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「フォレスト・ガンプ」ロバート・ゼメキス 評価:3点|激動の戦後アメリカを駆け抜けた、実直で不器用な男の人生【アメリカ映画】

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フォレスト・ガンプ
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1994年公開のアメリカ映画で、大ヒットを記録してアカデミー賞の作品賞を受賞した作品です。

いまなお古典としての人気も高く、ハリウッド映画の王道的名作とされています。

主人公のフォレスト・ガンプは生まれつき知能指数が低く、足も不自由という、謂わば生来の劣等生として登場するのですが、そんなフォレストが実直な性格を梃子に激動の人生を逞しく歩んでいく様子を描いた、まさに王道を往く物語です。

フォレストの辿る人生には、ベトナム戦争や公民権運動、ピンポン外交といった戦後アメリカ激動の歴史が重ね合わされ、ケネディ大統領にニクソン大統領、ジョン・レノン、そしてアップルといった、当時の時代を象徴するような実在の人物や企業が登場することで、主人公の人生という小さな流れと、戦後アメリカの歴史という大きな流れが相互に影響を与え合うダイナミックさが特徴となっております。

もちろん、粗を探そうと思えばたくさんあるのですが、大胆な物語構成によって「人生」の良い意味での不思議さを描く、という試みに成功している点において、いくばくかの粗による悪さを超える魅力が形成しており、総合すれば佳作と呼べる映画といえるでしょう。

その評価も、今日に鑑賞すれば佳作といったところで、きっと、時代の流れによりマッチしていた当時に鑑賞したのであれば、その感動もひとしおだっただろう、ということを容易に想像できます、

1994年当時における納得のヒット作、という形容が最も妥当な評価なのではないでしょうか。

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あらすじ

IQが75しかなく、おまけに背中が曲がっていて脚装具を付けなければ歩くこともままならない少年フォレスト・ガンプが主人公。

母親の計らいにより、フォレストは小学校の養護学級ではなく一般学級に入学することとなったものの、周囲からはいじめの標的にされ、不遇の日々を送っていた。

そんなある日、フォレストはいつものように、いじめっ子の同級生たちに追いかけられていた。

とはいえ、フォレストの不自由な足では追いつかれることが必然で、状況は如何ともしがたく思われた。

「走って、フォレスト」

そんなフォレストの背中に対して声をかけたのは、ジェニー・カランという少女。

日頃からフォレストを気にかけてくれている、たった一人の同級生であるジェニー。

彼女の声援を背中に受けると、不思議なことに、フォレストの身体は機敏に動き始め、いつのまにか、脚装具なしで走れるようになっていた。

それから、フォレストの人生は一変する。

親友であるジェニーとの友情を深める一方で、駿足を見込まれて地元のアラバマ大学に推薦入学。

アメフトの選手になると全米代表にまで登り詰め、ケネディ大統領と面会の機会を得るまでになったのだ。

しかし、そんな栄光の日々も長くは続かない。

大学卒業後、陸軍に入隊したフォレストはベトナム戦争へ出征することとなり、一方、奔放な大学生活を送っていたジェニーはストリップ劇場でキャリアを積んでいた。

フォレストは戦場を生き残ることができるのか、そして、二人の運命は如何にして交錯していくのか。

実直に、まっすぐに人生を歩むことに対する賛歌としての物語がここに幕を開ける......。

感想

本作に対する最もありきたりな批判は以下の通りでしょう、すなはち、奇跡や偶然の要素が多すぎる、結局は才能である。

そういった批判は的を射ていると思います。

例えば、最序盤においてフォレストが脚装具なしで歩けるようになる描写は単純な「奇跡」として描かれていますし、彼の駿足は努力で得たというよりは専ら才能の力であり、それによって大学に推薦入学を果たしてアメフトで活躍、全米代表に選ばれるという展開はほとんど「偶然」の賜物です。

このような展開だけを見たならば、本作の物語構成や脚本は決して優れているものとは言い難いでしょう。

フォレストがベトナム戦争で生き残るのも偶然の産物ですし、その後、戦場での負傷をきっかけに入院した病院で卓球に目覚め、またもや全米代表になってしまうのも偶然と才能が100%の展開です。

陸軍を除隊後は漁船を購入し、エビ漁を始めるのですが、ここでも、最初は不漁ながらハリケーンの襲来が状況を変えて豊漁に転換、大儲けするという展開で、まさに100%運頼みの人生に見えます。

さらに、その儲けたお金で当時ベンチャー企業だったApple社の株をなんとなく買い、億万長者になってしまうというのも完全なる偶然、そういった要素だけを拾い集めれば、完全にB級未満の映画です。

しかし、そんな本作が視聴者を虜にするのは、そういった「運頼み」「しょせんは才能」という点の現実的な説得力を、フォレスト自身の生きざまによって、つまり、フォレストが折々で示す極端なまでの「実直さ」「まっすぐさ」によって確保している(ように見える)ところにあるでしょう。

主人公であるフォレスト・ガンプの人となりは、知能は欠けているものの、どこまでも実直でまっすぐな男である、という描写で一貫されています。

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