アニメ

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時をかける少女

アニメ映画 「時をかける少女」 監督: 細田守 星4つ

1. 時をかける少女民放とNHKで延べ12回放映されているアニメ映画で、すっかり夏の定番となった作品と言えるでしょう。筒井康隆さんの有名原作に、「デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム」で頭角を現していた細田守さんを監督として迎え、「新世紀エヴァンゲリオン」のキャラクターデザインを務めた貞本義行さんと、「もののけ姫」の美術監督だった山本二三さんが脇を固めるという豪華布陣。ミニシアターでの上映から異例のロングランを成し遂げた出世映画でもあります。非常に凝った脚本が素晴らしく、演出も「静」と「動」のバランスがとれていて、これからも定番中の定番であり続けて欲しいと思わせられる映画になっております。 2. あらすじ紺野真琴(こんの まこと)は高校2年生。男友達の間宮千昭(まみや ちあき)や津田巧介(つだ こうすけ)とキャッチボールやカラオケで放課後の時間を過ごすような平凡な日々を送っている。そんなある日、真琴はひょんなことから自身がタイムリープの能力を得ていることに気づいてしまう。タイムリープの能力を得た真琴は、テストを受けてからテストを受ける前の時間に戻って好成績を収めたり、カラオケで...
SHIROBAKO

アニメ 「SHIROBAKO」 監督:水島努 その②:大人たちの「仕事」 星5つ

1. SHIROBAKO その②:大人たちの「仕事」アニメ業界で働く人々を描いたアニメ、「SHIROBAKO」の感想第2弾です。言いたいことが多すぎて一つの記事には纏められず。前回は主人公格の若い女性5人について書きましたので、今回は周囲を取り巻くベテラン勢に焦点を当てたいと思います。美少年美少女アニメだらけの中で、現実的に考えてしかるべき年齢の人達がしかるべき仕事をするこのアニメ。しかも、業界は軍隊でも特殊部隊でも農業でも宇宙○○でもなく、泥臭いアニメーション業界。他の作品とは一線を画す素晴らしい労働描写がこのSHIROBAKOの持ち味です。 2. あらすじ(第12話)武蔵野アニメーションが7年ぶりに元請けとして手掛ける「えくそだすっ!」の制作は煮詰まりつつあった。最終回の絵コンテは何とか仕上がったものの、それを完成品に導くための原画マンが圧倒的に足りない状況なのである。原画マンを探して必死に駆け回る宮森あおいだが、そう簡単に引き受けてくれる人はいない。特に問題になったのはラストシーン。大量の「馬」とともに主人公たちが警察の追っ手を逃れる場面だった。「馬」をしっかり描ける原画マン。こ...
SHIROBAKO

「SHIROBAKO」水島努 評価:5点|アニメ業界で働くことのリアルな苦難、その先にあるのは青春の友情を彩った夢の実現【お仕事アニメ】

名作深夜アニメランキングでも上位に入ることが多い作品で、P.A.WORKSの「働く女の子シリーズ」の第2弾という位置づけ。しかしながら、「働く女の子シリーズ」内ではもちろんのこと、同社の数ある作品の中でも抜きんでた人気を誇っています。2014年から2015年にかけて放送された作品にも関わらず、最近になって映画化の発表があり、再び盛り上がっている作品という側面もあります。内容は評判に違わず名作といってよい出来で、「アニメ」についてのアニメとして一つの業界の魅力を効果的に描き切った作品であり、また、お仕事アニメとして、働く人々の強さや弱さ、成功と失敗の感動が見事に表現されています。あらすじ(第1話)短大を卒業し、アニメーション制作会社「武蔵野アニメーション」に就職した宮森あおい。彼女の夢は「アニメに関わる仕事をする」ことであり、その夢が叶ったのだった。しかし、現場はそんなに簡単ではない。上がらない絵コンテ、慢性的な人手不足の原画、仕事をめぐる現場内の不和、我儘な監督。制作進行として奔走する宮森は、何度もくじけそうになりながらも、そのたびに周囲に支えられ、アニメを完成させていく。「アニメに関...
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響け!ユーフォニアム

