冒険

マーク・トゥエイン

【古き良き時代の小学生男子物語】小説「トム・ソーヤーの冒険」マーク・トゥエイン 評価:2点【海外文学】

あらすじ 時代は19世紀中盤、舞台はミズーリ州の田舎町セント・ピーターズパーク。 10歳の少年トム・ソーヤーは大変な悪戯好きで、いつも騒動を巻き起こしては育ての親であるポリー伯母さんに叱られている。 塀のペンキ塗りを巧みな手腕で友人たちに押し付けたり、新入りの少年と取っ組み合いの喧嘩をしたり、同級生の少女ベッキー・サッチャーにアプローチしてみたり、ホームレスの少年ハックルベリー・フィンと一緒に家出をしてみたりと、トムの日常は大なり小なりの冒険に溢れている。 そんなある日、トムは真夜中の墓地で殺人事件を目撃してしまう。 恐怖に駆られながら町に戻ったトム。 しかし、彼には更なる試練が訪れる。 真犯人のインシャン・ジョーは犯罪の隠匿を画策、マフ・ポッター老人に罪を被せようとしていて……。 感想 子供向けの純粋なエンタメ冒険小説です。 小学校高学年男子がやりそうな悪戯や、やってみたいと思うような冒険(家出をして森で寝泊まりしたりなど)のエピソードが散りばめられており、児童文学としてはまずまず面白いのではないでしょうか。 ただ、...
菊次郎の夏

【大人になりたい夏の旅】映画「菊次郎の夏」北野武 評価:3点 【日本映画】

1999年公開の映画で、監督は北野武。 主演である菊次郎役も北野監督本人が勤めております。 暴力性の強い映画で知られる北野監督ですが、本作は不良中年男と小学生の少年がひと夏の不思議な旅を経験するロードムービー。 北野監督独特のクセが強いながらも、基本的には人情感動路線の作品です。 そんな本作を鑑賞してみたのですが、なかなか魅力的な映画でした。 物事について一面的な見方をせず、酸いも甘いもある「人間」を描こうとしている意欲作。 あまりにも清潔になりすぎた現代社会では失われてしまった人間臭さと、その中にある「大切だったかもしれないもの」について思いを馳せられる作品です。 あらすじ 小学三年生の正男(まさお)は、東京の下町で祖母と二人で暮らしている。 家庭は貧しく祖母は毎日働きに出ており、両親もいないため、夏休みだというのに正男は旅行に行くこともできない。 父親は正男が小さい時に他界し、母親は遠くに働きに出ている。 祖母からそう聞かされていた正男だったが、あまりにも惨めな状況にいてもたってもいられなくなり、正男は僅...
小説特集

【海外エンタメ小説】おすすめ海外エンタメ小説ランキングベスト3【オールタイムベスト】

本ブログで紹介したエンタメ小説の中からベスト3を選んで掲載しています。 「エンタメ小説」の定義は難しいところでありますが、本記事では、肩の力を抜いて楽しめる作品でありながら、同時に深い感動も味わえる作品を選ぶという方針でランキングをつくりました。 第3位 「アルジャーノンに花束を」ダニエル・キイス 【知性を得た元知的障がい者の幸福と苦悩】 ・あらすじ チャーリィ・ゴードンは知的障がい者で、ビークマン大学知的障がい者成人センターに通いながらパン屋で下働きをしている。 読み書きも碌にできない彼だったが、ある日、ビークマン大学の二―マー教授とストラウス博士からある実験への協力を求められる。 それは、チャーリィの知能を劇的に高める手術のドナーになって欲しいというものだった。 手術を受けたチャーリーの知能はゆっくりとだが確実に向上していき、最終的には天才的な知能を得ることに成功する。 しかし、だからこそ、彼には苦難の時間が訪れるのだった。 あまりの知能の違いから人間関係に破綻が生じ始め、社会の欺瞞に気づくたびに葛藤する。 ...
ミヒャエル・エンデ

