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漫画 「少女終末旅行」 つくみず 星2つ

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少女終末旅行
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1. 少女終末旅行

新潮社が運営するweb漫画サイト「くらげバンチ」に掲載されていた作品。単純な線が却って趣を醸し出すような絵柄が特徴的で、いわゆるバトル漫画やラブコメ、ギャグ漫画、萌え漫画という分類とは一線を画す作風です。2017年にアニメ化されており、アニメの方は本ブログでも感想を書きました。

アニメ版にオリジナル要素がほとんどなく、展開が漫画版をなぞっていることから抱く感想もほとんど同じなのですが、荒廃した世界で繰り広げられる単純な会話劇だったからこそアニメ版の方がその良さを際立たせられていたという印象です。また、漫画がアニメの終了後に完結したため双方でエンディングが異なっている(アニメ版は漫画版の途中のエピソードを締めに使っている)のですが、ここもどちらかといえばアニメ版の方が心に残る終わり方だったように思います。

2. あらすじ

舞台は激しい戦争の末に回復の見込みがないほどに荒廃した世界。人類は僅かに生存しているのみで、集団を形成するほどの人口さえ残っていない。

そんな世界を旅するのが、チトとユーリの二人組。半装軌車ケッテンクラートを繰り、食料と燃料を求めてあてもない道程を進んでいた。

時に生き残っている人間と出会って彼らの生きざまを見届け、時には文明の残り香漂う工場や墓地と出会い、かつての人類社会の面影を新鮮な驚きとして受け止める。

荒廃した巨大都市の最上層を目指す彼女たち。旅路の果てにたどり着く場所とは……。

3. 感想

荒涼とした世界の中での僅かな物音であったり、暗中にしんしんと降り積もる雪であったりと、そういった「静」の表現が本作品の大きな魅力であり、漫画版でも確かにそれは感じることができるのですが、アニメ版の見事な演出と比べると悪くはないものの普通感があります。焚火のぱちぱちと燃える音や雨音などはそれだけで1つのエピソードのテーマやメイン演出になっていたりするのですが、そういった「音」が鍵となっている以上、やはりアニメにおける表現が勝ってしまうのでしょう。むしろ、「静かさ」が主題の一つである本作をアニメ化しようとした試みが妙手であり、アニメの原作としての価値が大きいといえます。

また、アニメ終了後も連載が続いていたため漫画版には漫画版の終わり方があるのですが、これも何というか普通でしたね。このような展開は十分予期できますし(というよりどこまでも「自然」な展開。二人を待ち受ける運命はきっとこうだろうと最初から誰もが予想している展開)、寂寥感がないわけではないですが、カタルシスも生まれなかったのが正直なところ。アニメ版のような「にぎやかだった頃の世界、色んな人生を人々が『生きていた』世界が映し出され、チトとユーリが歩き続ける寂しい世界との対比の中で一層鮮烈にその輝きを感じさせる」の方がはっと胸を衝かれるような驚きと感動がありました。漫画版にもそのエピソードがあるのですが、あの場面はカラーでかつテレビ的な「動」が映えるので動画で見た方が感動もひとしおです。

4. 結論

悪くはないですが、漫画版では淡白すぎるうえ特徴的な「動き」や「響き」の臨場感に欠けてしまうというのが正直な感想。もし、アニメ版を知らなければ1巻で読むのをやめていたかもしれません。アニメ版の視聴をお薦めしつつ、もし、その原作に興味があればといった程度の推薦度です。

少女終末旅行☆☆(漫画)
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明日も物語に魅せられて

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