冒険

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ミヒャエル・エンデ

「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ 評価:2点|いじめられっ子の成長を描くファンタジー冒険物語【海外児童文学】

ドイツの児童文学者ミヒャエル・エンデの作品。「モモ」と共に彼の代表作として扱われることが多い著作です。児童文学といえど単行本で600ページを越える大作で、岩波少年文庫版では対象が「中学以上」となっている読み応えのある大作。「ネバーエンディング・ストーリー」という題で映画化もされています。感想としては、読み手を選ぶ作品だなという印象を受けました。幻想的なファンタジー世界の造形は見事ですし、恵まれない環境で育った少年が力を手に入れて慢心し、やがてその慢心から身を滅ぼしかけるものの、それを克服して最後は真理に到達する、という物語も王道なりに楽しめます。ただ、こうした「ヨーロッパ的ファンタジー世界」を受け入れる心持ちが最初からある人以外には展開が唐突で突拍子もなく思えるでしょうし、主人公の性格も万民に受け入れられる人物かといえばそうではないと感じました。あらすじバスチアン・バルタザール・ブックスは読書好きの小学生。しかし、勉強も運動もからきしダメなうえデブでX脚なのでクラスメイトにいじめられている。母親は既に亡くなり、そのことがきっかけで父親とのあいだにも溝が出来ていた。そんなバスチアンはある...
メアリと魔女の花

アニメ映画 「メアリと魔女の花」 監督:米林昌弘 星2つ

1. メアリと魔女の花スタジオジブリ出身で、新しくスタジオポノックを立ち上げた米林昌弘監督の作品。ジブリでは「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」を監督しています。スタジオポノックの初作品ですが、巷で言われているジェネリックジブリという評判通りの、無難でそこそこ楽しめる作品でした。メアリと魔女の花 posted with カエレバ杉咲花 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2018-03-20Amazon楽天市場
時雨沢恵一

【リリアとトレイズ】期待はずれだった「銃と戦闘機の冒険活劇」の続編 評価:1点【時雨沢恵一】

・リリアとトレイズⅠ&Ⅱ1. そして二人は旅行に行った「一つの大陸の物語」シリーズの第2幕にあたり、第1幕である「アリソン」の続編になります。「アリソン」のレビューはこちら活躍するのは「アリソン」で主人公だったアリソンとウィルの子供世代。「アリソン」が「世界を救うアドベンチャー」だったのに対して、「リリアとトレイズ」は突発的に起こるテロと対決する内容がメインのため、物語全体がスケールダウンしてしまった印象です。加えて、「アリソン」では主人公の二人が共に孤児院育ちの幼馴染であり、「孤児院出身の二人が知恵と勇気と自ら身につけた能力で困難を突破する」という部分が魅力だったところ、「リリアとトレイズ」では「豊かな階層出身の二人が両親から授けられた特殊技能を振るって問題を解決する」になってしまったのが痛いところ。ワクワクドキドキを呼ぶような作品にはなっていませんでした。2. あらすじ大きな海に一つの大陸が浮かぶ世界。その大陸では、山脈と大河を挟んで二つの国が対峙していた。東側がロクシアーヌク連邦。通称ロクシェ。西側がベゼル・イルトア王国連合。通称スー・ベー・イル。長年の対立状態にあった両国だが、...
フィリップ・K・ディック

小説 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック 星2つ

1. アンドロイドは電気羊の夢を見るか?映画「ブレードランナー」の原作であり、SFの古典名作といえる作品。特徴的な日本語訳タイトルの語感も有名で、多くのパロディ元になっています。そんな本作、設定そのものは面白いのですが、特にどんでん返しや繊細な感情描写があるわけではなく、「まぁ、こうなるだろうな」という展開が続く印象。あまりにもベタだと感じてしまうのは、本当に面白くないからか、古典の中の古典だからか迷ってしまいます。アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))posted with ヨメレバフィリップ・K・ディック 早川書房 1977-03-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
時雨沢恵一

小説 「アリソン」 時雨沢恵一 星3つ

第1巻1-1.アリソン「キノの旅」シリーズで有名な時雨沢恵一さんの作品で、後続のシリーズ作品群と合わせて「一つの大陸の物語シリーズ」と呼ばれています。戦闘機が出始めごろの時代における架空の大陸を舞台に、孤児院育ちの青年男女が国を跨いで活躍する冒険活劇、というなかなか珍しいジャンル。「剣と魔法」ならぬ「銃と戦闘機のファンタジー」という形容が相応しいかもしれません。深い感動、というわけにはいきませんでしたが、ライトノベルというよりは往年の児童向けファンタジーを思い起こさせるポップな文体でスラスラ読むことができました。
秋山瑞人

「イリヤの空、UFOの夏」秋山瑞人 評価:5点|ひと夏の出会いと別れ、熱くて爽やかで切なくて物悲しい青春小説の傑作【ライトノベル】

夏になったら必ず読み返す、素晴らしい作品です。ボーイ・ミーツ・ガール、ひと夏の思い出、そしてUFOとくれば心をくすぐられる名作の匂いしかしないのですが、まさにその期待を裏切らない、ライトノベルが生み出した金字塔の一つと言えるでしょう。あらすじ夏休み最終日、「めちゃくちゃ気持ちいいんだぜ」と誰かが言っていたことを思い出した浅羽直之は自分が通う中学校のプールに忍び込む。しかし、そこには先客がいた。ご丁寧にもスクール水着に水泳帽という姿でプールサイドにいた少女は泳ぎ方を知らず、浅羽は水泳を教えることになる。「いりや、かな」と名乗ったその少女は、なんと翌日、「伊里野加奈」として園原市立園原中学校へ転校してきたのだ。もちろん、単なる転校生のはずがなく、その少女には大きな秘密があって......。緊迫する世界情勢と、「北」への爆撃再開。個性豊かなクラスメイト達と、学校非公認の新聞部。ちょっと「おかしな」現代を舞台に、ひと夏の冒険が始まる。感想全四巻で完結しており、第1巻~第3巻の途中までは、転校してきたちょっと変わり者の美少女、伊里野加奈が起こす騒動を中心にしたコメディタッチの連作中編が続き、第3...
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