そういったところまで考慮に入れれば、「ターゲットが中途半端だった作品」ともいえると思います。
夏休みの親子層を狙ったのか、それとも、コアな小説/アニメファンを狙ったのか。
どちらにしろ中途半端になってしまった印象です。
前者に受け入れられるには質が低すぎる作品となっており、アニメ映画への失望を誘っただけでしょう。
後者にアピールするならば、もっとエキセントリックにしなければならなかったでしょう。
さて、ここまで設定や物語については散々批難してきましたが、作画や声についてはなかなか良かったと思います。
「お姉さん」の声も最初は違和感がありましたが、ステレオタイプなアニメ声でないのが却って良いですね。
「お姉さん」の現実感を唯一支えたのは声優を務めた蒼井優さんだったと思います。
ただ、それを考慮しても点数は1点(平均未満の作品)ですね。
補論
アニメ映画版「時をかける少女」が当初ミニシアターでの上映のみだったということに以前触れましたが、従来の環境であれば、本作もミニシアターのみで上映され、ひっそりと消えていく作品だったのでしょう。
しかし、アニメ映画の流行がある中で、本作でも全国上映されるようなボーナス状態にアニメ業界はあるといえます。
細田監督や新海監督がメジャーな存在となり、数々のヒット作が生まれる中でアニメ映画がメインストリーム化しつつありますが、本作のような映画が続けばその流れも一過性のブームで終わってしまうことでしょう。
「君の名は。」は普段アニメ映画を観ない層も巻き込んでブームを起こしましたが、奇跡のような作品が連続して出てくるというのは難しいのかもしれません。
「君の名は。」からアニメ映画ファンになった人々も、本作等を観れば「こんなもんか」となり、エンタメ界全体におけるアニメ映画のプレゼンスも妥当な位置に落ち着いていくのかもしれません。
だからこそ、近年の粗製乱造を悲しく感じます。
先人たちが踏みならしてきた「ペンギン・ハイウェイ」を大事にして欲しいですね。
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