☆☆(漫画)

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うたえ! エーリンナ

漫画 「うたえ! エーリンナ」 佐藤二葉 星2つ

1. うたえ! エーリンナ星海社(講談社100%子会社)が運営する4コマ漫画サイト「ツイ4」で連載されていた作品。古代ギリシアの女学校を舞台に、詩人を目指す女学生エーリンナの学校生活と合唱祭での奮闘を描くという異色のテーマとなっており、著者である佐藤さんがギリシア悲劇に造詣が深く、古代ギリシアの竪琴「リュラー」の演者でもあることからこそ描けたテーマだと言えるでしょう。そういった作品ではありますので、「古代ギリシア(の女学校)文化」にまつわる部分は興味深く読めました。ただ、物語自体は凡庸で、いかにも「漫画っぽい」展開をなぞっただけという感が否めません。百科事典的な面白さだけが評価できる作品でした。2. あらすじ舞台は古代ギリシアのレスボス島。ギリシア史上最高の女詩人サッポーが運営する女学校には嫁入り前の女性たちが集められ、日々、花嫁修業に励んでいた。そんな女学校に入学したエーリンナだったが、機織りのような花嫁修業科目には全く興味なし。彼女の夢は詩人になることであり、サッポー先生には特別な敬慕の念を抱いている。しかし、古代ギリシャにおいて女性が自由に振舞えるのは学校に通っている時期だけ。...
少女終末旅行

漫画 「少女終末旅行」 つくみず 星2つ

1. 少女終末旅行新潮社が運営するweb漫画サイト「くらげバンチ」に掲載されていた作品。単純な線が却って趣を醸し出すような絵柄が特徴的で、いわゆるバトル漫画やラブコメ、ギャグ漫画、萌え漫画という分類とは一線を画す作風です。2017年にアニメ化されており、アニメの方は本ブログでも感想を書きました。アニメ版にオリジナル要素がほとんどなく、展開が漫画版をなぞっていることから抱く感想もほとんど同じなのですが、荒廃した世界で繰り広げられる単純な会話劇だったからこそアニメ版の方がその良さを際立たせられていたという印象です。また、漫画がアニメの終了後に完結したため双方でエンディングが異なっている(アニメ版は漫画版の途中のエピソードを締めに使っている)のですが、ここもどちらかといえばアニメ版の方が心に残る終わり方だったように思います。2. あらすじ舞台は激しい戦争の末に回復の見込みがないほどに荒廃した世界。人類は僅かに生存しているのみで、集団を形成するほどの人口さえ残っていない。そんな世界を旅するのが、チトとユーリの二人組。半装軌車ケッテンクラートを繰り、食料と燃料を求めてあてもない道程を進んでいた...
スティーブ・ジョブズ

【破天荒起業家の生涯】漫画「スティーブ・ジョブズ」ヤマザキマリ 評価:2点【伝記漫画】

アップルの創業者であり、Macintosh(Mac)やiPhoneの生みの親として知られる超有名経営者、スティーブ・ジョブズ。2011年に亡くなった彼が自ら要請して書かせたという伝記「スティーブ・ジョブズ」の漫画版が本作になります。漫画として再構成されたヤマザキマリさんは「テルマエ・ロマエ」の作者として有名ですね。ただ、感想としてはやや拍子抜けといったところ。波乱万丈なジョブズの生涯を追体験できるような伝記を想像していたのですが、多すぎる登場人物と一つ一つのエピソードの短さによってとりとめのない印象の作品に仕上がっています。もちろん、伝記は事実をもとにしているのでフィクション作品のような緻密に計画された盛り上がりが存在し得ないのは理解できるのですが、それでも出来事や人物の掘り下げが薄く、まるで年表を見ているような漫画になっておりました。あらすじ養子としてジョブズ家に貰われた幼い日のスティーブ・ジョブズ。幼い頃から破天荒な性格は健在で、学校では悪戯好きの問題児だった。しかし、褒め上手でご褒美で釣るのも上手いイモジーン・ヒル先生との出会いを契機に、ジョブズは勉強に興味を持ち始めてその知性を...
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☆☆(漫画)

漫画 「ゴールデンライラック」 萩尾望都 星2つ

1. ゴールデンライラック本ブログでも既に2作品を紹介している萩尾望都さんの作品。往年の少女漫画家らしい、近世ヨーロッパを舞台にした恋物語です。萩尾さんの中では有名な作品ではありませんが、文学作品のような味わいや構成にはやはり萩尾さんらしさがあります。紹介済みの2作品は以下の通り。本作の評価は「トーマの心臓」より下、「ポーの一族」よりは上、本ブログで「普通」を表す星2つとします。ひねりが少なく、良い意味では定番・王道という印象、悪い意味ではやや退屈という印象を受けました。2. あらすじ両親を亡くし、親戚中をたらい回しにされていたビリー・バン。そんなビリーを引き取ったのは裕福なスタンレィ家。そこでビリーが出会った少女こそヴィクトリアであり、ヴィクトリアはビリーの初恋の人になる。もらわれ子であるものの幸福に過ごしていたビリーだったが、ある日、ヴィクトリアの父が倒れ、運営する銀行が倒産したことを機に生活は一変する。一家は小さなアパートに移り住み、ビリーとヴィクトリアは幼くして働きに出なければならなくなってしまったのだ。貧しさに耐える生活の中、ヴィクトリアは当初、ホテルのメイドとして雇われて...
orange