アニメ 「響け!ユーフォニアム2」 監督:石原立也 中編(第5話) 星5つ

1.響け!ユーフォニアム2 中編(第5話)高校吹奏楽アニメ「響けユーフォニアム2」の感想、前編に続き中編です。といっても第5話だけを取り上げるのですが、関西大会本番での演奏を描いたこの話は前後の「吹奏楽部の猛練習と繊細な人間関係という日常」とは別の角度からも語るべき題材で、前編の内容と混ぜるのは良くないと思い分けました。近年のアニメシーンの中でも傑出したいわゆる「神回」と形容すべき話で、これ以降TV放映の30分アニメを作成するにあたっては必ず参照されるべき作品に「響け!ユーフォニアム」を押し上げた話だといえるでしょう。2. あらすじ関西大会まであと1日と迫った北宇治高校吹奏楽部。夏休み中に指導にあたった橋本真博(はしもと まさひろ)と新山聡美(にいやま さとみ)の退任が発表されるとともに練習は終わり、ついに本番を迎える。本番当日、副部長である田中あすかが大会にかける思いを部員の前で話し、部長である小笠原晴香(おがさわら はるか)の掛け声で気合を入れる部員一同。舞台裏でも、思い思いの方法で演奏へと精神を昂らせてゆく。そしてついに、北宇治高校の演奏順が訪れる。顧問である滝昇(たき のぼる)...
響け!ユーフォニアム

「響け!ユーフォニアム2」石原立也 評価:4点|せつなく激しい人間関係が交錯する、波乱万丈の吹奏楽スポ根 前編(第1話~第4話)【青春アニメ】

高校の吹奏楽部を舞台にした青春部活物語。大学生で作家デビューを果たした武田綾乃さんの原作を、深夜アニメ界隈では大きなブランド力を持つ京都アニメーションがアニメ化した作品です。第1期の出来が素晴らしかったため、個人的にも非常に期待していた第2期でした。第1期の感想はこちら。この第2期は、正直なところ第1期よりは良いとは言えず、終盤の失速は残念でした。しかし、それでも並大抵のアニメよりは十分に良いと言える作品だったことは間違いありません。深夜アニメ的すぎる要素を排して更なる工夫を加えれば、午後7時前後やゴールデンの時間帯に流しても評価を得られるような、そのれくらいのポテンシャルがあると感じる作品です。あらすじ主人公、黄前久美子(おうまえ くみこ)は京都府立北宇治高校に通う高校一年生。同じ中学校からの進学者が少ないというだけの理由で北宇治高校進学を決めた久美子は、中学校で所属していた吹奏楽部に引き続き入部する気もなく、また、入学時に聴いた吹奏楽部の演奏は酷いもので、当初は北宇治高校の吹奏楽部そのものに良い印象を抱いていなかった。しかし、同級生である川島緑輝(かわしま さふぁいあ)や加藤葉月(...
夜は短し歩けよ乙女

「夜は短し歩けよ乙女」湯浅政明 評価:3点|夜の京都を舞台にした不思議で楽しい幻想恋愛エンターテイメント【アニメ映画】

森見登美彦さんの人気小説を原作に、湯浅政明監督が映画化。「夜明け告げるルーのうた」でアヌシー賞を受賞された監督です。小気味よいファンタジー展開に加え締りの良いラストシーンは印象に残ります。エンターテイメントとしてはこういう作品がもっと世に出て欲しいですね。あらすじ冴えない大学生である「私」は美しき後輩、黒髪の乙女に恋をしていた。そんな「私」が乙女との距離を埋めるために執っていた作戦、その名も「ナカメ作戦」。「ナるべくカのじょのメにとまる」の略であり、要は付け回して偶然を装いすれ違うだけの行動である。サークルOB・OGの結婚式の二次会に参加している今日も、二次会で乙女に近づくチャンス。しかし、乙女の行先はいつも気まぐれ。夜の先斗町で飲み歩いたり、幼き日に読んだ絵本を探して古本市を訪ねてみたり、文化祭のゲリラ演劇で代役ヒロインを務めたり、風邪のお見舞いに京都じゅうを駆け巡ったり。そんな乙女に(勝手に)振り回される「私」と、幻想的なほどに可愛らしい「乙女」。そして、主人公を取り巻く愉快な大学生と大人たちが織り成す、一夜限りのファンタジックエンターテイメント。感想湯浅監督らしい、現在の日本にお...
コードギアス 反逆のルルーシュ

