要人を狙った爆弾テロの阻止、テロリスト組織に対して秘密裏に資金供給を行っている軍人の暗殺、テロリストに占拠されたベネチア時計台への突入作戦、同じくトリノ原発奪還作戦など、緊迫感のある大小の戦いが連続するため「命のやり取り」を感じさせる高揚感も充実しています。
加えて「漫画」としての完成度も高く、くどい説明や幼稚で寒いギャグは一切ありません。
コマとコマの「間」を有効に使いながら印象的な台詞ばかりで紡がれる感動シーンの数々や、ダイナミックかつ分かりやすい戦闘シーンの双方が素晴らしく魅力的だという稀有な作品です。
全十五巻と比較的コンパクトに纏まった物語ですが、内容は非常に濃密で、テンポも速く飽きさせません。
義体となる少女たち以外では肩書のある大人の登場人物が多く、それこそ「学園」ものや、中身が子供な大人たちが繰り広げる緩い「お仕事」ものにはない深い味わいのある作品に仕上がっております。
褒める点を挙げればきりがなく、素直に5点をつけても良かったのですが、義体となる子供が「少女」ばかりな点が不自然であること、女性が男性を好きになってアプローチする恋愛描写ばかりである点はやはりマイナスポイント。
掲載紙の関係でそうなったのかもしれませんが、リアリティと生々しさで魅せる「大人の物語」に一点の悪い「甘さ」を残してしまっている側面だと言えるでしょう。
とはいえ、名作であることは間違いない作品。
4点(概ねどの要素をとっても魅力的な、名作・名著に値する作品)という評価が低すぎることはあっても高すぎることはないでしょう。
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