「orange」高野苺 評価:2点|素敵な友情が炸裂するハイテンポな”リア充文学”【少女漫画】

2015~2016年における大ヒット漫画の一つで、名前くらいは聞いたことがある人が多いのではないでしょうか。「このマンガがすごい!」などでランキング上位入りを果たし、累計発行部数は500万部近くに到達。アニメ化はもちろん、土屋太鳳さんと山崎賢人さん主演で実写映画にもなっています。高野苺さんが漫画家としてジャパニーズドリームを掴んだ作品ともいえるでしょう。おおまかな感想としては、「未来から手紙が届く」というSF要素と王道少女漫画展開を合わるという手法が斬新で(意外にもこれまでなかったんですね)、画力も高く、双葉社版の装丁も魅力的で大ヒットしたのは頷けます。ただ、主人公二人の魅力と、物語の作り込みという点ではイマイチな点が多く、じっくり読んで味わうには不十分だと感じました。後世に残る作品というよりはカジュアルに消費されていく作品の成功作という印象です。あらすじ舞台は長野県松本市。高校二年生に進級した高宮菜穂(たかみや なほ)は、始業式の日の朝に奇妙な手紙を家の郵便ポストに発見する。差出人は10年後の自分で、自分が経験した後悔を繰り返さないようにするため、手紙の内容の通り行動して欲しいという...
人魚シリーズ

「人魚シリーズ」 高橋留美子 評価:2点|大人気漫画家が描くグロテスクな伝奇調物語【短編漫画】

「うる星やつら」や「らんま1/2」、「犬夜叉」といった代表作を持つ人気漫画家、高橋留美子さん。本ブログでも「めぞん一刻」を評価5点でレビューしておりますが、漫画家としての極めて高い実力は改めて言及するまでもないことでしょう。そんな高橋留美子さんの作品の中でも、かなりマイナーな位置づけにあるのがこの「人魚シリーズ」。「週刊少年サンデー」に不定期連載されているのですが、第1話である「人魚は笑わない」の掲載が1984年、最新話である「最後の顔」の掲載が1994年となっていて、ここしばらく新しい話が出てきていません。加えて、ややグロテスクな表現が多く、後ろ暗い作風が高橋留美子さんの普段の漫画作品とは一線を画しています。「大衆受けを狙わず、書きたい話を書きたいときに書いた」結果の産物という印象です。そして、そういった作品にこそ興味を抱くのが本ブログなのですが、読んでみた結果としてはイマイチな作品という感想。単に「暗くてグロテスク」を超えるような、「物語」としての魅力を見出すことはできませんでした。あらすじ1980年代の日本、浮浪者のような姿をした青年が一人、人魚を求め無人島とされている島を訪れる...
☆☆(漫画)

漫画 「1518! イチゴーイチハチ!」 第6巻 相田裕 星2つ

1. 1518! イチゴーイチハチ! 第6巻本ブログで唯一、新刊発売のたびに感想を書いている漫画である「1518!」。夏休み編だった5巻から季節は移り変わり、秋の話が描かれます。5巻の感想はこちらから。1巻から星の数は☆4→☆5→☆5→☆3→☆3と推移させてきましたが、この6巻はさすがに星2つをつけざるを得ないという印象。これまでの筋書きや登場人物への愛着があったのでなんとか読めましたが、これが第1巻であれば次の巻は買わなかったでしょう。現実的なキャラクター造形と心理描写、そして人間ドラマの深堀りという魅力が薄くなり、少年誌で週刊連載されていそうなごく普通のラブコメになってしまっている印象があります。1518! イチゴーイチハチ! (6) (ビッグコミックス)posted with ヨメレバ相田 裕 小学館 2018-09-28AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo2. あらすじ幸と烏谷の関係が進展した夏休みも終わり、学校も再開。生徒たちは文化祭に向けて汗を流していた。そんな中で様子がおかしい人物が一人。ナカナツこと仲里なつみである。吹奏楽部に所属する彼女はコンクール出場チー...
夜とコンクリート

漫画 「夜とコンクリート」 町田洋 星2つ

1. 夜とコンクリート町田洋さんの中短編集。「夏休みの町」で第17回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞を受賞した新進気鋭の漫画家です。流行かつ王道の漫画表現とは一線を画し、細い線とモノトーンで描かれる独特の絵柄と不思議な雰囲気の物語が特徴です。とはいえ、感想としては「こういうマイナー漫画よくあるなぁ」という印象。幼少期への憧憬を描いた「青いサイダー」も、大学生の青春とSFを混ぜた「夏休みの町」も、日常に少し変わったファンタジー/SF要素を入れて、あとは多くを語らないという手法。いかにもサブカルチャー感がありますが、それ以上ではありません。悪くはありませんが、好きな人は好きの域を出ない作品でしょう。夜とコンクリートposted with ヨメレバ町田 洋 祥伝社 2014-02-03AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
だがしかし

