【古典純文学】おすすめ古典純文学小説ランキングベスト9【オールタイムベスト】
映画/アニメ
【偽物の世界から脱出せよ】映画「トゥルーマン・ショー」ピーター・ウィアー 評価:3点 【アメリカ映画】
1998年公開のアメリカ映画。ある凡庸な男の人生が本人には知らされることなく全世界に放映されている、という突飛な設定が関心を惹く作品です。監督は「いまを生きる」等の作品で知られるピーター・ウィアー。“Yes Man”の主演等で知られるジム・キャリーが主人公のトゥルーマンを演じています。全体的な感想としては、初期設定の面白さはよく効いていたものの、その突飛な設定から展開される面白さ以上の工夫がやや薄く感じられました。あらすじ主人公の名前はトゥルーマン・バーバンク。離島に存在する小さな町、シーヘブンで保険会社に勤務する30歳の男性である。凡庸ながら幸福な日常を送る彼の人生には、他の人の人生とは決定的に異なっている点があった。それは、このシーヘブンという街自体がリアリティ番組のセットであり、彼の人生は30年に及ぶリアリティショーとして世界中に放映されているという点。トゥルーマンは30年間この事実に気づかないでいたが、番組側のミスが重なり、トゥルーマンは徐々に世界の「おかしな」在り方に気づいていく。真実を知ろうと敢えて奇行を繰り返すトゥルーマン。数奇な人生を送る彼が最後に導き出した答えとは……...
【アニメ】おすすめアニメランキングベスト5【オールタイムベスト】
本ブログで紹介したアニメの中からベスト5を選んで掲載しております。私の好みもあり、バトルやファンタジー、ハーレムというよりはヒューマンドラマをテーマとした作品が中心となっております。第5位 「イヴの時間」吉浦康裕【人間とアンドロイドとの共存を模索する温かな物語】・あらすじロボットが実用化されて久しく、アンドロイドが実用化されて間もない時代。アンドロイドは生活に浸透しつつあるものの、一種の「家電」のように見なされ、人間にとって都合の良い奴隷のように扱われていた。そんなある日、高校生のリクオは、ふとしたきっかけで「イヴの時間」というカフェを発見する。路地裏に入口があり、看板も出していない「イヴの時間」に足を踏み入れたリクオは、「イヴの時間」のカウンター前に置かれているボードに書かれた文章を読んで仰天する。そこに記載されていた「イヴの時間」の特別なルール。それは「人間とアンドロイドを区別しない」こと。実際、「イヴの時間」では、アンドロイドたちが人間のように振舞っている。感情を見せず機械的に動き、人間に奉仕する存在だったはずのアンドロイド。そんなアンドロイドたちが、ある者は和気藹々と、ある者は...
【短編アニメ】おすすめ短編アニメランキングベスト5【オールタイムベスト】
本ブログで紹介した短編アニメの中からベスト5を選んで掲載しております。第5位 「つみきのいえ」加藤久仁生 12分【絵本のような作風が特徴の人生を考えるアカデミー賞受賞作】・あらすじ海面の上昇著しく、多くの人が去ってしまった街。おじいさんは積み木のように上へ上へと家屋を増築しながらこの街に踏みとどまっている。そんなおじいさんはある日、お気に入りのパイプをせり上がってきた水面に落としてしまう。沈んでいくパイプを取りにいこうとダイビングを敢行するおじいさん。無事、パイプを拾って一安心のおじいさんだが、突如、彼の目の前には懐かしい光景が広がって......。・短評2008年にアカデミー賞の短編アニメーション部門を受賞した作品です。日本の作品では現在のところ最初で最後の受賞作となっております。全体的な特徴としては、絵本のような作品で、かつて「みんなのうた」でよく見た画風に近い印象です。これまで増築してきた家を、今度は下へ下へと潜りながらおじいさんが思い出を辿っていくというストーリー。いまは亡きお婆さんを介護している場面から始まり、二人の子供の結婚と出産、二人の若き日と出会い、まだ「地上」があった...
