【メディア論】おすすめメディア論雑記3選【雑記まとめ】
漫画
【幻想怪奇譚】漫画「天人唐草」山岸凉子 評価:1点【漫画短編集】
「日出処の天子」等の作品がある山岸凉子さんの自選作品集。表題作にもなっている「天人唐草」は彼女の代表作に数えられることが多いようです。ただ、少女漫画界の古豪的な地位にある著者の作品ということでしたが、私には合いませんでした。読解力が足りないからか、起伏のない凡庸なストーリーラインに投げっぱなしのオチが付いているだけのように感じてしまいます。あらすじ幼いころから厳格で旧い価値観の父に育てられてきた岡村響子。その教育のせいもあって自分を過度に抑制するようになってしまい、学生時代、そして社会人になっても男性とうまくコミュニケーションをとることができない。そしてついに、職場で憧れていた男性が自分とは真逆の気質をもつ女性と結婚してしまう。そんな響子のもとに、父親が倒れたとの一報が飛び込んでくる。慌てて父のもとへ向かう響子。しかし、呼ばれた先で響子が目にしたのは、あの表面上は厳格だった父の意外な素顔だった......。(表題作「天人唐草」)その他4つの短編を収録。感想全体的に「ベタ」過ぎるか「あり得なさ」過ぎる話しかないんですよね。表題作の「天人唐草」は厳格過ぎる父に育てられた女性の話ですが、父の...
漫画 「母がしんどい」 田房永子 星3つ
1. 母がしんどいコミックエッセイやルポ漫画を手がける漫画家、田房永子さんの作品。強烈(不快感を与えるという意味で)な母との心の距離に悩み続ける田房さんの半生が描かれた自伝的作品です。個人的にはかなり共感できる内容で、普通の家庭に育ってきた方々には「信じられない」というシーンもあるのでしょうが、こういった家庭が平然と存在しているということをどうか心に留めて頂きたいと思う次第です。母がしんどいposted with ヨメレバ田房 永子 KADOKAWA/中経出版 2012-03-23AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
漫画 「恋愛3次元デビュー」 カザマアヤミ 星3つ
1.恋愛3次元デビュー漫画家であるカザマアヤミさんが自身の結婚までの道のりを描いたコミックエッセイです。現在は月刊アクションで「小林さんちのメイドラゴン エルマのOL日記」を連載されています。恋愛慣れしていない人の面白おかしい話としても楽しめますし、それでいて現代が生み出した「恋愛」という概念の可笑しさも示唆する作品。軽い気持ちで一気読みしつつ、これがfunnyの意味で面白いことは良いことなのだろうかと考えさせられます。恋愛3次元デビュー ~30歳オタク漫画家、結婚への道。~posted with ヨメレバカザマ アヤミ 双葉社 2014-05-21AmazonKindle
「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」永田カビ 評価:2点|自分に自信がない状態を克服する再生物語【コミックエッセイ】
pixivで連載されていたコミックエッセイの書籍化作品。「寂しさのあまり性体験をしたこともないのにレズ風俗に行く」というセンセーショナルな煽り文句と、その切実な内容のコントラストが魅力です。あらすじ大学中退後、精神的な病気を患い、アルバイトも長く続かなかった著者、永田カビ。親との関係も上手くいかず、頭には「死」がよぎる。「なにくそ、立ち直ってやる」。そう意気込み、息苦しさから自分を解放するために選んだ手段。それはレズビアン風俗に行くことだった。生きづらい現代で自分に自信を持つとはどういうことか。レズ風俗での体験を通じ、著者が自分として生きていく方法を掴んでいく物語。感想共感できる人とできない人が真っ二つに分かれる作品でしょう。真っ二つになる基準は「自分に自信を持っているか否か」です。非常に個人的な観点ですが、現代を生きる人々を敢えて二つに切り分けるならば、その基準として「自分に自信を持っているか否か」を使うのはかなり良いアイデアなのではないかと感じます。そこには、個人の性格とそれを形成してきた家庭や社会の環境が如実に反映され、しかも、自信を持っている人/いない人同士は決して相互に理解し...
