ファンタジー

☆☆(漫画)

【理想的過ぎる物語】漫画「鬼滅の刃」吾峠呼世晴 評価:2点【少年漫画】

あらすじ 舞台は大正時代の日本。 竃門炭治郎(かまど たんじろう)は13歳の少年ながら一家の大黒柱として家計を支えていた。 そんなある日、炭治郎が家を空けた隙に、竃門一家は妹の禰豆子(ねずこ)を除いて鬼に惨殺されてしまう。 生き残った禰豆子も鬼と化しており、あろうことか炭治郎に襲いかかってくるのであった。 そんな炭治郎の窮地を救ったのが富岡義勇(とみおか ぎゆう)と名乗る剣士。 彼は鬼を全滅させるために組織された「鬼殺隊」の一員だと炭治郎は知るのだが……。 感想 珍しいくらいシンプルな少年漫画だったいうのが全体的な感想です。 炭治郎と鬼殺隊の仲間たちが次々と襲いかかってくる鬼たちをひたすら倒していくというだけの物語で、おそらく全体の三分の二以上をバトル描写に費やしているのではないでしょうか。 確かに、必殺技を繰り出しながら鬼の幹部たち(鬼側にも組織がある)を倒していく様子は爽快であり、チャンバラ漫画としては面白いのでしょう。 ただ、個人的には以下の2点からあまり楽しめませんでした。 ①キャラクターに人間味がない ...
小説特集

【エンタメ小説】有名エンタメ小説低評価批評集【閲覧注意】

評価1点(最低評価) ・珍妙な登場人物たちの謎言動記録 ・寒々しい恋人描写と軽薄なSF展開 ・中学生の気持ちを分かっているつもりの作者 ・お前はいったい何を言いたいんだ? ・猫みたいな彼女が理想なんて気色悪いよ ・心を操ることができたらミステリは成立しない ・冗長で稚拙で安っぽくて何もない青春 ・高校生男女が出逢えば物語になるわけではない ・儚くて繊細な少女を描いたつもり
ミヒャエル・エンデ

【時間を蝕む現代社会】小説「モモ」ミヒャエル・エンデ 評価:2点【児童文学】

ドイツの児童文学者ミヒャエル・エンデの作品。 「果てしない物語」と共に彼の代表作として扱われることが多い著作ですが、日本では「モモ」の人気が非常に根強く、ドイツ語版の次に発行部数が多いのは日本語版だそうです。 「効率性」の名のもとに人間的な温かみのある要素がことごとく「悪」とされ、それでいて「効率化」を突き詰めたのに全くといっていいほど時間に余裕がない。 そんな現代社会を風刺した童話、という内容が日本人受けするのかもしれません。 全体的な感想としましては、現代社会の労働観や時間不足についての皮肉になっている個々の場面は楽しめたものの、物語の総体としてはイマイチだったという印象。 最も皮肉が効いている第6章や、近代的学校教育に対する批判精神旺盛な第13章、第16章の一部だけ読めばそれでよいと思えてしまいます。 あらすじ 舞台はローマのようでローマではない街。 主人公のモモは孤児で、街はずれの円形劇場跡に住んでいる。 両親はおらず、そのままでは食べる物にも困る立場のモモだけれど、モモの周囲にはいつも人が集まって温かな交流が結ば...
スポンサーリンク
☆☆(映画/アニメ)

アニメ映画 「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 監督:石立太一 星2つ

1. 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン 京都アニメーションが手掛ける同名テレビアニメシリーズの映画版で、2020年9月18日に公開されました。既に100万人近い動員数と10億円以上の興行収入を記録しており、十分に大ヒットだと言えるでしょう。 しかし、個人的にはやや凡庸な映画だったという印象を受けました。 もちろん、美麗なアニメーションや音楽は流石の高品質だったのですが、欠点として、戦争描写の非現実性や、物語の最終目的が「愛している」の意味を知るという点が鼻につきます。 手紙の代筆を通じて家族や恋人を繋ぐ役割を果たす代筆屋の物語、という比較的リアル路線の部分が感動への訴求点となっている作品だったので、なおさら、時おり露呈するいかにも「深夜アニメ」や「ラノベ」的側面が本作の足をかなり引っ張っているように思えたのです。 2. あらすじ 4年間に渡る大陸戦争が終結してから幾何かの時間が経過し、世界には久方ぶりの平和が訪れていた。 ライデンシャフトリヒ国の首都ライデンに住む18歳の少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンもそんな平和を享受...
古橋秀之

