それこそ、本作の主人公である藤井香菜子が抱えるような虚無感と、行き場なく体内に滞留していく気疲れがそんな不幸を体現している気がします。
(「主に"人間力"や"教養"で難局を突破しろ」という社会と「"人間力"や"教養"を最重要能力として教授しよう」とする学校教育は相互に鶏卵関係となっており、システムが自己強化していくという面から見ると、急激に変化させるのは難しいのかもしれませんが)
そして、そんな香菜子にも、アニソンやボカロを聴き、歌詞やイラストをノートに描いていた時期があると作中で語っています。
クラスで孤立していたとき、そんなキャラクター達に救われたとも。
「なんだこの人生」なOLにだって、熱中できるものがあり、しかもその熱中を、ささやかながら創作(たとえば本作を書くなど)に転換できる気力が胸の内側に備わっているのです。
その気力を掘りおこし、より価値をもたらすような労働に転換できるような社会構造にならなければ、経済をより上向かせることはできないのではないでしょうか。
私たちは経済のために存在しているのではありませんが、豊かな経済力、伸びていく経済力なしに私たちの豊かな生活を維持することはできないのも事実です。
さて、そんな香菜子が何に生きがいを見出して辛い社会人生活を乗り切ろうと決意するのか。
それは本書を見てのお楽しみとして欲しいのですが、ベタながらいかにも現代的な発想です。
オチもよく纏まっていて、すごく面白いというわけではないものの、辛い社畜生活の中でちょっとした息抜きになるような漫画になっています。
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