【時間を蝕む現代社会】小説「モモ」ミヒャエル・エンデ 評価:2点【児童文学】

ドイツの児童文学者ミヒャエル・エンデの作品。 「果てしない物語」と共に彼の代表作として扱われることが多い著作ですが、日本では「モモ」の人気が非常に根強く、ドイツ語版の次に発行部数が多いのは日本語版だそうです。 「効率性」の名のもとに人間的な温かみのある要素がことごとく「悪」とされ、それでいて「効率化」を突き詰めたのに全くといっていいほど時間に余裕がない。 そんな現代社会を風刺した童話、という内容が日本人受けするのかもしれません。 全体的な感想としましては、現代社会の労働観や時間不足についての皮肉になっている個々の場面は楽しめたものの、物語の総体としてはイマイチだったという印象。 最も皮肉が効いている第6章や、近代的学校教育に対する批判精神旺盛な第13章、第16章の一部だけ読めばそれでよいと思えてしまいます。 あらすじ 舞台はローマのようでローマではない街。 主人公のモモは孤児で、街はずれの円形劇場跡に住んでいる。 両親はおらず、そのままでは食べる物にも困る立場のモモだけれど、モモの周囲にはいつも人が集まって温かな交流が結ば...
☆☆☆☆(小説)

小説 「老人と海」 ヘミングウェイ 星4つ

1. 老人と海 「武器よさらば」や「誰がために鐘は鳴る」などの作品で知られるアメリカの小説家、アーネスト・ヘミングウェイの代表作で、ノーベル文学賞受賞のきっかけとなった作品だとされています。 新潮文庫の100冊に何十回も選出されるほど日本でも親しまれている作品であり、名実ともに人気を博している古典文学だといえるでしょう。 「老人を主人公とした武骨な冒険小説」という類例は現代文学に至ってもなかなか類似例がなく、文学界においていまなお稀有な立ち位置を維持しております。 そんな「老人と海」ですが、評判に違わず傑作といえる作品でした。 広漠とした海を舞台に、人間とカジキマグロが情熱的な大勝負を闘う。 その迫力と余韻の素晴らしさに、思わず感嘆のため息が出てしまいました。 2. あらすじ 舞台はキューバ、主人公は老漁師のサンチャゴ。 大型魚の一本釣りで生計を立てていたサンチャゴだったが、ある日を境に数か月もの不漁に陥ってしまう。 いつも漁を手伝ってくれていた弟子の青年マノーリンも、両親の指示によって別の漁船に乗ることになってしま...
古橋秀之

「冬の巨人」古橋秀之 評価:1点|真冬のような虚無が広がる何もない小説【ライトノベル】

「ブラックロッド」で第2回電撃ゲーム小説大賞を受賞してデビューした、古き良きライトノベル作家である古橋秀之さんの作品。 本作の人気は非常に根強く、2007年に徳間デュアル文庫から刊行されたのち、2014年には富士見L文庫から新装版が発売されております。 フジテレビの「世にも奇妙な物語」で映像化もされた、「ある日、爆弾が落ちてきて」と並ぶ著者の代表作といえるでしょう。 そんな「冬の巨人」ですが、全体的な感想としては、あっさりし過ぎ、薄味すぎといったところです。 冒険SFファンタジーの定番要素がこれでもかと並べ立てられるのですが、それぞれの掘り下げ方があまりにも浅く、心に引っかかる箇所が何もないからこそすらすらと読めていける作品になってしまっています。 あらすじ どこまでも極寒の雪原が広がる世界で、黒い塔のような巨人が背を曲げて歩き続けている。 そんな異形の巨人"ミール"の背の上に、人間たちは都市を築いて生活していた。 主人公であるオーリャも都市の住民であり、神学院でディエーニン教授の助手を務めることで生計を立てている。 ある...
サン・テグジュペリ

