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「ぼくは愛を証明しようと思う」藤沢数希・井雲くす 評価:2点|恋愛工学を駆使してモテ男になろう【恋愛ハウツー漫画】

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僕は愛を証明しようと思う
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そして、女性心理をハックして男性優位をつくり出す方法こそが良いやり方だと推奨し、そうやって女性を陶酔させた方が女性にとっても幸せだろうと言うのです。

なかなか面白いですよね。

本書で「非モテコミット」や「フレンドシップ戦略」と罵られるアプローチ方法は、単なる「恋愛手法」というよりむしろ、倫理的にそうするべきだという思想が背景にあったはずです。

それが「半ば騙されたほうが女性も幸せだ」となるのは新しい恋愛手法の紹介を超えた劇的な「価値観の変化」だと捉えられるでしょう。

また、漫画の内容としては全体的に「上手くいきすぎ」の感があり、失敗を繰り返す試行錯誤パートが少なく、渡辺の成長速度が異様なくらい速すぎると感じました。

一般的な「非モテコミット」をしている男性向けに描くのであれば、もう少し生々しく失敗描写を入れてあげる方が、却って「恋愛工学」によって成長していく過程を(夢物語としてではなく)現実的に思えるのではないかと思います。

山あり谷ありの「谷」がなさすぎて、物語としてもやや陳腐になっていますし、恋愛攻略本としても「本当か?」感が出てしまっています。

ただ、最終盤の展開はベタながら良いですね。

「恋愛工学」をマスターした渡辺が最終的に惹かれていくのは、「恋愛工学」的には良くないとされるアプローチをしてしまっても自分に対して優しくしてくれた女性。

これは少年漫画等でしばしば描かれるヒロイン像であり、男性にとって永遠の憧れとなる女性像でもあります。

もし、女性読者がおりましたら、ガツガツアプローチでモテようというメッセージの発信がテーマの書籍さえもオチにこういった女性をもってくるところに「男性が本当に求めるもの」があるという点は何か人生の参考になるのではないでしょうか。

もちろん、「女性が手を差し伸べる」という状況を期待すること自体が「非モテコミット」なのでしょうけれど。

本作において女性が「粋」な行動を見せるのはこの場面だけであり、他の場面では徹底的に利己的な存在として女性が描かれます。

「恋愛工学」は現代女性の「利己性」を逆に利用してセックスまで持ち込む手法であり、「粋」な勇気と優しさを持った「利他的」な女性には通用しないどころか逆効果なのかもしれませんね。

現代のモテる男性からは現代の女性がどう見えているかという視点で読むのも面白いと思います。

全体として、「恋愛工学」紹介本としては一定の役割を果たしているものの、「恋愛工学」があまりにも上手くいきすぎて現実感を覚えないということ、また、一つの物語としては「谷」が不足していることをもって2点(平均的な本)といたしますが、1点に近いというよりは3点に近い作品です。

「恋愛工学」の初学者である場合には、読みやすさからしても手に取ってみて損ではないと思います。

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