【アニメ映画】おすすめアニメ映画ランキングベスト5【オールタイムベスト】
本ブログで紹介したアニメ映画の中からベスト5を選んで掲載しております。私の好みもあり、バトルやファンタジー、ハーレムというよりはヒューマンドラマをテーマとした作品が中心となっております。第5位 「君の名は。」新海誠【恋愛とSFを見事に融合させた平成最後の大ヒットアニメ映画】・あらすじ舞台は現代の東京と、岐阜県の奥地、糸守町。 ある日、東京に住む立花たちばな瀧たきと糸守町に住む宮水みやみず三葉みつはの日常に異変が起こる。なんと、二人の身体が時々入れ替わるようになってしまったのである。突然の事態に戸惑う二人だったが、携帯電話に残したメッセージで意思疎通を図り、互いの日常に触れる中で次第に惹かれあっていく。しかし、ひょんなことから瀧が三葉に電話をかけようとし、事態は急転する。三葉への電話は決して繋がることなく、三葉の故郷、岐阜県を訪れた瀧は、そこで糸守町が三年前にティアマト彗星の衝突に遭い、住民ごと消滅してしまったという事実を知る。打ちひしがれる瀧は糸守町の事件を調べ、何とかもう一度入れ替わって三葉の死を回避しようとするのだが......。・短評アニメ映画界にセンセーションを起こした、言わず...
【実写映画】おすすめ実写映画ランキングベスト4【オールタイムベスト】
本ブログで紹介した実写映画の中からベスト4を選んで掲載しています。私の好みもあり、ヒューマンドラマをテーマとした作品が多くなっております。第4位 「ローマの休日」ウィリアム・ワイラー【決して色褪せない恋愛映画の世界的名作】・あらすじヨーロッパ某国の王女アンは公務でのヨーロッパ周遊中にローマを訪れていた。しかし、あまりに束縛が激しく自由がない公務生活に辟易していたアンは、監視の目をくぐり抜けて夜中のローマへと逃亡する。そんなアンに街中で出会ったのは新聞記者であるジョー・ブラッドレイ。アンが王女であることを見抜いたジョーは、アンとの一日デートを取り付け、その様子を密かに撮影することで大スクープを狙うことにする。デートが始まり、意気揚々とアンにローマを案内するジョー。どう考えても、ジョーの陰謀は全て順調に進んでいた。二人が恋に落ちる、そのときまでは......。・短評誰もが名前くらいは聞いたことがあるであろう恋愛映画の古典的名作です。激務に耐えかねた王侯貴族が監視の目を盗んで脱出し、街に出て庶民と出会い自由を謳歌する。しかし、最後には自分の本来の立場へ還ってゆく。そんなストーリーを最初に打ち...
「ジョゼと虎と魚たち」タムラコータロー 評価:1点|名作邦画のリメイクアニメは非常に残念な凡庸恋愛映画【アニメ映画】
2020年12月25日に公開されたアニメーション作品。1984年に著された田辺聖子さんの短編小説が原作で、映画通のあいだでは2003年の実写映画版が名作として知られているようです。とはいえ、印象的なベッドシーンやヒロインが抱える障がいに独特の焦点を当てたことで評判になった実写版とは異なり、アニメ映画はクリスマスに相応しい清らかな純愛ものに仕上がっています。加えて、主人公とヒロインの声を俳優の中川大志さんと清原果耶さんが務め、お笑い芸人である「見取り図」の二人もチョイ役で参加しているところからも、大衆受けを狙ったのだろうなという感じは拭えません。そして、そういった大衆受け純愛路線が結果的に奏功していたかと問われれば、かなり失敗していたのではないかと感じました。著しく退屈というわけではないけれども、どうにも底の浅い凡庸な映画に仕上がってしまっていたというのが感想の大枠です。あらすじ主人公は男子大学生の恒夫つねお。大学では海洋生物学を専攻しており、趣味は海に潜ること。メキシコ留学に向けた資金を貯めるため、ダイビングショップでのアルバイトにも励んでいる。そんな恒夫がダイビングショップから帰る途...
