自然の中で暮らす人々の生活にケドロンは驚きながらも、リスの世界を案内される中でリスの住民であるヒルヴァーと親交を深め、そしてついに、ダイアスパーにリスで見つけたロボットとともに帰還するという大業を成し遂げます。
このリスを訪れてその周辺を冒険していく過程は実に面白いのですが、ここに至るまでが非常に冗長で、全464ページの中でようやく154ページ目にリスに辿り着きます。
ダイアスパーの描写にはSF的面白さもあるのですが、それでも設定説明のような文章だけで最初の154ページが費やされてしまうのは読み手にとって苦しいところ。
さらに、ケルヴィンがダイアスパーに帰った後は、かつての人類がどのような存在だったか、宇宙でどのような活動をしていたか、いま宇宙はどうなっているのか、という話になっていくのですが、ここで抽象度がぐっと上がってしまい、また設定説明だらけの文章に戻ってしまいます。
究極の知性ヴァナモンド、<大いなる者たち>、<七つの太陽>、<狂える精神>、このあたりの単語を出すと分かっていただけるかとは思いますが、まぁ、なんとなく、硬派のSFファンはこういう話が好きなのかとは思いながらもこれは「物語」ではないなとも感じてしまった次第です。
結論
設定・展開ともに面白い部分はあるのですが、それがごく一部分にすぎず、多くのページが過剰過ぎる設定説明と抽象的な空想宇宙談義に割り振られているところが、特に熱心なSFファンというわけではない私にとっては辛いところでした。
全体を平均すればまぁ普通くらいかなということで評価は2点ですが、ページ数が多いので時間当たりのパフォーマンスは悪い小説です。
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