【トゥーランドット】中国を舞台にした名作オペラの漫画化 評価:2点【里中満智子】
1. トゥーランドット有名なオペラの内容を里中満智子さんが漫画で描く「マンガ名作オペラ」シリーズの第5巻。全巻揃えようという気はないのですが、表題作である「トゥーランドット」の筋書きが知りたくて購入しました。18世紀に書かれた戯曲をもとに19世紀に書かれたオペラということで、いかにも「古典の短編」という印象です。物語全体の整合性や展開の論理性よりも劇的な展開が優先されており、物語としては粗削りで洗練されていないと思われる側面が多かったのですが、オペラとはそういうものだという心持ちで見るのが正解なのでしょう。2. あらすじ舞台は王朝時代の北京。皇女トゥーランドットはたいへん美しい姫だったが、彼女に求婚する者は彼女が出題する3つの問題に答えられなければ死刑になるという過酷な婚姻条件を掲げていた。今日もまた、求婚に失敗したペルシャの王子が紫禁城の前で公開処刑にされてしまう。その様子を見ていたのが、ダッタン国の王子カラム。彼はトゥーランドットに見惚れ、部下の制止を振り切ってトゥーランドットに婚約を申し込む。3つの難問を出題するトゥーランドット。しかし、カラムはいとも簡単に答えてしまう。婚約を嫌...
漫画 「タッチ」 あだち充 星2つ
1. タッチどんな世代も一度は耳にしたことのあるタイトルなのではないでしょうか。特徴的な主題歌と「南を甲子園に連れてって」などの印象深い台詞で有名な作品です。往年の名作ということで期待して読んだのですが、あまり楽しめませんでした。恋愛を絡めた切なさ重視のスポーツもの、というジャンルは当時斬新だったのでしょうが、ストーリーもキャラクターもいまいちです。タッチ (1) (小学館文庫)posted with ヨメレバあだち 充 小学館 1999-04-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
漫画 「ひとりずもう」 さくらももこ 星3つ
1. ひとりずもう「ちびまるこちゃん」で有名なさくらももこさんが書いたエッセイのコミック版です。小学校高学年~短大での漫画家デビューまで著者の半生が描かれています。怠惰でときに信じられないくらいクズな性格の著者に共感しつつ、夢を追いかけるときの人間の強さや、友情の尊さを感じられる作品でした。ひとりずもう 上―漫画版 (BIG SPIRITS COMICS SPECIAL)posted with ヨメレバさくら ももこ 小学館 2007-04-01AmazonKindle
漫画 「櫻の園」 吉田秋生 星2つ
1.櫻の園「カリフォルニア物語」や「BANANA FISH」、最近だと「海街diary」で有名な吉田秋生さんの1巻完結オムニバス漫画。以前に紹介した映画「櫻の園」の原作でもあります。表現方法や空気感は良いものがありますが、80年代の価値観を基軸に思春期の女性の葛藤を描く、というベタな内容に終始してしまっているのが辛いところです。櫻の園 白泉社文庫posted with ヨメレバ吉田 秋生 白泉社 1994-12-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
漫画 「げんしけん」 木尾士目 星2つ
1. げんしけん2000年代前半、当時隆盛の兆しを見せ始めていた「オタク文化」に焦点をあてたことから注目された漫画です。大学のいわゆる「オタサー」を最初に描いた作品ともいえ、そのリアルな「オタク感」からにじみ出る独特の雰囲気は確かに異色で面白いのですが、その斬新性を差し引いたときに魅力が残るかと言われればそうでもない作品でした。げんしけん(1) (アフタヌーンKC)posted with ヨメレバ木尾 士目 講談社 2002-12-18AmazonKindle楽天ブックス
「ラフ」あだち充 評価:2点|あだち充の定番展開が詰め込まれた、熱心なファン向け作品【水泳恋愛漫画】
「タッチ」「みゆき」等で有名なあだち充さんの作品。高校水泳部を舞台にしていますが、ストーリー展開はいつものあだち充パターンが全開。スポーツ万能な主人公、訳ありな関係の幼馴染、立ちはだかるライバル。そして誰かが死ぬ(もしくは重傷)。その意味であだち充らしさがふんだんに盛り込まれた作品なのですが、悪く言えば「あだち充止まり」の作品。ファン層以外には受けづらいのではないでしょうか。一般的な漫画ファンとしては+αが欲しいところでした。あらすじ舞台は私立栄泉高校水泳部。競泳の大和やまと圭介けいすけと飛び込みの二ノ宮にのみや亜美あみは幼馴染だがぎくしゃくした関係。その理由は、お互いの実家がライバルの和菓子屋であること。しかも、先代が経営していた際に「やまと」が「にのみや」のパクリ商品で人気を得てしまったという因縁があった。高校生活の偶然を通じて誤解が解け、惹かれあう二人。しかし、二ノ宮に想いを寄せる人物がもう一人いた。その名前は仲西なかにし弘樹ひろき。自由形100mの日本記録保持者である。恋と水泳。大和はその両方で仲西に勝つことができるのだろうか......。感想悪い点はないのですが、良い点もない...