「いまを生きる」ピーター・ウィアー 評価:4点|型破りな教師が示す自分らしい人生のつくりかた【アメリカ映画】
1989年のアメリカ映画で、第62回アカデミー賞で脚本賞を受賞した作品でもあります。厳格な進学校に赴任してきた型破りな教師の授業から、生徒たちが「人はどう生きるべきか」の本質を学び、実践していくという内容。テーマの普遍性から今日でも人気の衰えない作品であり、元サッカー日本代表で現在はJ1ガンバ大阪の監督を務めている宮本恒靖さんが座右の銘に「いまを生きる」を採用するなど、まさに多くの人々の生き方に影響を与えた作品になっております。いまとなっては古典となった本作をこの令和の時代に鑑賞してみたのですが、やはり感動はひとしおでした。規則や形式に囚われず、物事を様々な側面から捉え、なにより自分のやりたいことを大切にしながら生きる。そんなメッセージが激動のドラマ的展開によって鮮烈に表現された、まさに「映画」の見本となるような作品です。あらすじ舞台は全寮制の名門進学校ウェルトン・アカデミー。「伝統」「名誉」「規律」「美徳」の四柱をモットーとする厳格なこの学校に、一人の英語教師が赴任してくる。彼の名前はジョン・キーティング。型に嵌った受験勉強対策授業ばかりが行われているウェルトンにおいて、キーティング...
【青春学園】テレビドラマ 「野ブタ。をプロデュース」 監督:釼持誠 星2つ
1. 野ブタ。をプロデュース2005年に放送され、大ヒットした学園ドラマ。亀梨和也さんと山下智久さんのダブル主演に加え、いまはもう芸能界を引退した堀北真希さんがヒロインを務めておりました。主演の二人が歌う主題歌「青春アミーゴ」が200万枚以上を売り上げ、甲子園の入場曲になるなど、まさに社会的インパクトがあったドラマです。その人気は現在も衰えることなく、2020年には特別編の再放送があり、話題となりました。そんな本作ですが、さすがに大人になってから見返すと痛々しくて見ていられないような場面や演出も多く、第2話までの鑑賞が限界でした。しかし、寒いノリだけに頼った凡百のドラマとは違い、確かに大ヒットドラマになるべきだと思わされるような深い要素も多く、語るべき側面がある作品であるとも感じられました。2. あらすじ主人公は高校2年生の桐谷修二(きりたに しゅうじ)。明るい性格でクラスの人気者だが、それは彼自身が演じている虚像に過ぎない。彼の本当の性格は、計算高い冷徹漢。常にゲーム感覚で生きており、教室での人間関係や自分自身のイメージも打算によって作り上げている。そんなある日、修二の所属する2年B...
アニメ映画 「劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン」 監督:石立太一 星2つ
1. 劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン京都アニメーションが手掛ける同名テレビアニメシリーズの映画版で、2020年9月18日に公開されました。既に100万人近い動員数と10億円以上の興行収入を記録しており、十分に大ヒットだと言えるでしょう。しかし、個人的にはやや凡庸な映画だったという印象を受けました。もちろん、美麗なアニメーションや音楽は流石の高品質だったのですが、欠点として、戦争描写の非現実性や、物語の最終目的が「愛している」の意味を知るという点が鼻につきます。手紙の代筆を通じて家族や恋人を繋ぐ役割を果たす代筆屋の物語、という比較的リアル路線の部分が感動への訴求点となっている作品だったので、なおさら、時おり露呈するいかにも「深夜アニメ」や「ラノベ」的側面が本作の足をかなり引っ張っているように思えたのです。2. あらすじ4年間に渡る大陸戦争が終結してから幾何かの時間が経過し、世界には久方ぶりの平和が訪れていた。ライデンシャフトリヒ国の首都ライデンに住む18歳の少女、ヴァイオレット・エヴァーガーデンもそんな平和を享受して暮らす人物の一人である。戦時には陸軍の女子少年兵として従軍し、...
【場末の歌手と厳格な教会】映画「天使にラブソングを」エミール・アルドリーノ 評価:4点【アメリカ映画】
1992年に公開されたハリウッド映画で、大ヒットしたために日本でもよく知られているタイトルとなっております。金曜ロードショウでも合計6回放送されており、最新の放送は2020年の5月と、近年でもその人気は衰えておりません。そんな本作を今回初視聴したのですが、非常に満足できる映画でした。テーマもテンポも物語の起伏も素晴らしく、常にわくわくしながら観ていられる作品です。あらすじナイトクラブで歌手をしているデロリスはマフィアのボスであるヴィンスの愛人でもあった。ある日、ヴィンスから貰ったコートにヴィンスの妻の名前が入っていたことにデロリスは激怒する。怒り心頭のデロリスがヴィンスの部屋を訪れたとき、マフィアの下っ端が裏切りの濡れ衣を被せられてヴィンスとその側近に始末される現場をデロリスは目撃してしまう。必死の逃亡を図って警察署に駆けこんだデロリスは警察の保護下に置かれることになったものの、殺人現場の目撃者としてマフィアから狙われているデロリスを匿う場所を選ぶのは難しい。そんな中、デロリスの警護担当となったサウザー警部補がデロリスの隠匿場所として選んだのは聖キャサリン修道院。修道院になど絶対に馴染...
