漫画

月刊少女野崎くん

「月刊少女野崎くん」椿いづみ 評価:3点|王道の笑いで攻める、少女漫画制作にかける青春学園コメディ【青年漫画】

ガンガンオンラインにて2011年から連載されているウェブ漫画。 今年で連載10周年を迎えた長期連載のコメディ漫画です。 少女漫画のパロディで笑いを取るという独自性を有している作品であり、だからこそ、少女漫画ではあまり見られない「ヒロインが意中の男性の気を引くために頑張る(が空回りする)」という構図が特徴となっております。 サブキャラクターたちも個性豊かな面子が揃っており、テンポの良い4コマの中でオタク的な寒いノリに頼らない王道の笑いを提供してくれる点に本作の良さがあります。 漫画文化に浸ってきた人ならば必ず笑える作品。忙しない日常の息抜きにお薦めです。 あらすじ 舞台は私立浪漫学園高校。 佐倉千代(さくら ちよ)は意中の人である野崎梅太郎(のざき うめたろう)に告白しようとするも、緊張のあまり「ずっとファンでした」と叫んでしまう。 そんな佐倉に、野崎はなぜかサイン入りの色紙を手渡してくれる。 サインとして記されていた名前は「ゆめの咲子」。 野崎の正体は人気少女漫画家である夢野咲子だったのである。 紆余曲折あって野崎の漫...
ドラゴン桜

「ドラゴン桜2」三田紀房 評価:3点|丸くなって復活した現代風教育漫画【青年漫画】

2007年に完結した「ドラゴン桜」の続編。 人気ドラマとなった前作に続き、本作もドラマ化されております。 低偏差値の高校生を画期的な方法で東大合格に導いていくカタルシスが絶妙だった前作とは違い、本作で東大を受験する生徒たちは偏差値50前後のいわば中偏差値な高校生たち。 しかも、東大合格に導く手法もアプリの活用であるなど「現代風」に媚びてしまっているのがやや破壊力不足に感じました。 普通の高校生が一年間頑張れば東大に合格することができる、をコンセプトにしているようですが、設定が丸くなったぶん展開も丸くなり、常識破りの方法で驚かせると言うよりも、現代の常識を伝える漫画になってしまっています。 それゆえ、やや漫画としての面白さには欠けると思ってしまった次第です。 ただ、現代における教育についての啓蒙漫画としてはそれなりによく出来ており、特に家庭教育についての助言や「勉強」の先にあるもの、現代社会を生きるうえで必要な「勉強」以外のスキルについての言及は示唆的であると思います。 (14巻までを読んだ感想です) あらすじ 桜木健二の活躍により...
☆☆(漫画)

【理想的過ぎる物語】漫画「鬼滅の刃」吾峠呼世晴 評価:2点【少年漫画】

あらすじ 舞台は大正時代の日本。 竃門炭治郎(かまど たんじろう)は13歳の少年ながら一家の大黒柱として家計を支えていた。 そんなある日、炭治郎が家を空けた隙に、竃門一家は妹の禰豆子(ねずこ)を除いて鬼に惨殺されてしまう。 生き残った禰豆子も鬼と化しており、あろうことか炭治郎に襲いかかってくるのであった。 そんな炭治郎の窮地を救ったのが富岡義勇(とみおか ぎゆう)と名乗る剣士。 彼は鬼を全滅させるために組織された「鬼殺隊」の一員だと炭治郎は知るのだが……。 感想 珍しいくらいシンプルな少年漫画だったいうのが全体的な感想です。 炭治郎と鬼殺隊の仲間たちが次々と襲いかかってくる鬼たちをひたすら倒していくというだけの物語で、おそらく全体の三分の二以上をバトル描写に費やしているのではないでしょうか。 確かに、必殺技を繰り出しながら鬼の幹部たち(鬼側にも組織がある)を倒していく様子は爽快であり、チャンバラ漫画としては面白いのでしょう。 ただ、個人的には以下の2点からあまり楽しめませんでした。 ①キャラクターに人間味がない ...
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LOVE理論

