映画 「天使にラブソングを」 監督:エミール・アルドリーノ 星4つ

天使にラブソングを
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1. 天使にラブソングを

1992年に公開されたハリウッド映画で、大ヒットしたために日本でもよく知られているタイトルとなっております。

金曜ロードショウでも合計6回放送されており、最新の放送は2020年の5月と、近年でもその人気は衰えておりません。

そんな本作を今回初視聴したのですが、個人的にも非常に満足できる映画でした。テーマもテンポも物語の起伏も素晴らしく、常にわくわくしながら観ていられる作品です。

ウーピー・ゴールドバーグ (出演), マギー・スミス (出演), エミール・アルドリーノ (監督) 形式: DVD

2. あらすじ

ナイトクラブで歌手をしているデロリスはマフィアのボスであるヴィンスの愛人でもあった。

ある日、ヴィンスから貰ったコートにヴィンスの妻の名前が入っていたことに激怒したデロリスがヴィンスの部屋を訪れたとき、マフィアの下っ端が裏切りの濡れ衣を被せられてヴィンスとその側近に始末される現場をデロリスは目撃してしまう。

必死の逃亡を図って警察署に駆けこんだデロリスは警察の保護下に置かれることになったものの、殺人現場の目撃者としてマフィアから狙われているデロリスを匿う場所を選ぶのは難しい。

そんな中、デロリスの警護担当となったサウザー警部補が選んだのはデロリスの隠匿場所として選んだのは聖キャサリン修道院。

修道院になど絶対に馴染むことはできないと拒絶するデロリスだったが、ここ以外では命が危ないという説得を受け入れ、修道女シスター・メアリー・クレランスとしての生活を始めることになる。

しかし、粗野な世界で過ごしてきたデロリスが修道院生活を円滑にこなすことなどできるはずもなく、問題行動ばかりを起こしてしまう。

そんなデロリスに対し、修道院長はデロリスからあらゆる役割を取り上げたうえで聖歌隊の指導を命じる。

日曜日のミサのたびに歌唱する聖歌隊だったが、その実力はあまりにも悲惨。

そんな聖歌隊を、デロリスは持ち前の陽気さと歌手としての音楽センスで粘り強く指導していく。

そして訪れた、デロリスが指導係になってから最初のミサ。

聖歌隊は見違えるほどの歌唱を披露して聴衆を驚かせる。

しかし、聖歌隊の歌唱は中盤から思いもよらぬアレンジで行われるようになり......。

3. 感想

「面白い映画」の要素がぎゅっと詰め込まれた1時間40分というのが率直な感想です。

あらすじでも述べた通り、繁華街のナイトクラブで歌手をしている人物がひょんなことから厳格な修道院という場所で働くことになるというのが本作冒頭の展開となっております。

「主人公が偶然によっていままでとは全く違う世界に連れて行かれることで主人公と異世界双方に混乱や戸惑いが生じて物語がスリリングに展開する。同時に、主人公が持ち込んだ全く異なる価値観によって、主人公が飛び込んだ世界の人々が良い意味で変わっていく過程のドラマティックな感動」

そんな王道中の王道に寄り添った脚本となっているのが本作なのですが、ナイトクラブから修道院へという冒頭展開はこの王道脚本を象徴するような流れであり、小気味の良いテンポとコミカルな演出も相まってどんどん映画に惹きこまれていきます。

王道とはいっても、「ナイトクラブ」や「修道院」というのは映画の舞台としてもかなり珍しいものなので、そこでしっかりと意外感は出せています。

単に普通の学校や職場を舞台とするのではなく、知ってはいるものの馴染みのない世界を舞台にすることで王道展開でありながら私の目には非常に斬新な物語に映りました。

そして、歌手として活躍していた主人公が聖歌隊の指揮することになるというのもお約束展開だといえるでしょう。

ナイトクラブの歌手なんて歌手界隈ではそれほど歌唱力の高い部類ではないでしょうし、実際、最終盤でデロリスは歌唱力がそれほどではないもののヴィンスの愛人だからという理由でナイトクラブの舞台に立てていたことも明らかになります。

ただ、それでも圧倒的実力不足の聖歌隊を前にすればデロリスの音楽での実力は輝きます。場所が変われば能力への評価もガラッと変わるという王道のカタルシスがここにはあります。

そして何より、デロリスが聖歌をノリノリの曲調で聖歌隊に歌わせるという物語の転換点に味があります。この結果として、教会の外にまで響き渡るアップテンポの聖歌を聞いた若者が教会に足を踏み入れるのです。

保守的な院長は怒り心頭ですが、保守的だった修道院が地域交流への扉を開いたのだと神父から高く評価され、ローマ法王にもそのニュースが届くなど、院長も引くに引けなくなっていきます。

聖歌隊の成長と、芽生え始めた地域との交流という温かな展開には純粋に胸を打たれるものです。

しかし、保守的な性格の院長は悩みます。修道院がこんな進歩的なやり方を許容してよいのだろうかと。

物語が後半にさしかかる辺りで院長は別の修道院への異動希望を出したことをデロリスに告げるのですが、ここで院長に対してデロリスが厳しく出ないのがいいんですよね。保守的な院長の価値感やその背景にある人生観に共感を示しながら、穏やかに残留の説得をするデロリスの姿は胸に刺さります。

単純な勧善懲悪なのではなく、世代や立場による考え方の違いを、たとえ相手が完全に間違っているように思えても正面から受け止めようとする姿勢はぐっときますね。

そういう姿勢という点では、最終盤にサウザー警部補が放つ「危険な目に遭わせて済まない」という台詞もさりげなくいい味を出しています。

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