語ではありませんでした。

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その他の不満点

ここまでは主要な三論点について感想を述べましたが(不満点だらけでしたが)、まだまだ他の論点でも不満点があるため、もう少し語りたいと思います。

まず最初に、街の個性がなさ過ぎるという点について述べます。

本作を通じて驚いたのが、どの街であっても、街の施設が「ポケモンセンター」「ジム」「飲食店」しかないんですよね。

初代(赤・緑)ですら「デパート」「大企業本社」「サファリパーク」「豪華客船」「墓地」といったような、それぞれの街の特性を示す施設があり、そういった施設を中心に物語が進行していったというのに、これは明らかな劣化です。

また、そもそも、本作では建物内部に入れることがほどんどなく、ジムですら全てのジムが使いまわしの内部構造をしており、オープンワールドになって「外」が豪華になったからといって、「内」の存在をほとんど省略してしまっては、楽しさはプラスマイナスゼロなんじゃないか、と感じて愕然としました。

そんなわけで、本作は街の探索を楽しむとか、建物や施設の内部に侵入してどんどん潜り込んでいくとか、そういった側面の面白さが皆無です。

RPGなのに、そんなことある?って思います。

次に、回復ポイントの過剰な多さについて述べます。

ポケモンにおける定番の回復ポイントといえばポケモンセンターですが、本作ではそれ以外にも、フィールドでピクニックを行っている人に話しかけると回復してもらえたり、イベント戦闘の直後であればたいてい回復してもらえたりと、全回復の機会が頻繁に与えられます。

小学生向けに難易度を下げなければならないのは分かりますが、そんな不自然な手段で回復されるくらいなら、全体的に相手のレベルを下げたほうがマシですね。

こういった露骨な救済措置なしで戦い抜き、傷つきながらも何かを達成した、という感覚が大事なわけですよ。

特に衝撃的だったのは、最終ダンジョンであるパルデアの大穴という場所で、非常に危急の状況にあるにも関わらず、点在する施設にベッドが置いてあり、あまつさえ、そこで休むなんていう選択肢が出てくることです。

そんな状況で、勇敢かつ正義を信じる主人公たちが「休む」はずがないだろう。

置いてあることはいいとしても、使おうとしたら「いまはそんな場合ではない」とかいうテキストが出てくれば熱いですが、ベッドを使用できてしまいます。

それこそ、どうしても回復場所が必要なら、仲間から回復道具を貰えるという設定の方がマシだったでしょう。

プレイヤーの冒険を助けるような要素でも、物語の興奮を下げることがある。

もっとそこを意識すればいいゲームになったのに、と思ってしまいます。

総評

オープンワールドという新要素の楽しさは決して悪くなく、集めて育てて戦うというポケモンの原理的な良さはある。

しかし、それ以外に何か良い点があったか、と言われると疑問だったという作品でした。

確かに、ポケモンというシリーズはドル箱シリーズであり、定期的に作品を発売する、それも、クリスマスシーズン前に発売するというスケジュールを守る、それが目先の利益を想うと大事ではあるのかもしれません。

しかし、もう一度あらためて、この作品を子供がプレイしたときに、何十年も後になっても記憶に残っている作品になっているか否か、印象深い、他のゲームとは違う何かを持っているか、それをもっと意識しながらじっくり開発して頂けると嬉しいなと感じました。

結局、老害懐古厨の愚痴ばかりになってしまいましたが、ポケモンシリーズという高い期待値は超えておらず、ゲーム一般としても良作とまでは思わないものの、駄作というほど遊べないゲームでもありませんので、評価は2点といたします。

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