【ラブコメで学ぶモテ理論】漫画「LOVE理論」水野敬也・佐藤まさき 評価:3点【恋愛指南漫画】

「夢をかなえるゾウ」などで有名な作家、水野敬也さんが記した恋愛指南本「LOVE理論」の漫画版です。 非モテの大学生、屋良畑寛二を恋愛体育教師「愛也」が指導し、モテる男子へと導くという物語。 各章で「〜理論」と称した水野流モテ理論が一つずつ紹介され、その実行を通じて屋良畑はモテる男子の話法や行動を身に着けていきます。 全体的な感想としては、そこそこ面白かったといったところ。 紹介される理論は納得できるものから首をかしげるものまでありますが、それを忠実かつコミカルにこなしていく漫画のテンポが良く、飽きずに読むことができます。 また、どこか「いちご100%」を思わせるような絵柄でパンチラも多用されるため、往年のラブコメ読みにとってもニヤニヤできる漫画になっています。 あらすじ 主人公、屋良畑寛二(やらはた かんじ)は20歳の大学生。 彼女いない歴=年齢の童貞であり、バイト先の可愛い同僚、吉野咲(よしの さき)にも禄に話しかけられないくらい女性が苦手な性格。 そんな寛二のもとに現れたのは「愛也」と名乗る謎の幽霊。 彼は寛二...
砂時計

【00年代の恋愛漫画】漫画「砂時計」芦原妃名子 評価:2点【少女漫画】

2003年から2005年まで小学館の漫画雑誌「ベツコミ」で連載されていた少女漫画。 全十巻ながら発行部数は累計700万部を突破しており、2007年にはドラマ化、2008年には映画化されるなど、大ヒットした作品です。 とはいえ、個人的には凡庸な作品だったという印象。 序盤こそドキドキする恋愛展開が続きますが、その後は特筆すべき場面もなく、淡々と普通の少女漫画が続いていきました。 あらすじ 主人公は12歳の植草杏(うえくさ あん)。 両親の離婚をきっかけに、東京から島根へと引っ越してきた。 田舎の雰囲気に不安と緊張を感じていたちょうどそのとき、杏は同い年の北村大悟(きたむら だいご)と出会い、打ち解けていく。 地元の名家である月島家の子息と令嬢、月島藤(つきしま ふじ) と椎香(しいか)兄妹とも知り合い、杏はこの町に馴染んでいくのだった。 そんな折、杏のもとに凶報が届く。 杏の母、美和子(みわこ)が自殺を図ったのだ。 あまりの衝撃に、美和子に買ってもらった砂時計を遺影に投げつける杏。 そんな杏に対して、大悟...
僕は愛を証明しようと思う

【恋愛工学でモテる】漫画「ぼくは愛を証明しようと思う」藤沢数希・井雲くす 評価:2点【ハウツー漫画】

外資系銀行出身で現在は作家として活躍する藤沢数希さん。 そんな藤沢さんは「恋愛工学」と題した恋愛術も発信しており、その技術を纏めた著作として小説「ぼくは愛を証明しようと思う(幻冬舎刊)」があります。 本作はその漫画版であり、藤沢さんが提唱する「恋愛工学」理論が物語に絡めて紹介されていくという作品になっております。 先日紹介した漫画「ピックアップ」が「成長物語」を描くための道具として恋愛技術を用いていたのに対し、本作は「恋愛工学」という恋愛技術を紹介することが漫画の目的であり、そのための道具としてストーリー形式が用いられている点が対照的です。 そんな本作ですが、まさに「恋愛工学入門」という位置づけに相応しい漫画であると思います。 一般的な発想ではまず思いつかない「恋愛工学」の理論と技術が次々と紹介され、主人公による実践を通してその具体的な方法と成功までの道筋が描かれていきます。 聞き慣れない用語が心理学的な補足を伴って上手く説明されており、そんなに都合よく「モテ」を解決してしまえるのか、と疑問に思うこともなくはないのですが、それなりに理解...
ピックアップ

