高校の吹奏楽部を舞台にした青春部活物語。
大学生で作家デビューを果たした武田綾乃さんの原作を、深夜アニメ界隈では大きなブランド力を持つ京都アニメーションがアニメ化した作品です。
第1期の出来が素晴らしかったため、個人的にも非常に期待していた第2期でした。
第1期の感想はこちら。
この第2期は、正直なところ第1期よりは良いとは言えず、終盤の失速は残念でした。
しかし、それでも並大抵のアニメよりは十分に良いと言える作品だったことは間違いありません。
深夜アニメ的すぎる要素を排して更なる工夫を加えれば、午後7時前後やゴールデンの時間帯に流しても評価を得られるような、そのれくらいのポテンシャルがあると感じる作品です。
あらすじ
主人公、黄前久美子(おうまえ くみこ)は京都府立北宇治高校に通う高校一年生。
同じ中学校からの進学者が少ないというだけの理由で北宇治高校進学を決めた久美子は、中学校で所属していた吹奏楽部に引き続き入部する気もなく、また、入学時に聴いた吹奏楽部の演奏は酷いもので、当初は北宇治高校の吹奏楽部そのものに良い印象を抱いていなかった。
しかし、同級生である川島緑輝(かわしま さふぁいあ)や加藤葉月(かとう はづき)の誘いもあり、結局、吹奏楽部に入部することになる。
新顧問である滝昇(たき のぼる)の指導や、新加入の部員たちの技量により実力をつけた北宇治高校は見事、京都府大会で金賞を獲得し、関西大会出場を決める。
関西大会に向け気合十分な北宇治吹奏楽部の部員たち。
練習にも前向きな姿勢に溢れ、順風満帆かと思われたが......。
夏休みを目前にし、昨年部を辞めた傘木希美(かさき のぞみ)が復帰を願い出たことから、吹奏楽部には波乱の予感が漂い始める。
感想
ジャンルとしては「青春部活群像劇」であり、人間関係に強くスポットライトを当てている点が特徴の作品。
私は吹奏楽部員ではなかったのですが、吹奏楽部という部活はそういった人間関係の問題を抱えることがしばしばあると聞きます。
原作者の武田さんも中学生のときに吹奏楽部に所属していたということですから、公立校が全国大会を目指すというスポ根的な枠組みの作品でありながら、人間関係を主軸にした物語にしてみようという発想も自身の経験から来ているのかもしれません。
また、ここは完全に想像ではありますが、そういった「人間関係の円滑さ」が最も露骨に出る類の競技が吹奏楽なのだと思います。
集団競技であっても、個人技がチーム全体の弱みをある程度補填できるような構造がスポーツの世界には存在しており(野球など)、また、個人技の傑出した選手を中心に全体を組み立てるということもできます(サッカー、バレーボールなど)。
しかし、吹奏楽は完全に「合奏」の競技であって、まさに「息を合わせること」が演奏技術と同等か、それ以上に要求されるという側面が人間関係と吹奏楽部としての実力を連動させ、「吹奏楽と人間関係」が持つ緊張感を生み出しております。
部活動×人間関係をテーマにするにあたって、吹奏楽部はうってつけの題材だと言えるでしょう。
さらに、公立高校がメジャー競技で全国を目指す、というテーマを2010年代後半というこの時代に復活させようという気概にも胸が熱くなります。
昨今では推薦入試で人材を集める私立高校が高校の全国大会を制する現象がどんな競技でも当たり前となっており、「夢を与える」はずの漫画であってさえ、そのような現実を反映した作品が数多く世に送り出されています
野球漫画では「メジャー」や「ダイヤのA」などがその典型でしょう。
さらには、こうした「学校」という機関が選手として大成するためのエリートコースではないという競技も増えてきています
Jリーグではユース出身の選手が多く活躍していますし、テニスの錦織選手は著名なテニスアカデミーで修練を積んでいたようです。
そういった現実を反映して、主人公がエリート養成機関で育つ漫画も隆盛しております。
スポーツ推薦校・ユース・アカデミー
こうしたエリートコースで日夜トレーニングを積んだ結果としてスーパーエリート選手となり、全国大会や世界で活躍する姿は世間でも概ね好意的に捉えられているのが実情で、強豪校/強豪チームの施設や環境の素晴らしさ、長時間の厳しいトレーニング風景はマスメディアもこぞって取材を敢行するほどです。
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