小説作家名「は」行

古橋秀之

小説 「冬の巨人」 古橋秀之 星1つ

1. 冬の巨人 「ブラックロッド」で第2回電撃ゲーム小説大賞を受賞してデビューした、古き良きライトノベル作家である古橋秀之さんの作品。その人気は根強く、2007年に徳間デュアル文庫から刊行されたのち、2014年に富士見L文庫から新装版が発売されております。 フジテレビの「世にも奇妙な物語」で映像化もされた、「ある日、爆弾が落ちてきて」と並ぶ著者の代表作といえるでしょう。 そんな「冬の巨人」ですが、全体的な感想としては、あっさりし過ぎ、薄味すぎといったところです。冒険ものSFファンタジーの定番要素がこれでもかと並べ立てられるのですが、それぞれの掘り下げ方があまりにも浅く、良い意味で心に引っかかるところが何もないからこそすらすらと読めていける作品になってしまっています。 2. あらすじ どこまでも極寒の雪原が広がる世界で、黒い塔のような巨人が背を曲げて歩き続けている。 そんな異形の巨人"ミール"の背の上に、人間たちは都市を築いて生活していた。 主人公であるオーリャも都市の住民であり、神学院でディエーニン教授の助手を務めることで生計を立てて...
フランソワーズ・サガン

小説 「悲しみよこんにちは」 フランソワーズ・サガン 星4つ

1. 悲しみよこんにちは 20世紀後半に一時代を築いたフランスの小説家、フランソワーズ・サガン。その代表作が処女作である「悲しみよこんにちは」です。1954年に出版されるとたちまち世界的なベストセラーとなり、サガンをしてデビュー作でいきなり一流作家の仲間入りを果たさせた名作となっております。 そんな高い前評判に違わず、素晴らしい小説でした。非の打ちどころのない情景描写と心理描写に魅了されます。河野真理子さんの翻訳も絶品で、小説における美しさや切なさ描写の極致を極めた作品の一つと言っても過言ではないでしょう。 2. あらすじ 主人公のセシルは17歳。父親であるレエモンとの父娘家庭育ちである。といっても、レエモンは実入りの良い職業についていて、もう40歳を超えるというのにパリの社交界で女性をとっかえひっかえしている奔放な男性。そんな父に連れられ、セシルも遊びばかりを覚えてこの年まで育ってきた。 17歳の夏、セシルは父とともにコート・ダジュールの別荘を訪れている。父の愛人であるエルザとの仲は良好なうえ、海岸ではシリルという大学生と出会って恋仲になった。...
東野圭吾

小説 「容疑者Xの献身」 東野圭吾 星2つ

1. 容疑者Xの献身 ミリオンセラーを連発し、ドラマ化・映画化作品も多数。受賞した文学賞も数知れずという現代の大人気大衆小説家、東野圭吾さんの作品で、彼の代表作だと言ってもよいでしょう。直木賞を獲得したほか、国内の主要なミステリ賞を五つ受賞。発行部数は驚異の1000万部を誇ります。 さて、そんな世間的評価の高い作品なのですが、個人的にはありきたりで普通の作品に思われました。ミステリーのトリックは凄いといえば凄いのですが、そういったトリックの精巧さよりも人物の心理描写や脚本に重きを置く性格だからかもしれません。やや感情移入しづらい登場人物たちと、あざとすぎる「劇的」な展開には少し興醒めで、著しく悪い点はないものの、かといって凡庸の域を出ない作品だと感じます。 2. あらすじ 小さなアパートに暮らす花岡靖子・美里母娘。平穏な日常を送っていた二人だったが、元夫である富樫慎二がこのアパートにやって来たことから彼女たちの運命は大きくねじ曲がっていく。ストーカーのように纏わりつく富樫に二人は辟易しており、二人はついに、富樫を殺してしまうに至るのだった。 そん...
林真理子