【ナンパ・男磨き・友情】漫画「ピックアップ」真鍋昌平・福田博一 評価:3点【青年漫画】

「ナンパ」を題材とした全2巻の短編漫画。 「闇金ウシジマくん」の作者として有名な真鍋昌平さんが原作を務めております。 とはいえ、チャラいナンパ師がコリドー街や江ノ島で女性を「ピックアップ」してはセックスする様子を描いた漫画、というわけではありません。 主人公はいかにも「陰キャ」な新卒社会人であり、そのバディとなるのがデキる先輩という構図。 この先輩が主催する「魁ナンパ塾」に主人公が入塾し、様々なナンパ術を学びながら社会を生きる「漢」としての技量を高め、仕事でも成功していくというサクセスストーリーです。 へたれ主人公が「師」の導きで成長し、強さを身に着けながら自立して一人前になっていく。 そんな少年漫画を彷彿とさせる大枠ながら、自由恋愛と「男女平等」が隅々にまで行き渡った現代社会の闇を何でもないことのように描くことで却って生々しく表現しているという面白い作品。 都市部で生きる若手社会人なら共感できること請け合いでしょう。 あらすじ 主人公の南波春海(みなみ はるうみ)は都内の出版社に勤める新卒社会人。 配属希望はマンガ...
ハチミツとクローバー

【ハチミツとクローバー】甘くて切ない「夢」と「片想い」の青春恋愛漫画 評価:4点【羽海野チカ】

1. ハチミツとクローバー 2000年代前半に一斉を風靡した少女漫画。 著者は羽海野チカさんで、現在は白泉社の月間漫画雑誌「ヤングアニマル」で青春将棋漫画「3月のライオン」を連載されています。 10巻完結ながら累計発行部数は800万部に達し、アニメ化と実写映画化も果たしているなど、名実ともに堂々たる人気作品である本作。 2度の掲載紙休刊を乗り越えて連載が続いた作品でもあり、マイナーな掲載紙出身ながら大ヒット作にまでのし上がった経緯にもドラマを感じさせます。 そんな本作を今更ながら読了したのですが、評判や販売実績に値するような、素晴らしい感動作でした。 多様な登場人物たちの恋模様と夢の探求、もがき続ける中で生まれる葛藤が濃密に描かれており、とにかく一話一話の盛り上がり度合いが著しく高い作品です。 中だるみや「捨て回」のような話が存在せず、まさに人生のハイライトを駆け抜けているような、甘くて苦い青春のひとときを自分自身が経験したかのように錯覚させられる名作です。 2. あらすじ 物語の主な舞台は浜田山美術大学。 東京に存...
ママレード・ボーイ

【青春恋愛】漫画 「ママレード・ボーイ」 吉住渉 星1つ

1. ママレード・ボーイ 1990年代、毎月250万部近い発行部数を誇っていた全盛期の「りぼん」で看板級の人気を持っていた少女漫画。 累計発行部数は1000万部以上、アニメ化及びドラマ化も果たしており、時代を代表した作品の一つだと言えるでしょう。 しかしながら、個人的な感想としては凡作を下回って駄作という印象。 物語として感動するポイントが全く見当たらず、やっつけ仕事のような展開ばかりが繰り返される光景に辟易としながらなんとか読み切った次第です。 2. あらすじ 主人公は女子高生の小石川光希(こいしがわ みき)。 ある日、両親である小石川仁(じん)と小石川留美(るみ)から、離婚してそれぞれが新しいパートナーと結婚するつもりなのだと告げられる。 その新しいパートナーというのも、松浦要士(まつうら ようじ)と松浦千弥子(ちやこ)という夫婦。 いわば、小石川夫婦と松浦夫婦でパートナーを取り換えるという話なのである。 しかも、新しい家族同士で同居したいとまで言うのだから、光希の頭は大混乱。 あまりに無茶苦茶な両親の行動...
漫画特集

オールタイムベスト 「漫画」

はじめに 当ブログをご覧いただきありがとうございます。 記事数が多くなってまいりましたので、そろそろお薦め作品を纏めた記事があってもよいだろうと思い、本記事を作成することにいたしました。 全体的に辛い評価が多いと思われる当ブログですが、本記事で紹介するのは珠玉の名作ばかり。 是非、紹介記事をご覧いただき、その魅力に気づいて頂ければと願っております。  「1518! イチゴーイチハチ!」 相田裕 星4つ 【楽しく切ない青春生徒会物語】 「あずまんが大王」 あずまきよひこ 星4つ 【元祖 女子高生コメディ】 「ハチミツとクローバー」 羽海野チカ 評価:4点 【夢と片想いの甘苦い青春】 「聲の形」 大今良時 星3つ 【いじめ・再生・聴覚障がい】 「湯神くんには友達がいない」 佐倉準 星3つ 【孤独は罪か? 友達とは何か?】 「めぞん一刻」 高橋留美子 星5つ 【ラブコメの金字塔】 「トーマの心臓」 萩尾望都 星...
学習漫画・世界の伝記