【青春・恋愛・ジャズ】漫画「坂道のアポロン」小玉ユキ 評価2点【青年漫画】
「このマンガがすごい! 2009」オンナ編で1位となり、アニメ化もされた本作。ジャズという珍しいテーマと、1960年代という時代設定は確かに面白いと思いました。ただ、ストーリーに捻りがないのは非常に残念。ベタ展開に次ぐベタ展開で起伏がなく、最後も高校生活の枠内で納めきれずに駆け足で大学→社会人としてしまったところに作者の力量不足を感じてしまいました。あらすじ主人公、西見薫(にしみ かおる)は父の都合で横須賀から佐世保の高校へと転校することになった。幼いころから転校ばかりだった西見は秀才だが人見知り。そんな西見がひょんなことから出会ったのが不良として知られる川渕千太郎(かわぶち せんたろう)。正反対の二人だが、千太郎の趣味であるジャズに薫が惹かれ始めたことをきっかけに、二人はかけがえのない友人となっていく。しかし、二人を巡る恋模様は複雑。薫は千太郎の幼馴染である迎律子(むかえ りつこ)が好きだが、律子は千太郎に想いを寄せており、その千太郎は上級生の深堀百合香(ふかほり ゆりか)に恋をしている。そんな百合香の想い人とは、「淳兄(じゅんにぃ)」と千太郎から慕われている桂木淳一(かつらぎ じゅ...
【萌え漫画の古典】漫画 「カードキャプターさくら」 CLAMP 星2つ
1.カードキャプターさくら「なかよし」に連載されていた漫画ですが、タイトルを聞けば98年から2000年までNHK教育で放送されていたアニメの方を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。「魔法騎士レイアース」や「xxxHOLiC」などの人気作を持つ漫画家集団CLAMPの代表作の一つで、原作・アニメ完結後も根強いファンを持つ作品です。原作20周年記念として今年から新連載を「なかよし」誌上で開始していることもあり、読んでみようと思い立ったのですが、色々な意味で「なるほど」と思わされる作品でした。2. あらすじ主人公、木之本さくらは友枝小学校に通う小学四年生。ある日、研究者である父の書庫から奇妙な本を発見する。さくらがその本に触れると、封印されていた魔物、ケルベロスが姿を現した。しかし、その本は魔術師クロウ・リードが作った魔法のカード、クロウカードが封印されていた本でもあり、さくらが触れたことによってカードは町じゅう散ってしまう。カードを回収しなければ「災い」が起こる。その災いを回避するため、さくらは「カードキャプター」として、クロウカードが起こす様々な事件を解決していく......。3. ...
漫画 「逢沢りく」 ほしよりこ 星3つ
1. 逢沢りく第19回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞した本作。「きょうの猫村さん」で有名なほしよりこさん作の長編漫画です。ストーリーといい絵柄といいかなり珍しいタイプの漫画でしたが、漫画という表現方法の新境地を開拓する作品だったと思います。逢沢りく 上 (文春文庫 ほ 22-1)posted with ヨメレバほし よりこ 文藝春秋 2016-09-02AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo