【制度・制度変化・経済成果】ノーベル経済学賞を受賞した経済学者による新制度派経済学の礎を築いた古典 評価:3点【ダグラス・C・ノース】
1993年のノーベル経済学賞受賞者、ダグラス・C・ノースの著書。原著は1990年の刊行となっており、ノーベル経済学賞受賞直前までの業績を纏めた内容となっております。難解な言い回しも目立ちますが(堅い訳だからかもしれませんが)、「制度」を軸に新古典派経済学に対して大きな影響を与えた現代経済学の古典として面白く読むことができる著作です。目次第Ⅰ部 制度第Ⅱ部 制度変化第Ⅲ部 経済成果感想ノース教授が教鞭を執っていた1970年代から90年代といえば自由競争の価値を重視する新古典派経済学の全盛期でありますが、本書は巻頭からその「自由競争」について重大な問いを投げかけます。その問いとは「なぜいまだに『競争』が終わっていないのか」という問いかけです。確かに、人類社会は太古の昔から(太古の昔ほど?)様々なレベルにおける「自由競争」に直面してきたはずです。その中で優勝劣敗が決まり、より優れた財やサービスだけが生き残っていくとすれば、現代社会時点で誕生から多くの時間が過ぎた財やサービスの市場においてはもう非効率など残っていないはずです。しかし、現実には様々な非効率が残存しており、ともすれば、非効率な財や...
2019.04.28
経済・金融・経営・会計・統計☆☆☆(教養書)作品の感想