茄子 アンダルシアの夏

アニメ映画 「茄子 アンダルシアの夏」 監督:高坂希太郎 星3つ

1. 茄子 アンダルシアの夏 自転車競技を題材にした珍しいアニメ映画で、スタジオジブリ作品のスタッフに原画や作画関連で名を連ねることが多い高坂希太郎さんが監督。近年では人気の児童小説「若おかみは小学生」の映画版でメガホンを取っています。また、以前に本ブログで紹介した「王立宇宙軍 オネアミスの翼」でも原画を務めるなど、アニメ映画界の中心的人物の一人だと言えるでしょう。本人も大の自転車好きということが本作をつくるきっかけとなったようです。 映画といっても45分という短時間の作品なのですが、人間の情熱を描いた王道の作品で、テンポも小気味よく飽きさせません。深みという点においては居並ぶ名作たちと比較すると一歩劣りますが、佳作という評価がぴったりの映画だと思います。 茄子 アンダルシアの夏 posted with カエレバ 大泉洋 (C)2003「茄子アンダルシアの夏」製作委員会 Amazon 楽天市場
経済・金融・経営・会計・統計

新書 「現代経済学」 瀧澤弘和 星4つ

1. 現代経済学 古くは傾斜生産方式や所得倍増計画、最近ではアベノミクスなど、どの政権でも経済政策は中心的な分野として扱われ、人々の生活に大きな影響を与えてきました。海外でも、例えば最近の米国における大幅減税と財政出動はトランプ大統領の目玉政策の一つです。 そんな経済政策に理論的枠組みを与えてきたのが経済学という分野。共産主義退潮の後は(新)ケインズ主義と新古典派が主要な流派として語られることが多かったのですが、近年になって経済学の捉え方、経済に対する焦点の当て方が多様化しており、経済学の枠組み自体が決定的に変化しつつあります。本書の副題である「ゲーム理論・行動経済学・制度論」がまさにその変革を代表するキーワードと言えるでしょう。本書の序章でも触れられている通り、最近のノーベル経済学賞はこれらの分野の第一人者が次々と受賞しています。そして、入門レベルの経済学の知識を前提に、そういった「現代」の経済学をこれまでの経済学と対比させながら、古今の繋がりとブレイクスルーを過不足ない記述で分かりやすく伝えてくれているのが本書。新しい経済学の流れを概観するのにうってつけの新書です。 ...
☆☆☆(映像作品)

アニメ映画 「王立宇宙軍 オネアミスの翼」 監督:山賀博之 星3つ

1. 王立宇宙軍 オネアミスの翼 「ふしぎの海のナディア」や「新世紀エヴァンゲリオン」で知られるアニメ制作会社、ガイナックスが最初に制作した作品。というより、ガイナックス自体が本作の制作を目的に立ち上げられたのですが、本作により莫大な借金を背負ってしまったことからその返済のために経営を続けることになったというのが事の顛末。上述した2作品も禍を転じて福と為す形で生まれたと思うと感慨深いですね。キャラクターデザイン:貞本義行、作画監督:庵野秀明、美術監督:小倉宏昌、音楽監督:坂本龍一と後のレジェンド達が一つの作品に結集しているということも1987年という年代の為せた業でしょう。 評価としては「『良い』未満にはなり得ない作品だが、」というあたり。生き方に惑う青年が馬鹿にされながらも宇宙を目指すという王道のストーリーながら、下手に主人公に媚びるようなヒロインや取り巻きを出していないのがいいですね。日常を普通に過ごしていると近視眼的な享楽を求めがちなところ、ただ漫然と生きていてよいのかということに主人公が気づき、たとえ無為なことに思えても人生というものに情熱を燃やし始める。そこは上手く描かれて...
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経済・金融・経営・会計・統計

