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「響け! ユーフォニアム ~誓いのフィナーレ~」石原立也 評価:3点|スポ根要素と人間関係要素の両輪が魅力の青春吹奏楽アニメシリーズ続編映画【アニメ映画】

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響け!ユーフォニアム 誓いのフィナーレ
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同名の小説を原作とするアニメシリーズの第3期に相当する部分ですが、TVシリーズとしてではなくアニメ映画として公開されました。

原作の著者は武田綾乃さん。

アニメ版は京都アニメーションが手掛けています。

原作はともかくアニメ版は私もファンでありまして、本ブログでも継続して取り上げている作品の一つです。

アニメ版の第1期、第2期のレビュー及び原作小説のレビューは以下の通りです。

「響け!ユーフォニアム」石原立也 評価:4点|せつなく激しい人間関係が交錯する、波乱万丈の吹奏楽スポ根一筋縄ではいかない人間関係が交錯する波乱万丈の吹奏楽スポ根【青春アニメ】
2015年に放送された、高校の吹奏楽部を舞台にしたアニメーション作品。「涼宮ハルヒの憂鬱」や「けいおん!」を手掛け、深夜アニメ界隈では評価の高い京都アニメーションの制作です。原作は武田綾乃さんが著した同名小説であり、ライト文芸が全盛の文芸界ではありますが、どちらかというと昔ながらのジュブナイル青春小説という装いの作品です。「吹奏楽」がテーマなので、音声を入れられる映像表現でさらに磨きをかけられると思ったのかもしれませんが、ライトノベルでもライト文芸でもない原作で勝負をかけてくるところに、京都アニメーションが他のアニメ制作スタジオと一線を画そうとしている気概を感じます.そんな本作ですが、近年の深夜アニメでは稀にみる出色の作品であると感じました。昔ながらの「スポ根」的な要素を上手く現代に蘇らせた作品であり、なおかつ、人間関係を主軸としたヒューマンドラマを魅力的に描けている作品でもあります。時おり挟まる過度な、いわゆる「百合」描写を除けば、そのまま午後6~7時台で放送されていてもおかしくないような、そんな王道青春部活物語になっております。あらすじ舞台は京都府宇治市、主人公は高校の新入生である...
「響け!ユーフォニアム2」石原立也 評価:4点|せつなく激しい人間関係が交錯する、波乱万丈の吹奏楽スポ根 前編(第1話~第4話)【青春アニメ】
高校の吹奏楽部を舞台にした青春部活物語。大学生で作家デビューを果たした武田綾乃さんの原作を、深夜アニメ界隈では大きなブランド力を持つ京都アニメーションがアニメ化した作品です。第1期の出来が素晴らしかったため、個人的にも非常に期待していた第2期でした。第1期の感想はこちら。この第2期は、正直なところ第1期よりは良いとは言えず、終盤の失速は残念でした。しかし、それでも並大抵のアニメよりは十分に良いと言える作品だったことは間違いありません。深夜アニメ的すぎる要素を排して更なる工夫を加えれば、午後7時前後やゴールデンの時間帯に流しても評価を得られるような、そのれくらいのポテンシャルがあると感じる作品です。あらすじ主人公、黄前久美子(おうまえ くみこ)は京都府立北宇治高校に通う高校一年生。同じ中学校からの進学者が少ないというだけの理由で北宇治高校進学を決めた久美子は、中学校で所属していた吹奏楽部に引き続き入部する気もなく、また、入学時に聴いた吹奏楽部の演奏は酷いもので、当初は北宇治高校の吹奏楽部そのものに良い印象を抱いていなかった。しかし、同級生である川島緑輝(かわしま さふぁいあ)や加藤葉月(...
【吹奏楽スポ根】小説 「響け! ユーフォニアム」 武田綾乃 星1つ
第1巻の感想1. 響け! ユーフォニアム京都アニメーション制作のアニメ「響け! ユーフォニアム」の原作小説です。著者は刊行当時現役大学生だった武田綾乃さん。吹奏楽経験者だからこそという表現や瑞々しい感性という点では良い面も見られたのですが、ストーリーや文章力といった作品の幹となる部分がイマイチという印象でした。アニメ版は非常に良かったために意外な残念さを感じてしまいます。2. あらすじ主人公は高校一年生の黄前久美子(おうまえ くみこ)。京都府立北宇治高校に進学した久美子は中学校に引き続き吹奏楽部に入部するか迷っていたが、同じクラスになった友人たちの勧めもあり、流されるままに入部する。そんな久美子を待っていたのは、新しく顧問になった滝昇(たき のぼる)による厳しい練習。元々はぬるま湯だった北宇治高校吹奏楽部。当初は部員たちも彼に反発するが、上手くなっていく楽しさに気づき、吹奏楽部はコンクールに向け奮い立っていく。そんな中、花形であるトランペットのソロパート決めで波乱が起こる。部内オーディションの結果、三年生の中世古香織(なかせこ かおり)ではなく、一年生の高坂麗奈(こうさか れいな)がソ...

