政治制度・統治機構・法学

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【政治学】おすすめ政治学本(その他)ランキングベスト4【オールタイムベスト】

本ブログで紹介した政治学系の書籍から、政治過程論以外に纏わる書籍ベスト4を選んで掲載しています。政治過程論系のおすすめ本はこちらをご参照ください。第4位 「市民政府論」ジョン・ロック日本国憲法が基本的人権の擁護を柱としていること、政府が存在し様々な活動を通じて国民生活を支えていること。これらは中学校の社会の教科書に載っている内容ではありますが、このような言説の中では基本的人権の存在や政府の存在が自明になっており、なぜ、基本的人権は存在する(べきな)のか、なぜ(民主的な)政府が存在する(べきな)のかといったことはなかなか語られません。こういった発想は優等生的ではないのかもしれませんが、なぜ基本的人権や民主的な政府の存在が自明に良いとされているのか、疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。本書「市民政府論」はそんな疑問に答える著作の一つとなっております。基本的人権や民主的な政府が当たり前ではなかった時代、その存在を論理的に正当化しようとした人々がおりまして、その代表格の一人が本書の著者であるジョン・ロックです。なお、「市民政府論」はロックの著作である「統治二論」のうち後...
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【選挙制度改革を検証する】教養書「現代日本の政党政治」濱本真輔 評価:4点【政治学】

大阪大学准教授の濱本真輔さんによる著作で、専門的な内容がふんだんに盛り込まれたいわゆる学術書にあたる本です。その内容は、小選挙区比例代表制への移行を中心とした、1990年代の政治改革の効果を検証するというもの。二大政党制を志向し、派閥を中心とした分権的党内調整によってではなく、首相や党執行部による政策決定を目指した政治改革の現時点までの経過と結果が様々な観点から論じられております。全体的にやや散漫で決定的なことが書いていない(導出できていない)なと思う部分もありましたが、政党を取り巻く制度が各アクター(特に政治家)をどう動かすのかという視点に興味のある方で、ある程度、政治学について下積み的知識がある方にとっては面白く読める本だと感じました。目次序章 本書の目的第1章 選挙制度改革と現代日本の政党政治第2章 議員、政党組織、政党政治第3章 小選挙区比例代表並立制の定着第4章 政党中心の選挙環境への変容第5章 個人中心の選挙区活動、選挙運動の持続第6章 族議員の変容第7章 分権的政党内制度の変容と持続第8章 事後調整型政党政治の持続第9章 執行部主導型党内統治への変容終章 選挙制度改革は何...
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教養書 「コラプション なぜ汚職は起こるのか」 レイ・フィスマン他 星3つ

1. コラプション なぜ汚職は起こるのかボストン大学の経済学者レイ・フィスマン教授とカリフォルニア大学の政治学者ミリアム・A・ゴールデン教授による「汚職」についての共著。二人とも異なるアプローチから「汚職」を研究してきたこの道の大家であり、それでいて本書は一般向け(といっても「汚職」の普遍的構造に関心を持つ「一般」向けですが)の著作になっております。学術書ではないことから事例中心の記述となっておりますが、個々の汚職を個人の道徳的資質の問題として矮小化するのではなく、様々な汚職の事例を「均衡」という思考枠組みの中で捉え、学術的な視点から論じていくのはまさに本格派といったところ。度肝を抜かれる面白さとまではいきませんでしたが、この分野に興味がある方にとって知的な興奮をもたらしながらも肩の力を抜いて読める本だといえるでしょう。2. 目次第1章 はじめに第2章 汚職とは何だろう?第3章 汚職がいちばんひどいのはどこだろう?第4章 汚職はどんな影響をもたらすの?第5章 だれがなぜ汚職をするのだろうか?第6章 汚職の文化的基盤とは?第7章 政治制度が汚職に与える影響は?第8章 国はどうやって高汚職...
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教養書 「市民政府論」 ジョン・ロック 星3つ

1. 市民政府論日本国憲法が基本的人権の擁護を柱としていること、政府が存在し様々な活動を通じて国民生活を支えていること。これらは中学校の社会の教科書に載っている内容ではありますが、このような言説の中では基本的人権の存在や政府の存在が自明になっており、なぜ、基本的人権は存在する(べきな)のか、なぜ(民主的な)政府が存在する(べきな)のかといったことはなかなか語られません。こういった発想は優等生的ではないのかもしれませんが、なぜ基本的人権や民主的な政府の存在が自明に良いとされているのか、疑問に思ったことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。本書「市民政府論」はそんな疑問に答える著作の一つとなっております。基本的人権や民主的な政府が当たり前ではなかった時代、その存在を論理的に正当化しようとした人々がおりまして、その代表格の一人が本書の著者であるジョン・ロックになります。なお、「市民政府論」はロックの著作である「統治二論」のうち後編にあたります。現在は岩波文庫から前後編が収録された新訳が出版されておりますので、そちらを手に取るのがいいかもしれません。2. 感想冒頭に述べた通り、「市民政府...
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教養書 「憲法Ⅰ 人権」 青井美帆・山本龍彦 星4つ