「冬の巨人」古橋秀之 評価:1点|真冬のような虚無が広がる何もない小説【ライトノベル】

「ブラックロッド」で第2回電撃ゲーム小説大賞を受賞してデビューした、古き良きライトノベル作家である古橋秀之さんの作品。 本作の人気は非常に根強く、2007年に徳間デュアル文庫から刊行されたのち、2014年には富士見L文庫から新装版が発売されております。 フジテレビの「世にも奇妙な物語」で映像化もされた、「ある日、爆弾が落ちてきて」と並ぶ著者の代表作といえるでしょう。 そんな「冬の巨人」ですが、全体的な感想としては、あっさりし過ぎ、薄味すぎといったところです。 冒険SFファンタジーの定番要素がこれでもかと並べ立てられるのですが、それぞれの掘り下げ方があまりにも浅く、心に引っかかる箇所が何もないからこそすらすらと読めていける作品になってしまっています。 あらすじ どこまでも極寒の雪原が広がる世界で、黒い塔のような巨人が背を曲げて歩き続けている。 そんな異形の巨人"ミール"の背の上に、人間たちは都市を築いて生活していた。 主人公であるオーリャも都市の住民であり、神学院でディエーニン教授の助手を務めることで生計を立てている。 ある...
スペクトラルウィザード

「スペクトラルウィザード 最強の魔法をめぐる冒険」模造クリスタル 評価:3点|他者を支配する魔法の正体【文学的ファンタジー漫画】

「ミッションちゃんの冒険」というweb漫画で有名になり、現在は「金魚王国の崩壊」などのweb漫画を連載する漫画家、模造クリスタル氏の商業出版作品。 前作「スペクトラルウィザード」の続編となっております。 「スペクトラルウィザード」の感想はこちら。 中編×3と掌編×2という構成だった前作とはうって変わって、今回は一本の長編+エピローグ的な掌編という構成。 副題の通り「最強の魔法」を巡る騎士団と魔術師たちの争いが描かれます。 陰謀渦巻き、敵味方が入り乱れ、裏切りに次ぐ裏切りが起こる展開でハラハラドキドキさせる展開はエンタメ作品として見事。 加えて、物語の裏側に流れる他者との関係性についての示唆が作品に深みを与えています。 あらすじ 危険な魔術書の研究により魔術師ギルドがテロ組織として認定され、騎士団によって多くの魔術師が逮捕・処刑されてから幾年。 魔術師ギルドは解散を余儀なくされ、離散した魔術師たちも危険人物として追われている。 そんな中、魔術師のスペクトラルウィザードは騎士団とも関係を持ちながら日々を過ごし...
蓬莱トリビュート

【中華ファンタジー】漫画 「蓬莱トリビュート」 鮫島円人 星2つ

1. 蓬莱トリビュート 漫画中心の出版社、リイド社が運営するweb漫画サイト「トーチ」に連載されていた作品。 現在も続編として「蓬莱 エクステンド」が連載されているようです。 内容は中国の古典を漫画化したというもので、2~30ページかそれに満たないくらいの短編が10話収録されています。 いにしえの時代の物語らしい、独特の展開と早すぎるくらいのテンポが特徴です。 2. あらすじ ・第3話 狐の掟 墓守の男はある日、狐が犬の集団に襲われているのを発見し、狐を救助する。 その晩、男の家を訪れてきたのは美しい娘。 「今日はどうも助けて頂いて」。 男はこの娘と恋仲になるのだが......。 ・第5話 異類の娘【虎】 官僚としての赴任先に向かう申屠澄は道中、猛吹雪に襲われる。 飛び込んだ人家で申を迎えたのは半獣半人の夫婦とその美しい娘。 一晩で娘と親交を深めた申は娘を連れて行ってもよいかと夫婦に頼むのだが......。 3. 感想 ハッピーエンドから後味の悪い話、切ない話までバリエーションが豊...
☆☆☆(映画/アニメ)