小説 「葡萄が目にしみる」 林真理子 星2つ

1. 葡萄が目にしみる 小説家としてはもちろん、エッセイストとしても有名な林真理子さんの作品。 女性の心理描写が巧みだという評価が一般的でしょうか。 直木賞や吉川英治文学賞といった文芸界の賞はもとより、レジオンドヌール勲章や紫綬褒章といった国家レベルの叙勲もされるなどまさに大作家だといえるでしょう。 長らく直木賞の選考委員を務めていることや、「元号に関する懇談会」の有識者委員として「令和」制定にも関わっていることからもその大物ぶりが伺えます。 そんな林さんが手掛けた青春小説が本作、「葡萄が目にしみる」。 林真理子さんの出身高校を舞台としており、林さん自身の容姿を彷彿とさせる主人公と、明らかなモデルが存在する登場人物など、半ば自伝的な要素がある小説とされています。 直木賞候補となり、現代的な表紙の新装版も発売されるなど根強い人気のある作品ですが、個人的には凡庸な青春小説だなという感想でした。 ありきたり(よりも容姿が少し劣って嫉妬深く自意識過剰な)女子高生の高校生活を良くいえば瑞々しく、悪くいえば淡白でオチなしヤマなしに描いた作品で、これ...
パウロ・コエーリョ

小説 「アルケミスト」 パウロ・コエーリョ 星2つ

1. アルケミスト ブラジル出身の作家、パウロ・コエーリョの代表作で、累計発行部数が1億部を超えるという世界的な大ベストセラーです。原著は1993年発行で、日本語版は1997年の発行。当時、書店で大プッシュされていたことを記憶している人もいらっしゃるのではないでしょうか。 そんな偉大な作品に対してやや傲慢な態度になってしまうかもしれませんが、個人的には凡作であると感じました。抽象的で浮ついた言葉がそれっぽい雰囲気を醸し出しているだけで心を動かすような本当の内容というものが存在せず、物語そのものはいたって普通。読んで不快になることはありませんが、読破した直後の気分としては「ふーん」で終わってしまった作品です。 2. あらすじ スペインのアンダルシア地方を拠点に活動する羊飼いの少年サンチャゴはある日、セイラムの王様メルキゼデックだと名乗る老人と出会う。王様は少年が飼っている羊の十分の一を対価に、宝物が眠る場所を教えてくれるという。悩んだ末、少年が羊を連れて王様のもとへ再びやって来ると、宝物はエジプトのピラミッドにあるのだと王様は言い、少年にウリムとトムミム...
☆☆(小説)

小説 「ねじの回転」 ヘンリー・ジェイムズ 星2つ

1. ねじの回転 アメリカ生まれながらヨーロッパでも長い時間を過ごし、米欧双方の視点や文化が入り混じった小説を書いたことで有名なヘンリー・ジェイムスの作品。日本では「デイジー・ミラー」と並んで容易に入手できるのがこの「ねじの回転」です。 文学作品と言うだけあって、技巧を凝らした心理描写は優れていました。ただ、技巧ばかりで、なにか普遍的な人間真理を衝くような、そんな迫真性にかなり欠けていた作品でもありました。 ねじの回転 (新潮文庫) posted with ヨメレバ ヘンリー ジェイムズ 新潮社 2017-08-27 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
フィリップ・K・ディック

小説 「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」 フィリップ・K・ディック 星2つ

1. アンドロイドは電気羊の夢を見るか? 映画「ブレードランナー」の原作であり、SFの古典名作といえる作品。特徴的な日本語訳タイトルの語感も有名で、多くのパロディ元になっています。 そんな本作、設定そのものは面白いのですが、特にどんでん返しや繊細な感情描写があるわけではなく、「まぁ、こうなるだろうな」という展開が続く印象。あまりにもベタだと感じてしまうのは、本当に面白くないからか、古典の中の古典だからか迷ってしまいます。 アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) posted with ヨメレバ フィリップ・K・ディック 早川書房 1977-03-01 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
氷室冴子

小説 「海がきこえる」 氷室冴子 星1つ

1. 海がきこえる 少女小説で有名な氷室冴子さんの作品。ジブリの原作にもなった人気作です。 それこそ映画脚本におけるト書きのようだ、と言えばよいのでしょうか。あまりにも淡々としているうえ、内容は何のひねりもない恋愛ものでした。 海がきこえる (徳間文庫) posted with ヨメレバ 氷室 冴子 徳間書店 1999-06-01 Amazon Kindle 楽天ブックス
畑野智美

小説 「夏のバスプール」 畑野智美 星2つ

1. 夏のバスプール 高校生たちの夏の小さな思い出を繊細に描いた、ノスタルジックな青春群像劇です。 著者の畑野智美さんは小説すばる新人賞出身。ヒットメーカーを多数輩出している賞だけあって安定した書きぶりでしたが、やや風呂敷が小さすぎ、インパクトに欠ける作品でもありました。 夏のバスプール (集英社文庫) posted with ヨメレバ 畑野 智美 集英社 2015-05-20 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
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