「月光の囁き」塩田明彦 評価:1点|極端な性癖を持った高校生男女が結ぶ歪んだ愛の物語【日本映画】
原作は週刊ヤングサンデーに連載されていた同名漫画ですが、私が本作の名前を知ったきっかけは、小説家の綿矢りささんが本作をかつて好きな映画に挙げていたという情報を得たことです。1999年公開と20年以上も前の映画で、おそらく当時においても無名な映画だったでしょう。近所のTSUTAYAには置いていなかったため、DMMの郵送レンタルサービスを使って視聴したほどです。さて、そんな本作の感想ですが、あまりの超展開についていけなかったというのが正直なところ。特異な性癖を持った高校生男女の一風変わった恋愛物語なのですが、全体的にかなりニッチなところを突いた映画になっていて、いわゆる映画好きの人たちには受けるのかもしれませんが、尋常の感性で楽しめる作品ではないでしょう。あらすじ高校生の日高拓也(ひだかたくや)と北原紗月(きたはらさつき)は剣道部に所属する同級生。お互いに惹かれあっていたもののなかなか進展を見せない二人の仲だったが、紗月が拓也の友人からラブレターを貰ったことを契機に好意を打ち明けあい、二人は付き合うようになる。当初は真っ当な恋人同士としての生活を楽しむ二人だったが、拓也の秘めたる嗜好は紗月...
【時をかける少女】昭和の青春をノスタルジックに描く名作SF小説の実写映画版 評価:2点【大林宣彦】
1983年公開の旧い映画ですが、近年でも話題に上ることが多い作品です。広島県尾道市を舞台にした「尾道三部作」の一作として、大林宣彦監督の代表作に連ねられています。同監督が2020年4月に亡くなられたため、4月18日には追悼の意味を込めた再放送が行われたりもしました。本作が恒常的に注目を集める理由として、原作である同名小説がメディアミックスの底本として定番化しており、近年においても度々リメイクされていることの影響が大きいでしょう。2006年のアニメ映画(監督:細田守、主演:仲里依紗)、2010年の実写映画(監督:谷口正晃、主演:仲里依紗)、2016年のテレビドラマ(主演:黒島結菜)、2015年の舞台版(演劇集団キャラメルボックス)と、2000年代においてもその勢いは留まるところを知りません。本ブログでも、原作小説及び2006年のアニメ映画版を既にレビュー済みです。リメイクされるたびに、「時をかける少女」映像化の元祖として注目を集めるのが今回取り上げる1983年の実写映画版であり「元祖」足りうるだけの知名度を維持しながら愛され続ける作品になっております。また、注目を集める二つ目の理由として...
映画 「ロミオとジュリエット」 監督:フランコ・ゼフィレッリ 星3つ
1. ロミオとジュリエット1968年公開の映画で、言わずと知れたシェイクスピアの名作「ロミオとジュリエット」の映画化作品です。近年流行りの「新解釈」などではなく、原作に忠実な脚本となっているのですが、それでいて当時は大ヒット。アカデミー撮影賞、アカデミー衣装デザイン賞、ゴールデングローブ賞外国語映画賞など様々な賞を受賞しました。そんな作品を2020年に鑑賞してみたわけですが、なかなか良かったというのが率直な感想です。シンプルでハイテンポな恋愛劇というまさに古典王道を感じさせる作風で、しらけるような場面もなくずっと見ていられます。凝った作品が見せる深い感動はありませんが、ハラハラ、ドキドキ、いちゃいちゃ、そして胸を衝く悲しみという要素が揃ったエンタメの良作でした。2. あらすじ部隊は中世イタリアの都市ヴェローナ。この街では、モンタギュー家とキャピュレット家という二つの名家が長年にわたって抗争を繰り広げていた。そんなある日、モンタギュー家の嫡男ロミオは、友人たちとともにキャピュレット家のパーティーに忍び込む。そこでロミオが出会ったのは、キャピュレット家の一人娘であるジュリエット。たちまち恋...