漫画 「ジャンヌ・ダルク」 学習漫画・世界の伝記 星3つ

1. ジャンヌ・ダルク 集英社から発売されている「学習漫画・世界の伝記」シリーズ。 世界史上で活躍した様々な人物の生涯を漫画で紹介するというシリーズの中から、今回はたまたま興味を持って読んだ「ジャンヌ・ダルク」のレビューをいたします。 小学生向けに書かれた学習漫画だけあって非常に読みやすく、(おそらく本作の狙い通りに)ジャンヌ・ダルクの生涯について知見を深めることができました。 それにしても、本当に奇跡のような生涯で、時おり起こるまさに漫画のような展開はそれが歴史的事実であるという点において驚愕させられます。 2. あらすじ 1412年1月6日、フランス東部ドンレミ村の農家に一人の少女が生まれた。 ジャンヌと名付けられたこの赤子こそ、後にフランスの英雄となるジャンヌ・ダルク。 このとき、フランスはイギリスとの百年戦争を戦っており、戦況は劣勢。 パリを中心とする北部はイギリス側についたブルゴーニュ公の手に落ちており、フランス側を率いるシャルル王太子はシノンという町でひっそりと身を隠している有様だった。 そんな戦争の渦中...
☆☆☆(漫画)

漫画 「聲の形」 大今良時 星3つ

1. 聲の形 2013年から2014年にかけて週刊少年マガジンで連載されていた作品。 小学校における聴覚障がい者への苛烈ないじめ描写から一時は読み切りすら掲載見送りとなりかけたものの、日本ろうあ協会の許可を経て読み切り掲載に漕ぎつけ、それが大反響を生んで連載へと辿り着いた作品となっています。 さらに、2016年に京都アニメーションによって製作されたアニメ映画が大ヒットし、本作のさらなる躍進に結びつきます。全七巻の社会派漫画としては異例の総発行部数300万部超となり、漫画史にその名前を残す作品となりました。アニメ映画版は本ブログでレビュー済みです。 個人的にも、いじめた側といじめられた側の再生物語として良作だと感じました。少年漫画の王道展開を敢えて避け、世の中の都合よくいかない側面、人間の嫌な部分を描き出そうとしている側面も高評価です。 2. あらすじ 主人公の石田将也(いしだ しょうや)は小学六年生。親友の島田一旗(しまだ かずき)や広瀬啓祐(ひろせ けいすけ)と一緒に悪ふざけをして過ごすことで活発な小学校生活を送っていた。 ...
スペクトラルウィザード

「スペクトラルウィザード 最強の魔法をめぐる冒険」模造クリスタル 評価:3点|他者を支配する魔法の正体【文学的ファンタジー漫画】

「ミッションちゃんの冒険」というweb漫画で有名になり、現在は「金魚王国の崩壊」などのweb漫画を連載する漫画家、模造クリスタル氏の商業出版作品。 前作「スペクトラルウィザード」の続編となっております。 「スペクトラルウィザード」の感想はこちら。 中編×3と掌編×2という構成だった前作とはうって変わって、今回は一本の長編+エピローグ的な掌編という構成。 副題の通り「最強の魔法」を巡る騎士団と魔術師たちの争いが描かれます。 陰謀渦巻き、敵味方が入り乱れ、裏切りに次ぐ裏切りが起こる展開でハラハラドキドキさせる展開はエンタメ作品として見事。 加えて、物語の裏側に流れる他者との関係性についての示唆が作品に深みを与えています。 あらすじ 危険な魔術書の研究により魔術師ギルドがテロ組織として認定され、騎士団によって多くの魔術師が逮捕・処刑されてから幾年。 魔術師ギルドは解散を余儀なくされ、離散した魔術師たちも危険人物として追われている。 そんな中、魔術師のスペクトラルウィザードは騎士団とも関係を持ちながら日々を過ごし...
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