「天気の子」新海誠 評価:3点|美麗な音楽と情景描写、ハイテンポな物語が見どころの青春ファンタジー【アニメ映画】

「君の名は。」で記録的な大ヒットを獲得し、アニメーション映画監督としての名声を一気に高めた新海誠監督3年ぶりの新作。 今月(2019年7月)に封切られたばかりの作品ですが、既に「君の名は。」を超える速度で興行収入を伸ばしているという情報まであるほどで、映画ファンの新海誠監督に対する期待の高さが伺えるところです。 凡庸な少年と天気を自在に操ることのできる少女のボーイ・ミーツ・ガール物語という触れ込みでしたが、公開初日に大雨からの晴れという天気が実際に起こったりと、まさに現代日本を覆う異常気象の片鱗とマッチした点でも天命に恵まれた作品になりました。 当ブログでも「君の名は。」については2回ほど記事にしており、本作「天気の子」についても公開を楽しみにしておりました。 また、同監督の作品では2013年公開の「言の葉の庭」も記事にしております。 そんな「天気の子」ですが、感想としてはストーリーが中の上、キャラクターの魅力は中の中から中の下といったところでしょうか。 ただ、演出やテンポといった面では相当優れていたほかうえ、他...
アナと雪の女王

「アナと雪の女王」クリス・バック 評価:4点|巧みな比喩表現で語られる「真の愛」【ディズニー映画】

2013年に公開されたディズニー映画。 世界中で大ヒットした超有名作です。 日本でも興行収入歴代3位となる255億円を記録しており、2019年現在でさえ本映画の名前を知らないという人の方が少ないでしょう。 松たか子さんが歌った劇中歌の"Let it go"(の日本語訳版)もブームになりました。 私は今更ながらに初視聴してみたのですが、評判に違わずいい映画だったというのが正直な感想。 シンプルに「愛」や「勇気」についての物語として観ても面白いですし、これまでのディズニー、あるいは旧い社会の固定観念を振り払うためのメタ社会的な物語としても深みがあります。 表面をさらっても楽しむことができ、それでいて真理や深遠さも備えている。そんな作品の一つです。 あらすじ 舞台はアレンデール王国、主人公は二人の王女アナとエルサ。 姉であるエルサは幼少の頃から氷の魔法に長け、その魔法を使ってアナと一緒に遊ぶことが多かった。 しかしある日、エルサは誤って氷の魔法をアナに命中させてしまい、アナは意識不明の重体となってしまう。 トロール...
ペンギン・ハイウェイ

【真夏のファンタジィ冒険譚】映画「ペンギン・ハイウェイ」石田祐康 評価:1点【アニメ映画】

人気小説家である森見登美彦さんの同名小説を映画化した作品。 「台風のノルダ」(文化庁メディア芸術祭アニメーション部門新人賞受賞、2016年地上波放送)や「陽なたのアオシグレ」(第17回文化庁メディア芸術祭アニメーション部門審査委員会推薦作品)で頭角を現してきた新進気鋭の石田祐康氏が監督を務めています。 制作も2011年設立のスタジオコロリドが手がけるなど、インディーズ色の濃い布陣。 こういった映画が大手から配給され、上映館数もそれなりに確保できるのは近年のアニメ映画ブームによるところが大きいのでしょう。 そんな本作、全体的な感想としてはイマイチだったというのが正直なところです。 とはいえ、そもそもジブリや人気版権もの(ポケモン、ドラえもん、コナン、クレしん、アンパンマン)ではないアニメ映画なんてこんなものである、といったところでしょうか。 あらすじ アオヤマ君は非常に研究熱心な小学4年生。 気になったことは何でもノートに書き留め、観察と探求を怠らない。 そんなアオヤマ君にも気になる人がいて、それは同級生のハマモトさん、では...
スペクトラルウィザード