1. 憲法Ⅰ 人権法学部や経済学部を卒業した方々にはお馴染み、社会科学・人文科学系学術出版社である有斐閣。基本的には小難しい本ばかりを出版している会社なのですが、「学問と高校までの知識とがどう結びつくのかを理解しながら,じっくり思考を深めるためにまず手にとってほしい1冊」を刊行するレーベルとして「有斐閣ストゥデイア」が2013年に立ち上がっています。アカデミックの正統派に立ちながらも、いわゆる大学で教科書になっているような「~学入門」のような本よりもさらに易しい筆致で書かれた本が多く、私もよくお世話になっています。そんな「有斐閣ストゥデイア」シリーズから刊行された憲法学についての入門書が本書です。憲法学としての正統性を失わず(極論が書かれた俗本ではなく)、法律系の試験対策本でもなく、それでいて過度に重箱の隅をつつくような専門的議論ばかりでもない憲法の入門書は正直なところ「ない」というのがかつての結論だったところ、ついにその位置を射止める本が出てきたなというのが本書への評価となります。まずはこの本から、と胸を張って言える入門本になっております。2. 目次第1編 人権の意義と保障 第1章 ...
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新書 「世論」 W・リップマン 星2つ

1. 世論20世紀を代表するジャーナリストの一人、ウォルター・リップマンによって著された評論エッセイで、タイトル通り「世論」について取り扱っております。華々しい経歴を持つリップマンですが、「ステレオタイプ」という言葉を世に根付かせたと書けばその偉大さが伝わるのではないでしょうか。新聞・ラジオ・テレビという近代型メディアの登場と民主主義の組み合わせが人々の世界に対する「見方」をどのように規定していくのかという箇所に論の重点がおかれ、人々が抱いてしまうバイアスの傾向について現代にも通じる鋭い指摘を行っております。「評論エッセイ」と表現しました通り、かなり散漫で体系だっていないのが決定的難点ですが、それでも1922年という発表年を考えるとその叡智は驚くばかり。「愚者は経験から学び、賢者は歴史から学ぶ」という警句の示す通り、社会に対する考え方が纏まってきた時期に読むと「自分の考えなど車輪の再発明にすぎないなぁ」と思ってしまうこと請け合いです。2. 目次<上巻>第1部 序第2部 外界への接近 第3部 ステレオタイプ 第4部 さまざまの関心 <下巻>第5部 共通意志の形成第6部 民主主義のイメージ...
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【雑感まとめ】教養書 「福祉資本主義の三つの世界」 エスピン=アンデルセン 星4つ

1. 福祉資本主義の三つの世界以前に紹介した教養書、エスピン・アンデルセンの「福祉資本主義の三つの世界」ですが、読みながらぼんやりと思ったことを備忘のために記事にしておこと思います。福祉資本主義の三つの世界 (MINERVA福祉ライブラリー)posted with ヨメレバイエスタ エスピン‐アンデルセン ミネルヴァ書房 2001-06-01AmazonKindle楽天ブックス
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「福祉資本主義の三つの世界」エスピン=アンデルセン 評価:4点|「労働力の脱商品化」と「社会的階層化」に着目した福祉国家論の画期的古典【政治学】

アメリカやイギリスなどのアングロサクソン諸国、ドイツやフランスなどの大陸欧州、スウェーデンやフィンランドなどの北欧諸国。同じ先進国と呼ばれていても、これらの国々はそれぞれ大きく異なる政策パッケージを実施しております。しかし、それらの国々の特徴を厳密に区分する指標はいったい何なのでしょうか。もちろん、イメージ論で語ることはできましょうし、個別具体的な政策についてはそれぞれの専門及び関心ある分野で様々な議論があるのだとは思います。ただ、数理的にこれといった境界線を示せと言われるとなかなか困ってしまうのではないでしょうか。そんな「先進国(=福祉国家)の分類」について論じた政治学の古典が本著です。本書を読破することが、先進国同士の福祉国家としての「質」の違いを学術的に勉強するための第一歩になることでしょう。目次本書の目次は以下の通り・第Ⅰ部 三つの福祉国家レジーム第1章 福祉国家を巡る三つの政治経済学第2章 脱商品化と社会政策第3章 階層化のシステムとしての福祉国家第4章 年金レジームの形成における国家と市場第5章 権力構造における分配体制・第Ⅱ部 雇用構造における福祉国家第6章 福祉国家と労...
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教養書 「有権者の選択」 平野浩 星2つ