漫画 「だがしかし」 コトヤマ 星2つ

1. だがしかし 2014年から2018年の4月まで「週刊少年サンデー」で連載していた、駄菓子をテーマにしたショートギャグ漫画。「駄菓子」という一風変わった切り口と、少年誌らしいギャグ運びが魅力です。5月に最終巻となる11巻が発売され単行本も無事完結となりました。 作中では製造元企業の協力を得たうえで様々な駄菓子が登場するのですが、出版不況で特に雑誌が売れない昨今、こうした半ば「宣伝タイアップ専門漫画」になりうる作品が各週刊誌や漫画アプリにあってよいのではないかと思いながら読んでいました。 だがしかし 1 (少年サンデーコミックス) posted with ヨメレバ コトヤマ 小学館 2014-09-18 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo
さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ

「さびしすぎてレズ風俗に行きましたレポ」永田カビ 評価:2点|自分に自信がない状態を克服する再生物語【コミックエッセイ】

pixivで連載されていたコミックエッセイの書籍化作品。「寂しさのあまり性体験をしたこともないのにレズ風俗に行く」というセンセーショナルな煽り文句と、その切実な内容のコントラストが魅力です。あらすじ大学中退後、精神的な病気を患い、アルバイトも長く続かなかった著者、永田カビ。親との関係も上手くいかず、頭には「死」がよぎる。「なにくそ、立ち直ってやる」。そう意気込み、息苦しさから自分を解放するために選んだ手段。それはレズビアン風俗に行くことだった。生きづらい現代で自分に自信を持つとはどういうことか。レズ風俗での体験を通じ、著者が自分として生きていく方法を掴んでいく物語。感想共感できる人とできない人が真っ二つに分かれる作品でしょう。真っ二つになる基準は「自分に自信を持っているか否か」です。非常に個人的な観点ですが、現代を生きる人々を敢えて二つに切り分けるならば、その基準として「自分に自信を持っているか否か」を使うのはかなり良いアイデアなのではないかと感じます。そこには、個人の性格とそれを形成してきた家庭や社会の環境が如実に反映され、しかも、自信を持っている人/いない人同士は決して相互に理解し...
トゥーランドット

【トゥーランドット】中国を舞台にした名作オペラの漫画化 評価:2点【里中満智子】

1. トゥーランドット有名なオペラの内容を里中満智子さんが漫画で描く「マンガ名作オペラ」シリーズの第5巻。全巻揃えようという気はないのですが、表題作である「トゥーランドット」の筋書きが知りたくて購入しました。18世紀に書かれた戯曲をもとに19世紀に書かれたオペラということで、いかにも「古典の短編」という印象です。物語全体の整合性や展開の論理性よりも劇的な展開が優先されており、物語としては粗削りで洗練されていないと思われる側面が多かったのですが、オペラとはそういうものだという心持ちで見るのが正解なのでしょう。2. あらすじ舞台は王朝時代の北京。皇女トゥーランドットはたいへん美しい姫だったが、彼女に求婚する者は彼女が出題する3つの問題に答えられなければ死刑になるという過酷な婚姻条件を掲げていた。今日もまた、求婚に失敗したペルシャの王子が紫禁城の前で公開処刑にされてしまう。その様子を見ていたのが、ダッタン国の王子カラム。彼はトゥーランドットに見惚れ、部下の制止を振り切ってトゥーランドットに婚約を申し込む。3つの難問を出題するトゥーランドット。しかし、カラムはいとも簡単に答えてしまう。婚約を嫌...
タッチ

漫画 「タッチ」 あだち充 星2つ

1. タッチどんな世代も一度は耳にしたことのあるタイトルなのではないでしょうか。特徴的な主題歌と「南を甲子園に連れてって」などの印象深い台詞で有名な作品です。往年の名作ということで期待して読んだのですが、あまり楽しめませんでした。恋愛を絡めた切なさ重視のスポーツもの、というジャンルは当時斬新だったのでしょうが、ストーリーもキャラクターもいまいちです。タッチ (1) (小学館文庫)posted with ヨメレバあだち 充 小学館 1999-04-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
櫻の園

漫画 「櫻の園」 吉田秋生 星2つ

1.櫻の園「カリフォルニア物語」や「BANANA FISH」、最近だと「海街diary」で有名な吉田秋生さんの1巻完結オムニバス漫画。以前に紹介した映画「櫻の園」の原作でもあります。表現方法や空気感は良いものがありますが、80年代の価値観を基軸に思春期の女性の葛藤を描く、というベタな内容に終始してしまっているのが辛いところです。櫻の園 白泉社文庫posted with ヨメレバ吉田 秋生 白泉社 1994-12-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
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