序盤~中盤にかけての部活人間関係&スポ根の在り方という本作の原点にまつわる展開の良さに敬意を表しつつも、2冊分の小説を1つの映画に纏めているからか、終盤を中心に粗雑さや異様な駆け足感もあってやや「濃密さ」の不足を感ましたので、評価は3点(全体のレベルが一定以上、なおかつ胸を揺さぶる要素が一つ以上ある佳作)といたしました。お勧めできる作品ではあります。

面白かった前半部、イマイチだった後半部に分けて感想を述べていきます。

【前半部】

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あらすじ

悲願の全国大会出場を果たした北宇治高校吹奏楽部だったが、全国大会での評価は最低ランクである銅賞。

悔しさを噛みしめながらもさらなる躍進を胸に秘める部員たち。

しかし、3年生が引退したいま、目下の課題は部員集めだった。

私立高校のように特待生がやってくるわけではないため、必死で1年生をかき集め、各楽器の担い手を充足させなければまともな編成を組むことすら怪しいのが京都府立北宇治高校の実情なのである。

とはいえ、辣腕の顧問教師であるたきのぼるに率いられ、錚々たる私立高校が居並ぶ関西予選を突破して全国大会出場を果たしたというブランドは折り紙付き。

吹奏楽部入部を目的に入学してきた生徒も多く、頭数には苦労しなさそうな雰囲気が漂っている。

従来は不人気楽器の集合である低音パートにも経験者が各楽器に集まり、ユーフォニアムを担当する2年生、本作の主人公である大前おおまえ久美子くみこも一安心。

何を隠そう、進級した彼女は3年生の加部かべ友恵ともえと共に1年生の指導係になっていたのである。

ところが、そんな安心感も束の間。

低音パートに入った1年生は曲者揃いで人間関係は最初からこじれていく。

技術は長けているが自主練習はせずに早く帰ってしまう鈴木すずき美玲みれい、技術はイマイチだが人懐っこく愛されキャラの鈴木すずきさつき、孤立主義的で名字で呼ばれることを執拗なまでに嫌う月永つきながもとむ、そして、「いい子」の仮面を被りながら人間関係を冷めた目で見る久石ひさいしかなで

技術で正当に評価されず、「明るいキャラ」や「頑張り」ばかりが持て囃される雰囲気に嫌気がさしていた鈴木美玲。

彼女は愛想と付き合いの良さで人間関係に盤石の地位を気づいていくさつきを快く思っていない。

そして、どうせ実力ではなく人間関係や先輩後輩関係で物事は決まってしまうから努力など無駄だと達観する奏。

それぞれの屈折した思いを前に、「上級生」となった久美子はどう振舞うのか。

そして、コンクールの行方は......。

感想

冒頭は素晴らしい入り方だったと思います。

おふざけではない、茶化さない告白シーンから入るのは胸の高鳴りがありました。

これをやられて盛り上がらないわけがないでしょう。

久美子と塚本つかもと秀一しゅういちが付き合い始めるエピソードは原作の外伝で明かされており、アニメではまだ未登場のシーン。

しかも、これは1年生のときの出来事という設定ですから、普通に「2年生」編である本映画を始めてしまうと、2人が付き合っている前提を視聴者に伝える機会がなくなってしまうわけです。

どうやって付き合っている前提を視聴者に受け入れさせるのだろうか、と案じておりましたが、冒頭のキャッチに使うとは素晴らしい技巧。

一気に物語の世界へと惹きこまれてしまいました。

オープニングは吹奏楽アレンジの「これが私の生きる道」。

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