1. 有権者の選択以前に紹介した「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」と同じく、アンケート調査から日本の有権者の投票行動を研究する本です。「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」は「政権交代期における政治意識の全国的時系列的調査研究」というシリーズでまとめられているのに対し、本書は「変動期における投票行動の全国的・時系列的調査研究」シリーズの一つとして刊行されています。とはいえ、その二つの研究が看板を変えただけの続きものになっているのが実質らしく、むしろ継続性のある統計データとして双方の中で扱われているくらいです。しかし、本書は星を一つ下げて星2つとしています。理由は、「データや統計結果に驚きや新鮮さがないこと」と「論全体に有用で核心的な主張がないこと」です。データセットに近いという点では「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」と同じなのですが、それでも、投票行動についてうまく「説明している」とは言い難い、ピントを外した統計処理の当て方や文章での論証がされているように感じました。有権者の選択―日本における政党政治と代表制民主主義の行方posted with ヨメレバ平野浩 木鐸社 2015...
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教養書 「二大政党制の崩壊と政権担当能力評価」 山田真裕 星3つ

1. 二大政党制の崩壊と政権担当能力評価 「政権交代期における政治意識の全国的時系列的調査研究」という日本の有権者の投票行動を研究するプロジェクトがあり、その研究成果をまとめたシリーズの一つが本書です。著者は関西学院大学の山田真裕教授。 どのような有権者がどのような考え方をもとに投票行動を行ったかを解き明かすというのが一応の主題ですが、特定の主張をするための本というよりも、上述の調査に寄って得られた生データ・アンケート結果の統計処理後データインデックスのような役割が強いように思えます。いくつかは興味深い分析結果があり、イメージ論で政治を語る前に読んでおきたい一冊です。 二大政党制の崩壊と政権担当能力評価 (〈シリーズ〉政権交代期における政治意識の全国的時系列的調査研究) posted with ヨメレバ 山田 真裕 木鐸社 2017-06-01 Amazon Kindle 楽天ブックス
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新書 「入門 公共政策学」 秋吉貴雄 星3つ

1. 入門 公共政策学「政治学」や「行政学」とは似て非なる学問領域、「公共政策学」への入門書。学際的であり、問題解決を目的であることを強調しつつ、様々な事例を通じて公共政策学の片鱗に触れることができます。一つ一つの事例は面白いものもあるのですが、やや体系に欠けるところがあり学問分野への「入門」のわりにそれなりのリテラシーが要求されるものになっていました。入門 公共政策学 - 社会問題を解決する「新しい知」 (中公新書)posted with ヨメレバ秋吉 貴雄 中央公論新社 2017-06-20AmazonKindle楽天ブックス
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教養書 「分裂と統合の日本政治」 砂原庸介 星4つ

1. 分裂と統合の日本政治 小選挙区比例代表並立制の導入を含め、90年代に行われた統治機構改革以降、一時は民主党が政権を獲得することもありましたが、自民党以外は離合集散を繰り返しているのが実態です。 また、この間には、減税日本や大阪維新の会、都民ファーストなど、国政ではなく地方に基盤を持つ政党も力を持ち始めました。このような政党の変動や盛衰がなぜ起こったのか、それを政党をとりまく制度から説明しようと試みているのが本書です。 自民党の強さの理由、民主党をはじめとした野党が力を持てないのはなぜか。それを、制度面から冷徹に議論する名著だと思いました。 分裂と統合の日本政治 ― 統治機構改革と政党システムの変容 posted with ヨメレバ 砂原 庸介 千倉書房 2017-07-10 Amazon Kindle 楽天ブックス
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教養書 「日本の中央―地方関係」 市川喜崇 星3つ

1.日本の中央―地方関係地方分権が叫ばれて久しい今日ですが、政治学では昔から「集権」「分権」は大きなテーマでした。そして、2012年に刊行された本書は、著者も認めるところの、これまでの通説に正面から斬ってかかった著作となっております。戦後日本は「明治以来の集権体制」なのか「分権の進んだ民主国家」だったのか。その切り分けがまだあなたの頭の中にあるならば、この本は十分な威力を発揮するでしょう。日本の政治に関心がある人ならば一度は読んで欲しい本です。日本の中央―地方関係: 現代型集権体制の起源と福祉国家posted withヨメレバ市川 喜崇 法律文化社 2012-11-09AmazonKindle楽天ブックス
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