教養書 「ウォール街のランダム・ウォーカー」 バートン・マルキール 星2つ

1. ウォール街のランダム・ウォーカー 1973年の書版発行以来、投資界隈で読み続けられている本であり、2016年発売の日本語最新版が第11版の訳書になります。ネット証券が台頭し、NISAやiDECOといった個人向けの投資制度も充実してきた昨今、投資についての基礎を身に着けておいて損はないでしょう。年金がGPIFによって運用されるようになったことで、年金の現状について一家言持つにはGPIFのポートフォリオを語れる必要が出てきたため、政治学に興味がある立場としても面白いのではないかと手に取りました。 評価としては微妙だった、というところですね。全般的に誤ったことが書いてあるとは思わないのですが、世界史や経済・金融の知識が全くない人向け(大学で学んでいない人)の説明が目立つ一方で、前半のほとんどを世界史上に起こったバブル事例の説明に消費してしまうなど、魅力的ではない構成になっており、どういった層を満足させられるのだろうという疑問を感じてしまいました。 ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉 ―株式投資の不滅の真理 posted with ヨメレバ ...
☆☆(漫画)

漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第6巻 相田裕 星2つ

1. 1518! イチゴーイチハチ! 第6巻 本ブログで唯一、新刊発売のたびに感想を書いている漫画である「1518!」。夏休み編だった5巻から季節は移り変わり、秋の話が描かれます。5巻の感想はこちらから。 1巻から星の数は☆4→☆5→☆5→☆3→☆3と推移させてきましたが、この6巻はさすがに星2つをつけざるを得ないという印象。これまでの筋書きや登場人物への愛着があったのでなんとか読めましたが、これが第1巻であれば次の巻は買わなかったでしょう。現実的なキャラクター造形と心理描写、そして人間ドラマの深堀りという魅力が薄くなり、少年誌で週刊連載されていそうなごく普通のラブコメになってしまっている印象があります。 1518! イチゴーイチハチ! (6) (ビッグコミックス) posted with ヨメレバ 相田 裕 小学館 2018-09-28 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo 2. あらすじ 幸と烏谷の関係が進展した夏休みも終わり、学校も再開。生徒たちは文化祭に向けて汗を流していた。そんな中で様子...
☆☆☆☆☆(映像作品)

アニメ映画 「コクリコ坂から」 監督:宮崎吾朗 星5つ

1. コクリコ坂から 宮崎駿さんの息子である宮崎吾郎さんが監督を手掛けたスタジオジブリの作品。とはいえ、企画・脚本は宮崎駿ですから、ほとんど共作といってよいでしょう。1980年に発売された同名少女漫画が原作となっておりますが、映画の内容はかなりオリジナル成分の強いものです。 ファンタジー要素もなく、普通の学園ものをジブリが制作するのはなかなか珍しいことですが、名作に仕上がっています。スケールは大きくないながら非の打ちどころのない作品で、 話の盛り上げ方や見せ方など、他の作品に範として欲しい要素が多く含まれています。 コクリコ坂から posted with カエレバ 宮崎吾朗 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2012-06-20 Amazon 楽天市場
☆☆☆(小説)

小説 「アルジャーノンに花束を」 ダニエル・キイス 星3つ

1. アルジャーノンに花束を アメリカのSF作家、ダニエル・キイスの作品で、1959年に中編として、そして1966年には長編に書き直されて発表されています。ネビュラ賞とヒューゴー賞という権威ある賞を受賞しており、日本でも2015年に新版が出るなど、定評ある古典として読まれ続けています。 感想としては、「手堅い名作」という印象。斬新な設定で唯一無二の地位を確立しており、特殊な題材ながら人を選ばない筆致には素晴らしいものがあります。一方で、これほど突飛な設定ながらあと一押しとなるようなどんでん返しなどがないところはやや肩透かしでありました。 アルジャーノンに花束を (ダニエル・キイス文庫) posted with ヨメレバ ダニエル キイス 早川書房 1999-10-01 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
月曜日の友達

漫画 「月曜日の友達」 阿部共実 星1つ

1. 月曜日の友達 独特の絵柄と毒のあるストーリーで人気を集める漫画家、阿部共実さんの作品。「このマンガがすごい!2018オトコ編4位」という位置づけからも、ディープな漫画好きに好まれる作風が特徴といえるかもしれません。 中身を一言で表せば、「凝り過ぎて妙な方向に行ってしまった作品」。設定やストーリー、そして漫画としての表現手法まで、斜に構えた中高生が凝った作品をつくろうと思ったらこうなった、とでもいえるもので、通ぶった人々がこれを良作としてしまうことが危惧される作品でした。 月曜日の友達 1 (ビッグコミックス) posted with ヨメレバ 阿部 共実 小学館 2017-08-30 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
赤い雪 勝又進作品集

