第3位 「少女終末旅行」尾崎隆晴
【荒廃した世界を旅する二人の少女】
・あらすじ
舞台は激しい戦争の末に回復の見込みがないほどに荒廃した世界。
人類は僅かに生存しているのみで、集団を形成するほどの人口さえ残っていない。
そんな世界を旅するのが、チトとユーリの二人組。
半装軌車ケッテンクラートを繰り、食料と燃料を求めて進む日々。
ときには生き残っている人間と出会って彼らの生きざまを見届け、ときには文明の残り香漂う工場や墓地に辿り着き、かつての人類社会の面影を新鮮な驚きとして受け止める。
荒廃した巨大都市の最上層を目指す彼女たち。
旅路の果てにたどり着く場所とは......。
・短評
チトとユーリという二人のキャラクターの会話劇で物語が進みます。
荒涼とした世界の中で、過酷な出来事に立ち向かったり、新鮮な光景に感動したりする二人の旅路を見ていくだけの物語なのですが、それがいい味を出している作品です。
静寂の中で2人が会話するだけ(EDにおける声優クレジットの衝撃的な少なさ!)という形式はもちろん、生や死について旅すがら自然に考えるような物語になっていることなど、様々な意味で深夜アニメの主流派とは一線を画しております。
とはいえ、過度に淡々としていることもなく、盛り上がりどころやシリアスな場面は多く存在し、視聴者を惹きつけるのには十分なテンポと抑揚を備えてもいます。
しかし、どこか遠い世界を旅する二人の姿を見ていると、日常の騒乱から一歩距離を置いたような、子供のときにじっと星空を眺めていたときのような、そんな気持ちになれるのです。
賑やかしのための安っぽいBGMもなく、不思議な世界観にじっくりと浸れる作品。
静かな感動を味わいたいときに鑑賞したいアニメになっております。
コメント