アニメ 「コードギアス 反逆のルルーシュ」 監督:谷口悟朗 星2つ

1.コードギアス 反逆のルルーシュ2006年から放送されていたサンライズ制作のアニメ。その人気ゆえ、2017年から2018年にかけては総集編映画も上映されることになっています。真に迫る名作には程遠いですが、エンターテイメントとして、「人気の出る要素を人気の出るように組み合わせる」ことに成功したアニメだといえます。2. あらすじ神聖ブリタニア帝国に支配されている、日本列島が舞台。日本は神聖ブリタニア帝国の植民地「エリア11」となっており、旧日本人は「イレブン」と呼ばれ蔑まれていた。そんなある日、日本に住むブリタニア人高校生であるルルーシュ・ランペルージは緑色の髪を持った少女と出会う。彼女はC.C.と名乗った。そして、その少女はルルーシュに「絶対遵守」の力を授ける。それは、目を合わせた相手を完全に服従させる能力。実はブリタニアの皇族であり、わけあってブリタニアを憎んでいたルルーシュ。彼はこの力を使い、ブリタニアへの反逆を開始するのだった。3. 感想実は皇族、女性にモテる、頭が切れる戦略家、心くすぐられるアクション、キザな台詞。主人公の設定はまさに男性が自己投影したくなるように作られており、...
ユーリ!!! on Ice

「ユーリ!!! on Ice」山本沙代 評価:2点|リアルな試合描写が光るBL寄りのフィギュアスケートアニメ【テレビアニメ】

男子フィギュアスケートを題材にしたオリジナルアニメ。海外の有名スケーターにも注目されておりました。いわゆるBL的な描写はやや食傷気味でしたが、ほとんど全編をスケートの場面に費やす構成は思い切ったもので、良い効果を発揮していると感じました。あらすじ主人公、勝生勇利(かつき ゆうり)はフィギュアスケートの特別強化選手。しかし、シニア5年目のシーズン、初グランプリファイナルで大敗を喫してしまう。失意のまま実家のある長谷津に戻る勇利。大学を卒業したこの年、現役続行か否か悩んでいた。そんなとき、ネットにアップロードされた勇利の動画を見て、勇利に興味を抱き始めた人間がいた。その名はヴィクトル・ニキフォロフ。世界選手権5連覇を果たし、なおもフィギュアスケートの歴史を変え続けるロシアの選手。ひょんなことからヴィクトルが勇利のコーチになることが決まり、勇利は進退を賭けたシーズンに挑む。そして、このヴィクトルと勇利の出会いが、勇利の運命を大きく変えていくことになる。感想大筋のストーリーは勇利が日本の地方大会からグランプリファイナルまでを勝ち進んでいくだけで、大きな捻りがあったりするわけではありません。心理...
打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?

「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 新房昭之 評価:1点|青春恋愛SF要素をそれっぽく詰め合わせただけの意味不明作品【アニメ映画】

1993年に岩井俊二監督が手掛けた同名テレビドラマを原作としたアニメ映画。広瀬すず、菅田将暉、松たか子と、有名女優・俳優が声優として起用されています。宣伝を含め、出版社やテレビ局が本腰を入れて予算を投入したのは分かるのですが、結果的に意味不明という評価を受けても仕方がない作品になってしまったと思います。あらすじとある海辺の町に暮らす中学一年生、島田典道(しまだ のりみち)。夏休みの登校日、クラスメイトの男子達は「花火は横から見たら丸いのか、平べったいのか」という話題で盛り上がっていた。そう、この日はお祭りで打ち上げ花火が上がる日でもあった。そんな中、典道はクラスメイトの女子である及川なずな(おいかわ なずな)から「かけおち」に誘われる。しかし、これは典道が導いた結果だった。当初、なずなは典道の友人である安曇祐介(あずみ ゆうすけ)を誘っていたのだが、典道は手に入れた「もしも」の力で運命を変えたのである。母親の再婚に伴う引っ越しに抵抗したいなずな。典道となずなは逃避行のなかで何度も両親や友人に捕まってしまうが、そのたびに「もしも」を使ってやり直す。そして、やり直すたびに歪になり、現実感を...
RWBY