小説 「人間の土地」 サン・テグジュペリ 星2つ

1.人間の土地 郵便輸送機や偵察機のパイロットとして戦間期から第二次世界大戦にかけて活躍し、その傍らで自身の経験を元にした著作を多数発表した作家サン・テグジュペリの作品。彼の作品では「星の王子さま」「夜間飛行」の次に有名でしょう。新潮文庫版ではカバー絵及び解説を宮崎駿が担当するなど、各方面への影響の大きさが伺えます。「夜間飛行」のレビューはこちら。 評価としては「夜間飛行」に一歩劣るといった印象。飛行機乗りとしてサン・テグジュペリが経験した様々な出来事はどれも印象的で烈しいものですが、「物語」としての質を問われるとイマイチです。 2.あらすじ ベンガジを発ったサン・テグジュペリ機は夜空に迷い、砂漠の上に不時着してしまう。機体は炎上し、サン・テグジュペリと同乗していたプレヴォーの二人は着の身着のままで砂上に放置された。 街の灯りも見えない砂漠の中、三日三晩彷徨い続ける二人の僚友。食料も水も尽き果て、幻覚が見えるようになる。生きることに挫けそうになりながらも立ち直り、生存への道筋を探していく。 「愛するということは、おたがいに顔を見...
メアリと魔女の花

アニメ映画 「メアリと魔女の花」 監督:米林昌弘 星2つ

1. メアリと魔女の花 スタジオジブリ出身で、新しくスタジオポノックを立ち上げた米林昌弘監督の作品。ジブリでは「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」を監督しています。 スタジオポノックの初作品ですが、巷で言われているジェネリックジブリという評判通りの、無難でそこそこ楽しめる作品でした。 メアリと魔女の花 posted with カエレバ 杉咲花 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2018-03-20 Amazon 楽天市場
時雨沢恵一

【リリアとトレイズ】期待はずれだった「銃と戦闘機の冒険活劇」の続編 評価:1点【時雨沢恵一】

・リリアとトレイズⅠ&Ⅱ 1. そして二人は旅行に行った 「一つの大陸の物語」シリーズの第2幕にあたり、第1幕である「アリソン」の続編になります。 「アリソン」のレビューはこちら 活躍するのは「アリソン」で主人公だったアリソンとウィルの子供世代。 「アリソン」が「世界を救うアドベンチャー」だったのに対して、「リリアとトレイズ」は突発的に起こるテロと対決する内容がメインのため、物語全体がスケールダウンしてしまった印象です。 加えて、「アリソン」では主人公の二人が共に孤児院育ちの幼馴染であり、「孤児院出身の二人が知恵と勇気と自ら身につけた能力で困難を突破する」という部分が魅力だったところ、「リリアとトレイズ」では「豊かな階層出身の二人が両親から授けられた特殊技能を振るって問題を解決する」になってしまったのが痛いところ。 ワクワクドキドキを呼ぶような作品にはなっていませんでした。 2. あらすじ 大きな海に一つの大陸が浮かぶ世界。 その大陸では、山脈と大河を挟んで二つの国が対峙していた。 東側がロクシアー...
フィリップ・K・ディック

小説 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック 星2つ

1. アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 映画「ブレードランナー」の原作であり、SFの古典名作といえる作品。特徴的な日本語訳タイトルの語感も有名で、多くのパロディ元になっています。 そんな本作、設定そのものは面白いのですが、特にどんでん返しや繊細な感情描写があるわけではなく、「まぁ、こうなるだろうな」という展開が続く印象。あまりにもベタだと感じてしまうのは、本当に面白くないからか、古典の中の古典だからか迷ってしまいます。 アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) posted with ヨメレバ フィリップ・K・ディック 早川書房 1977-03-01 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
時雨沢恵一

小説 「アリソン」 時雨沢恵一 星3つ

第1巻 1-1.アリソン 「キノの旅」シリーズで有名な時雨沢恵一さんの作品で、後続のシリーズ作品群と合わせて「一つの大陸の物語シリーズ」と呼ばれています。 戦闘機が出始めごろの時代における架空の大陸を舞台に、孤児院育ちの青年男女が国を跨いで活躍する冒険活劇、というなかなか珍しいジャンル。 「剣と魔法」ならぬ「銃と戦闘機のファンタジー」という形容が相応しいかもしれません。 深い感動、というわけにはいきませんでしたが、ライトノベルというよりは往年の児童向けファンタジーを思い起こさせるポップな文体でスラスラ読むことができました。
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