【エンタメ小説】有名エンタメ小説低評価批評集【閲覧注意】
教養書
新書 「稲盛和夫の実学 経営と会計」 稲盛和夫 星2つ
1. 稲盛和夫の実学 経営と会計アメーバ経営で有名な京セラの創業者であり、日本航空の再生でも力を振るった名経営者、稲盛和夫さんが会計について記した本になります。いかにも昔ながらの実務者が語るという内容で、精緻さや体系の美しさはありません。普遍的な理論を求めている人には不向きでしょう。ただ、行動経済学が注目を浴びているように、政治学や経済学ではどのような人物を「普通の人間」と想定するか、現実における「摩擦」をどう扱うかはホットなトピックです。この「摩擦」という点について示唆のある内容もちらほらあったため、そこを評価して星2つとしました。稲盛和夫の実学―経営と会計posted with ヨメレバ稲盛 和夫 日本経済新聞社 2000-11-07AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
教養書 「経済政策」 松原隆一郎 星1つ
1. 経済政策放送大学の教科書第2弾。東大教授である松原隆一郎氏の単著です。数式から逃げてしまったがために経済学の教科書としては理論的精緻さに欠け、内容としても著者の(半ば独りよがりな)思想が強く滲み出すぎている印象でした。経済政策―不確実性に取り組む (放送大学大学院教材)posted with ヨメレバ松原 隆一郎 放送大学教育振興会 2017-03-01AmazonKindle楽天ブックス楽天kobo
教養書 「教育行政と学校経営」 小川正人・勝野正章 星4つ
1. 教育行政と学校経営 放送大学の教科書ですが、一般的な解説書としても名著です。 戦後日本の教育に関わる問題につき、簡潔で要点を落とさず記されており、教育政策入門のために網羅的知識を身に着けるにはうってつけでしょう。 教育行政と学校経営 (放送大学大学院教材) posted with ヨメレバ 小川 正人,勝野 正章 放送大学教育振興会 2016-03-01 Amazon Kindle 楽天ブックス
教養書 「都市農地はこう変わる」 倉橋隆行 星2つ
1. 都市農地はこう変わるもともと住宅・土地問題に関心があるのですが、その界隈で「生産緑地」問題が浮上し始めてきたことから手に取った本です。「生産緑地」で適当に検索して購入したのであまり期待はしていなかったのですが、まぁ、そのたいしたことない期待の程度だったという感想。著者が不動産コンサルということもあり、学術的で客観的な分析と言いうよりは、土地保有者向けの土地活用術の本という雰囲気が濃いものでした。都市農地はこう変わるposted with ヨメレバ倉橋 隆行,林 愛州 プラチナ出版 2017-09-07AmazonKindle楽天ブックス
新書 「入門 公共政策学」 秋吉貴雄 星3つ
1. 入門 公共政策学「政治学」や「行政学」とは似て非なる学問領域、「公共政策学」への入門書。学際的であり、問題解決を目的であることを強調しつつ、様々な事例を通じて公共政策学の片鱗に触れることができます。一つ一つの事例は面白いものもあるのですが、やや体系に欠けるところがあり学問分野への「入門」のわりにそれなりのリテラシーが要求されるものになっていました。入門 公共政策学 - 社会問題を解決する「新しい知」 (中公新書)posted with ヨメレバ秋吉 貴雄 中央公論新社 2017-06-20AmazonKindle楽天ブックス
教養書 「岩波講座 日本経済の歴史 1中世」 中林真幸他 星3つ
1. 岩波講座 日本経済の歴史 1中世定評ある叢書シリーズの一つ、岩波講座の新しいシリーズです。中世以降の日本経済の歩みが最新の知見をふんだんに盛り込んで紹介されています。中世はあまり関心のある分野ではなかったのですが、それでも興味深い事象を多く知ることができました。中世 11世紀から16世紀後半 (岩波講座 日本経済の歴史 第1巻)posted with ヨメレバ中林 真幸 岩波書店 2017-07-12AmazonKindle楽天ブックス
教養書 「分裂と統合の日本政治」 砂原庸介 星4つ
1. 分裂と統合の日本政治 小選挙区比例代表並立制の導入を含め、90年代に行われた統治機構改革以降、一時は民主党が政権を獲得することもありましたが、自民党以外は離合集散を繰り返しているのが実態です。 また、この間には、減税日本や大阪維新の会、都民ファーストなど、国政ではなく地方に基盤を持つ政党も力を持ち始めました。このような政党の変動や盛衰がなぜ起こったのか、それを政党をとりまく制度から説明しようと試みているのが本書です。 自民党の強さの理由、民主党をはじめとした野党が力を持てないのはなぜか。それを、制度面から冷徹に議論する名著だと思いました。 分裂と統合の日本政治 ― 統治機構改革と政党システムの変容 posted with ヨメレバ 砂原 庸介 千倉書房 2017-07-10 Amazon Kindle 楽天ブックス
教養書 「日本の中央―地方関係」 市川喜崇 星3つ
