物語の内容は、今回も王家を狙ったテロを解決する話。
雄大な冒険譚が魅力だった「アリソン」と比べると、シリーズもののドラマのような、お決まりパターンな展開で前巻と同じくあまり楽しめませんでした。
2. あらすじ
冬休み、アリソンとリリア母娘のもとに、年明けを一緒に過ごさないかというトレイズからの誘いの手紙が届く。
誘いに乗り、トレイズが住むイクス王国に足を踏み入れたアリソンとリリアだったが、リリアとトレイズが同じ宿で年を越したその晩、事件が起こる。
王宮に何者かが侵入し、女王フランチェスカとその夫ベネディクトが襲われたのだ。
救出のため王宮へと向かうリリアとトレイズだったが......。
3. 感想
「ドラマ」のない物語ですね。
王宮を襲撃した犯人たちの動機は「父を殺された復讐」というありきたりなものでしたし、物語の鍵になるアイテムであると序盤で示唆された「王家の宝」も物語に絡むことはありません。
また、リリアやトレイズの異常な行動力になんの説明もないのは不自然ですし、二人の恋模様もどちらかが仕掛けるということもないのであまりに平坦です。
破綻しているとか矛盾しているとか、そういう欠点はないのですが、かといって読者を楽しませるためのギミックも見当たらず、どこを肯定的に評価すべきか難しい作品です。
リリアとトレイズⅤ&Ⅵ
1. 私の王子様
「一つの大陸の物語」シリーズの第2幕、「リリアとトレイズ」の最終話にあたります。
旅行先で出会う二人、テロリストに囲まれる列車。
またも単調なテロリスト撃退話であり、退屈なワンパターンです。
2. あらすじ
イクス王国の王子、トレイズに婿入り話が来たのははるか昔のこと。
トレイズは20歳までに意中の人がいなければその相手と結婚することになっている。
その相手とはベゼル王国のマティルダ王女。
そんなある日、マティルダ王女のイクス王国訪問が決まる。
大物の訪問に湧きたつイクス王国の民衆たち。
訪問に際して、トレイズはマティルダ王女の列車に同乗し、観光案内役を務めることになっていた。
一方、リリアは珍しく休暇の獲れた母親、アリソンと旅行に行くことに。
案の定、リリアとトレイズは同じ列車に乗っていて......。
3. 感想
強引に物語を締めくくった感がぬぐえません。
感想にするのもつらいほどお決まりの展開。
テロリストに囲まれ、トラヴァス少佐やアリソン、そしてトレイズの単線的な活躍で解決して、というだけのお話です。
物語に意外性がないのはもちろん、悪役も妙に現実離れしているのがダメですね。
ライトノベルというよりジュブナイル小説に近い、比較的「リアル寄り」で落ちついた世界観の物語であるという特徴さえ全く活かせておりません。
戦闘もダメ、冒険もダメ(今回は完全な巻き込まれ型で、主人公たちの自発性がゼロです)、ラブロマンスもダメ。
読んで後悔しました。
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