漫画 「赤い雪 勝又進作品集」 勝又進 星1つ

1. 赤い雪 勝又進作品集 個性的な漫画家が集ったことで一部界隈では有名な週刊漫画誌、「ガロ」の執筆陣の一人であった、勝又進さんの作品集。第35回(2006年度)日本漫画家協会賞大賞を受賞した「赤い雪」が表題作です。絵柄はいわゆる「劇画」で、かつて存在した東北地方の旧い風俗がテーマとなっており、「遠野物語」に近いコンセプトと言えるかもしれません。 もちろん、そういった旧い文化の描き方は素晴らしいのでしょうが、説話的なもの、あるいは、人々の暮らしを描いたもの以上の、物語作品としての価値があったかといえば、そうではないという結論です。テンプレートのような「起承転結」や「劇的なクライマックス」を支持しているわけではありませんが、やはり人々の心を動かすための意図を持った構成がなければフィクション作品として良い評価を与えることは難しいでしょう。 赤い雪 普及版 posted with カエレバ 勝又 進 青林工藝舎 2011-11-22 Amazon 楽天市場 2. あらすじ ・「桑いちご」 ドジョウ売りの男の子が歩いていると、桑の木に登...
虹色ほたる

アニメ映画 「虹色ほたる 〜永遠の夏休み〜」 監督:宇田鋼之介 星2つ

1. 虹色ほたる ~永遠の夏休み~ 川口雅幸さんの同名小説を映画化した作品。子供向けアニメシリーズの映画化以外ではアニメ映画がまだ珍しかった2012年の公開作品です。挑戦的な作画とテーマで挑んでいるからか、興行的には振るいませんでした。 個人的にはそういった挑戦的な部分はかなり気に入ったのですが、いかんせん物語の進行や小道具の使い方が拙く感じました。特にラストシーンは全てをぶち壊すような酷い出来で、これさえなんとかすればもう少し良い評判を得られたのではと思います。 虹色ほたる―永遠の夏休み― posted with カエレバ 武井証 TOEI COMPANY,LTD.(TOE)(D) 2012-11-21 Amazon 楽天市場
夜とコンクリート

漫画 「夜とコンクリート」 町田洋 星2つ

1. 夜とコンクリート 町田洋さんの中短編集。「夏休みの町」で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した新進気鋭の漫画家です。流行かつ王道の漫画表現とは一線を画し、細い線とモノトーンで描かれる独特の絵柄と不思議な雰囲気の物語が特徴です。 とはいえ、感想としては「こういうマイナー漫画よくあるなぁ」という印象。幼少期への憧憬を描いた「青いサイダー」も、大学生の青春とSFを混ぜた「夏休みの町」も、日常に少し変わったファンタジー/SF要素を入れて、あとは多くを語らないという手法。いかにもサブカルチャー感がありますが、それ以上ではありません。悪くはありませんが、好きな人は好きの域を出ないでしょう。 夜とコンクリート posted with ヨメレバ 町田 洋 祥伝社 2014-02-03 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
ミヒャエル・エンデ

小説 「はてしない物語」 ミヒャエル・エンデ 星2つ

1. はてしない物語 ドイツの児童文学者ミヒャエル・エンデの作品。「モモ」と共に彼の代表作として扱われることが多い著作です。児童文学といえど単行本で600ページを越える大作で、岩波少年文庫版では対象が「中学以上」となっている読み応えのある大作。「ネバーエンディング・ストーリー」という題で映画化もされています。 感想としては、読み手を選ぶ作品だなという印象を受けました。幻想的なファンタジー世界の造形は見事ですし、恵まれない環境で育った少年が力を手に入れて慢心し、やがてその慢心から身を滅ぼしかけるもののそれを克服して最後は真理に到達する、という物語も王道なりに楽しめます。ただ、こうした「ヨーロッパ的ファンタジー世界」を受け入れる心持ちが最初からある人以外には展開が唐突で突拍子もなく思えるでしょうし、主人公も万民に受け入れられる人物かといえばそうではないと感じました。 はてしない物語 (エンデの傑作ファンタジー) posted with ヨメレバ ミヒャエル・エンデ 岩波書店 1982-06-07 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo ...
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