1.日本の中央―地方関係地方分権が叫ばれて久しい今日ですが、政治学では昔から「集権」「分権」は大きなテーマでした。そして、2012年に刊行された本書は、著者も認めるところの、これまでの通説に正面から斬ってかかった著作となっております。戦後日本は「明治以来の集権体制」なのか「分権の進んだ民主国家」だったのか。その切り分けがまだあなたの頭の中にあるならば、この本は十分な威力を発揮するでしょう。日本の政治に関心がある人ならば一度は読んで欲しい本です。日本の中央―地方関係: 現代型集権体制の起源と福祉国家posted withヨメレバ市川 喜崇 法律文化社 2012-11-09AmazonKindle楽天ブックス
【住宅政策の手軽な概説書】新書「住宅政策のどこが問題か」平山洋介 評価:4点【政治学】
目次第1章 住宅所有と社会変化第2章 持ち家社会のグローバル化第3章 住まいの「梯子」第4章 住宅セーフティネット感想あまり注目されない分野である住宅政策に光を当てた新書。住宅政策という個別の政策分野への理解が深まるだけでなく、戦後日本における経済政策の全体的な特徴や、これから日本が進むべき道も見えてくる良書です。第1章では、日本の住宅政策の概要が分析されます。日本の住宅政策の特徴が、就職→結婚→出産(夫が働き妻が専業主婦)という「標準」ライフコースを想定し、そのコースに当てはまる人を優遇していることが述べられます。若年層や新婚世帯向けの公団住宅の供給、住宅ローン減税のような家族の持ち家取得援助などがその具体的な政策です。「標準」ライフコースを辿る人々を小規模賃貸から大規模持ち家へという住宅の「梯子」を上っていく単線コースに誘導する仕組みが整えられてきたわけです。日本全体の所得の伸びとともに、新中間層となった人々がその梯子に殺到していったのが戦後の流れではありますが、そういった「標準」ライフコースを歩めなかった人々が住宅政策から取り残され、住宅確保において不利な立場に置かれ続けているこ...
【社会学】「孤独なボウリング」 ロバート・パットナム 星4つ
1.孤独なボウリング「社会関係資本」という概念に光をあて、様々な分野に影響を与えた本です。著者のパットナム教授はこの本で一躍スター研究者となりました。ご近所づきあいや会合などの社会的紐帯の減少という、誰もが個人としては感じていることを米国全体というスケールで分析し、その原因、そして影響を社会的・政治的なものに結びつけた大著。もはやどの分野でも無視できなくなった「社会関係資本」をアカデミック界に知らしめた作品として、非常に読みごたえがありました。2. 感想本書は5部構成となっており、そのうちメインとなるのは第2部から第4部までです。 第2部では、社会関係資本の濃淡が20世紀のあいだにどのように推移してきたかが膨大なデータとともに語られます。政治参加・市民参加・宗教参加・職場でのつながり・慈善活動・インターネット。わたしたちをとりまくあらゆる「繋がり」が分析の対象となりますが、驚くことに、どの分野を分析しても結論はただ一つに収斂していきます。それはすなはち、米国における「社会関係資本」が、20世紀初頭に増加→大恐慌期に一時的減少→第二次世界大戦~60年代まで増加→十数年の停滞→現在まで続く...
教養書 「現代日本の官僚制」 曽我謙悟 星4つ
1. 現代日本の官僚制日本を代表する行政学者の一人、曽我京大教授の著書です。統計学的手法を駆使し、政治制度が官僚制に与える影響を分析するというあまりこれまでには見られなかった試みがなされております。モデルやデータの取り方、相関関係をあまりに重視しすぎた論考には疑問点もありますが、このような手法で政治を分析するやり方はたいへん面白いと感じました。現代日本の官僚制posted with ヨメレバ曽我 謙悟 東京大学出版会 2016-12-24AmazonKindle楽天ブックス
新書 「組織の限界」 ケネス・J・アロー 星3つ
1. 組織の限界ノーベル経済学賞を受賞し、「アローの不可能性定理」等で著名な経済学者、ケネス・アロー氏の講演集です。もともと岩波から出ていたのですが、このたび筑摩書房から復刊ということで読んでみました。現代の政治・経済学が取り組んでいる論点について、従前から鋭い指摘を行っていたアロー氏の視点には驚くばかりです。組織の限界 (ちくま学芸文庫)posted with ヨメレバケネス・J. アロー 筑摩書房 2017-03-08AmazonKindle楽天ブックス
新書 「欧州複合危機」 遠藤乾 星2つ
1. 欧州複合危機 混迷深まるEUの情勢を歴史的に振り返りつつ、今後の展望を解説するという著作です。 著者の遠藤教授はヨーロッパ経験も長いようで、現在のヨーロッパ情勢を概説する書としてはよくまとまっていたと思うのですが、制度的な面に社会科学的手法を用いて深く切り込むことはなく、ある程度新聞を読み、通り一遍の解説を知っている人にとっては耳にタコな話が多かった印象です。 欧州複合危機 - 苦悶するEU、揺れる世界 (中公新書) posted with ヨメレバ 遠藤 乾 中央公論新社 2016-10-19 Amazon Kindle 楽天ブックス 楽天kobo