【RWBY】日本アニメへのリスペクトに溢れるアメリカ産バトルアクションファンタジー 評価:3点【モンティ・オウム】

Volume1(第1期)の感想1. RWBY volume1Rooster Teethというアメリカのアニメーション制作会社による3DCGアニメ。2017年7月から日本の地上波でもダイジェスト版が放送されており、10月には映画も公開されます。日本風のキャラクター造形とアメリカタッチな掛け合い、そして華麗なアクションの組み合わせが妙味となって視聴者を楽しませてくれるアニメーション作品でした。RWBY Volume1<通常版> posted with カエレバ早見沙織 ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント 2015-12-09Amazon楽天市場 
メアリと魔女の花

アニメ映画 「メアリと魔女の花」 監督:米林昌弘 星2つ

1. メアリと魔女の花スタジオジブリ出身で、新しくスタジオポノックを立ち上げた米林昌弘監督の作品。ジブリでは「借りぐらしのアリエッティ」「思い出のマーニー」を監督しています。スタジオポノックの初作品ですが、巷で言われているジェネリックジブリという評判通りの、無難でそこそこ楽しめる作品でした。メアリと魔女の花 posted with カエレバ杉咲花 ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 2018-03-20Amazon楽天市場
僕らのウォーゲーム

「ぼくらのウォーゲーム!」細田守 評価:3点|情熱と技巧と夏の切なさが詰め込まれたデジモン映画の佳作【アニメ映画】

人気シリーズ「デジモンアドベンチャー」の映画2作目。いまでは著名となった細田監督が指揮した作品です。アニメファンからの高評価を聞いて試聴してみましたが、40分と短い中で冒険アニメの良さを存分に引き出した作品だと感じました。あらすじデジモンたちと別れ、それぞれの生活を楽しむ太一たち。しかし、西暦2000年の春休み、ネット上で生まれた新種デジモンがまたたく間に進化。NTTからアメリカの軍事機関まで、ありとあらゆる場所を侵食していった。このデジモンの暴走を止めるため、パートナーのデジモンたちと一緒に再び戦いへと身を投じる太一たち。あまりにも凶悪なデジモンとの戦いは熾烈を極め、そしてついに、謎の新種ポケモンは核ミサイルを発射させてしまう。ミサイルが着弾されるまでの時間は10分間。太一たちは世界を救うことはできるのだろうか......。感想非常に巧妙で感動的な映画でした。「大量に送られてくる応援の名を借りた迷惑メール」を最後に武器として活かす展開は意外性がありながら少年向けアニメの王道でもあって胸を打たれます。また、空と太一の関係性も絶妙。アニメの趣旨を理解した、恋愛をバトルに持ち込ませないよう...
夜明け告げるルーの唄

【音楽の映える青春アニメ】映画「夜明け告げるルーの唄」湯浅政明 評価3点【アニメ映画】

あらすじ舞台は田舎の港町、日無町。主人公のカイは音楽以外にハマるものはなく、無気力な生活を送っていた。そんなある日、動画投稿サイトに自らが打ち込んだ音楽をアップしたことをきっかけに、カイは同級生である遊歩と国夫のバンド「セイレーン」に誘われる。バンドの練習の帰り道、密漁を行う青年二人に襲われかけたところを、カイたちは人魚の少女ルーに助けられる。音楽を通じた交流により打ち解け合っていくカイとルー。町の人々にも好意的の受け入れられていくルーの存在だが、ある日、町おこしのためにルーを使うことが企画され……。悩みを抱える少年少女と小さな人魚の、町を巻き込んだひと夏の物語。感想序盤からこんなにもぐいぐいと引き込まれる映画は久しぶりでした。フラッシュアニメーションによる独特の絵柄がかえってリアル感を増していて、いわゆる「アニメ絵」とは一線を画す表現に生々しさがあります。テンポもたいへん良いものながら展開にも無理がなく、ルーがクーラーボックスを飛び出して砂浜で踊るシーンあたりまでは傑作だと信じて疑いませんでした。しかし、その後はやや冗長。人間の「恐ろしさ」を感じたルーの混乱と、それを助けようと町に乗...
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