第2位 「FIRE 最強の早期リタイア術」
クリスティー・シェン&ブライス・リャン
経済紙やビジネス書の界隈においてFIREという言葉が耳目を集めるようになって久しいですが、そんなFIREの考え方や具体的実践方法を示した書籍として、特にFIREの起源国であり本場でもあるアメリカ発の書籍として紹介されることの多い著作が本書となります。
FIREとはFinancial Independent Retire Earlyの略称であり、日本語に訳せば「経済的に独立して早期に退職する」という意味になります。
要は会社組織への金銭的な依存をなくし、一般的な退職年齢とされる60歳や65歳を待たずに退職することで自由な人生を謳歌しようというわけです。
そう聞くとフリーランスや一人親方として独立するということかな、と考える方が多数でありましょうし、そういった手に職をつけて独立するという観念もFIREと無関係なわけではありません。
しかし、この時代に置いて新しく設えられたFIREという言葉は、どちらかというと、そういった職業人としての自立を示すのではなく、専ら資産運用で生活費を賄えるようにすることで、(非自発的)労働そのものから独立してしまおうという意図の濃いものとなっております。
ということは、本書は所謂「株やFXで大勝ちしよう」という書籍なのでしょうか。
いいえ、そうではありません。
プロが専売特許とする高度な金融テクニックに依存しているのならば、それこそ、高度な技術を携えた専業投資家として独立するのと変わらず、それはまさに職業人としての独立と何ら変わるものではないでしょう。
そうです、FIREという概念は、それなりの労働とやや過激ともいえる節制の組み合わせでそこそこの資産を構築し、それを単純な資産運用で減らないように維持するという、これまでの常識を覆すような「経済的自立」の方法を指し示す概念として登場した言葉なのです。
果たして、そんなことが可能なのでしょうか。
本書はまさに、そのヒントと実例が著された書籍となっております。
「早期に退職する」なんてことを考えていない方にとっても、家計管理と資産運用を上手にこなし、少しでも「経済的に独立」を果すことで職業人生における選択肢や一定期間休むことも含めた自由を提供できる著作です。
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