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「いちご100%」河下水希 評価:2点|2000年代前半のジャンプを支えたお色気恋愛漫画【学園ラブコメ】

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2002年から2005年まで週刊少年ジャンプに掲載されていた、所謂「ラブコメ」枠の漫画。

1984年連載開始の「きまぐれオレンジ☆ロード」から始まったジャンプラブコメの歴史ですが、比較的シリアスな恋愛を描いた「電影少女」や「I"s」といった90年代の作品からうって変わって、小中学生男子の欲望を全乗せしたハーレムコメディ路線を貫いて人気を得たのが本作となっております。

まだまだインターネットが普及初期にあった2000年代前半、二次元美少女たちの際どい画像が毎週拝める漫画は非常に希少であり、この間に年頃だった男性諸氏の心には深く刻まれている作品であることに間違いはないでしょう。

非常に有名なネタバレですが、正ヒロインがサブヒロインに敗れるというまさかの結末でもラブコメ界に衝撃を与えた作品です。

正直なところ、最序盤と最終盤を除いてはその殆どが微エロシーンをつくりだすための無理やりなラブコメ展開を中心とした話ばかりであり、物語作品として高く評価できる側面はあまりありません。

少年にとっての「エロ」成分補給源として少年誌が主役を張っていた時代の「魅せ方」を楽しむために読むか、そうでなければ、序盤と終盤の展開はラブコメ界隈で非常に有名(かつそこそこ面白い)ため、それだけつまみ食いするのもよいかもしれません。

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あらすじ

主人公の真中淳平(まなか じゅんぺい)は中学三年生。

映画監督になるという夢を秘かに抱いていること以外はどこにでもいる普通の少年である。

そんな真中はある日、学校の屋上でいちごパンツを履いた少女と出会う。

彼女の名前は東城綾(とうじょう あや)。

偶然にも東城の数学ノートを拾ってしまった真中は、そこに小説が書かれていることに気づく。

翌日、屋上へと東城を呼び出した真中は彼女の小説を率直に褒め、秘めていた自分の夢、映画監督になるという野望も打ち明けるのだった。

自分の隠れた趣味を初めて他人に認められたことで東城の心は揺れ動く。

しかし、東城の恋心がそう簡単に叶うことはない。

真中には学年一の美少女である西野つかさ(にしの つかさ)に告白するというミッションが待ち構えていたのだから......。

感想

開始2ページ目でいちごパンツのアップを見せつけてくるという画風の作品であり、真剣な思考で読むような作品ではありません。

次々と新しい女の子が登場しては主人公である真中にベタ惚れし、その過程で真中が様々なエロハプニングを経験するという展開が中盤の殆どを占めるため、極めて人を選ぶ作品だといえるでしょう。

しかしながら、上述の通り、序盤と終盤には見どころがあります。

まずは序盤の展開ですが、ここで真中の積極的な行動が光るところに受け身ばかりの主人公が多い昨今のハーレムラブコメとの違いがあります。

極めて地味な文学少女であった東城の小説を臆面もなく褒め称え、東城が自分の嗜好に自信を持ち、小説家になるという夢に向かって積極的になるきっかけを与えるのです。

この事件がきっかけとなり、東城は志望校のレベルを落として真中と同じ泉坂高校を受験するのですが、主人公の勇敢で誠実な行動がヒロインの積極性を開拓してその人生を変えていくという流れには王道の魅力があります。

そして、なんといっても連載当時ラブコメ界を良い意味で騒がせたのが「懸垂告白」です。

スポーツが得意な男子はカッコイイから、運動しながら告白すればよいのではないか、というあまりに的を外した東城のアドバイスを真に受けて、真中は西野を公園に呼び出し、懸垂をしながら愛の告白をするのです。

この告白方法が女性の立場から見て本当に魅力的かはともかく、運動しながら告白すればよいのではないか、なんて言われて、懸垂告白という方法を思いついて実行するような人間は人生を面白く生きられる人間に間違いないでしょう。

ラブコメにおいて主人公の男性に魅力を持たせるのはなかなか難しいことですが、この真中という少年は、序盤においては結構面白い男なんですよね。

ただ、それ以降はひたすら受け身でラッキースケベとハーレム接待を楽しむだけの男に成り下がってしまうのですが.......。

さて、そんな中盤は飛ばして、次は終盤の展開に焦点を当ててみます。

第15巻における東城の印象的な台詞「中3の冬…はじめて男の子にあたしという存在を受け入れてもらえて、心をギュッて抱きしめられた気がした」というあたるりが物語の転換点になります。

真中へのアプローチに積極的な西野に比べ、奥手な性格からなかなか恋愛の第一歩を踏み出せなかった東城。

そんな東城は、ようやくこの辺りから真中に恋心を伝えようと努力し始めるのですが、時すでに遅し。

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