「スペクトラルウィザード」模造クリスタル 評価:3点|人生の悲哀と一匙の希望が感動を生むオフビートな魔術師物語【ファンタジー漫画】

「ミッションちゃんの冒険」というweb漫画で有名になり、現在は「金魚王国の崩壊」などのweb漫画を連載するサークル、模造クリスタルの商業化作品。 「金魚王国の崩壊」のファンなので手に取ってみたのですが、そこそこ良かったというのが総評です。 魔術師ギルド解散後というファンタジー設定で世界観全体を包みながら、「自分らしさ」「居場所」「関係性」といった現代的なテーマを暗に示した物語が展開されるのが面白い点です。 模造クリスタルの特徴である独特のテンポや不思議な世界観を楽しめるのであれば買ってみてもよいのではないでしょうか。 あらすじ 危険な魔術書の研究により魔術師ギルドがテロ組織として認定され、科学技術集団である騎士団によって多くの魔術師が逮捕・処刑された。 魔術師ギルドは解散を余儀なくされ、離散した魔術師たちも危険人物として追われている。 そんな中、魔術師の生き残りであるスペクトラルウィザードは孤独な日々を過ごしていた。 身体を「ゴースト化」する魔術により騎士団からの逃亡はたやすいものの、指名手配されている手前、孤独を言葉でしか知ら...
天人唐草

【幻想怪奇譚】漫画「天人唐草」山岸凉子 評価:1点【漫画短編集】

「日出処の天子」等の作品がある山岸凉子さんの自選作品集。 表題作にもなっている「天人唐草」は彼女の代表作に数えられることが多いようです。 ただ、少女漫画界の古豪的な地位にある著者の作品ということでしたが、私には合いませんでした。 読解力が足りないからか、起伏のない凡庸なストーリーラインに投げっぱなしのオチが付いているだけのように感じてしまいます。 あらすじ 幼いころから厳格で旧い価値観の父に育てられてきた岡村響子。 その教育のせいもあって自分を過度に抑制するようになってしまい、学生時代、そして社会人になっても男性とうまくコミュニケーションをとることができない。 そしてついに、職場で憧れていた男性が自分とは真逆の気質をもつ女性と結婚してしまう。 そんな響子のもとに、父親が倒れたとの一報が飛び込んでくる。 慌てて父のもとへ向かう響子。 しかし、呼ばれた先で響子が目にしたのは、あの表面上は厳格だった父の意外な素顔だった......。(表題作「天人唐草」) その他4つの短編を収録。 感想 全体的に「ベタ」過...
小川洋子

小説 「猫を抱いて象と泳ぐ」 小川洋子 星2つ

1. 猫を抱いて象と泳ぐ 不思議な世界観と優しく繊細な文体で人気を博す純文学作家、小川洋子さんの作品。小川さんの個性が前面に押し出されており、ファンの間で評価が高いことも頷けます。 しかし、そこが却って普遍性を損なっているような、万民への説得力に欠けているような作品だったと思います。 2. あらすじ 生まれつき唇の上下がくっついていたために、手術により切開し、脛の皮膚を唇に移植した少年。そのため、少年の唇には成長と共に産毛が生えてくるようになってきていた。 学校にも上手く馴染めない少年を惹きつけたのはチェスという競技。廃バスの中で生活するマスターにチェスを教わり、少年はぐんぐんと腕前を上げていく。 そんな少年を変えたのはマスターの死だった。肥満しきった不健康な身体でバスの中を狭苦しそうに生活していたマスター。それは、少年が幼少期に出会ったインディラという象を思い出させる。デパートの屋上で見世物となっていたインディラは成長とともに身体が大きくなり、デパートの屋上から降ろすことができなくなってしまっていたのだ。 少年は「大きくなること」に絶望し、身体の成長を止め...
スポンサーリンク