小説 「煌夜祭」 多崎礼 星2つ

煌夜祭
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1. 煌夜祭

中央公論新社主催のライトノベル新人賞、C★NOVELS大賞の第2回受賞作です。当時は異色のライトノベルとしてその界隈を中心に話題となりました。

全体的に「惜しい」という印象で、構築したい世界観や伝えたい「切なさ」は分かるのですが、散見される陳腐な表現や展開がそれを妨げてしまっています。

2. あらすじ

普段は人間と同じ姿かたちをしているものの、一年に一度、冬至の日に人間を食べずにはいられない「魔物」の棲む世界。ただし、物語を聞かせ続ければ「魔物」は人を食わない。ゆえに、冬至の日には「語り部」たちが集まり、物語を語り明かす。その行事は「煌夜祭」と呼ばれていた。

そして、今年も「煌夜祭」の日がやってくる。

島主屋敷が廃墟となり、聞き手のいない島に集った、たった二人の「語り部」がいた。ナイティンゲルとトーテンコフ。二人が語る話こそ、十八の島が浮かぶこの世界の過去にまつわる重大な話。全ての話が語り終えられたとき、この世界にまつわる小さな真実が明かされる...... 。

3. 感想

「魔物」に対する畏怖と差別、争いの絶えない十八の島々の問題を解決しようとした人々の英雄譚が連作短編方式で語られる小説です。とはいえ、クライマックスになってようやく一つ一つの話に明瞭なつながりがあったことが分かります。

一つ目、二つ目の話あたりまでは「いいな」と思える話でしたが、物語の核心に迫る「王位継承戦争」で一気につまらなくなってしまいました。主人公格の人物たちが典型的な「高潔でかっこいい」設定で、恋愛の展開も安っぽく、また、差別に対する憤りもとってつけた感触が否めません。「魔物」の設定などは非常に文学的なのですから、もっと倫理についての深い投げかけや、個人の葛藤を描いてくれればと思ってしまいます。

まるで週刊連載の少年漫画のように、ただ単調な感情の流れが続くだけです。

もう少し作りこめばいい作品になったものを、という印象。星4~5の潜在能力を持ちながら、星1.75くらいになってしまったという作品です。

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